今回は、俳優としても活躍するSSWクリス・アイザックの89年作「Heart Shaped World」。おそらく彼の作品の中では一番売れたアルバム。
彼のルックスからは、ウエストコースト系のジャズミュージシャン、チェット・ベイカーを想起させますが、この二人に共通しているのは、端的に言うと「憂愁」でしょうか。沈んでいきそうな程憂いを帯びた歌声という共通項があります。


【楽曲】
1.Heart Shaped World
2.I'm Not Waiting
3.Don't Make Me Dream About You
4.Kings of the Highway
5.Wicked Game
6.Blue Spanish Sky
7.Wrong to Love You
8.Forever Young
9.Nothing's Changed
10.In the Heat of the Jungle
11.Diddley Daddy

ルックスを見てわかる通り、ロカビリーやカントリー&ウエスタンのテイストが根底にありながらも、全体的にはどんよりとした雰囲気が感じられます。

#1は、僅かに同時期のニルヴァーナを連想させるようなメロディラインが特徴的。曲の最後あたりで裏拍ビートに切り替わり、カントリー調になります。このアルバムの原題の表題曲。

#2はカントリー調ではありますが、歌声のせいでしょうか、どこか薄暗さのようなものを感じます。それとも、いわゆるハロー効果というものでしょうか。

#4は、私が彼を知るきっかけとなった曲。このアルバムが出た2年後の91年に発売された、「Wheels」というワーナーミュージックが発売したコンピレーション盤(現在は廃盤)にこの曲が入っており、そのアルバムで彼を知りました。

#5は、邦題の表題曲。日本の担当者がこの曲をアルバムタイトルに持ってきたのは、カントリーの要素が少なく、日本人受けしやすいボサノヴァのリズムが感じられるためでしょうか。リバーブのかかった裏声が特に素晴らしいです。

#6は、ガットギターやトランペットが魅力的な、タイトル通りスパニッシュミュージックのテイストが感じられる曲。

#8がこのアルバムの中だと一番明るい曲だと思います。カルヴィン・ウィルゼイのギター主体の楽曲。

#10はタイトル通り、ボ・ディドリーが普及させたと言われるジャングルビートが取り入れられた楽曲。このアルバムの中だと一番異質且つ長いですが、聴きごたえがあります。

#11のタイトルは、ボ・ディドリーから来ていると思われます。#10同様、彼へのリスペクトが感じられる楽曲。この曲もどちらかと言えば明るい方ですね。