吃音治療と向き合ってきたMr.Mの吃音の原因を探る日記 -16ページ目

吃音治療と向き合ってきたMr.Mの吃音の原因を探る日記

長年吃音症に悩まされてきた僕の吃音治療の経過と、吃音の原因を探りながらどもり症との向き合い方を綴った日記です。

昔ある所に一人の貧しい男がいました。


なんとか暮らし向きを変えたいと思った男は、観音様にすがったところ、

「はじめに触ったものを大事に携えて旅に出よ」

というお告げがありました。



男が観音堂から出て家に戻ろうとすると、石につまずいて転びました。


そのとき、偶然にも手の先で一本のワラに触れたので、

男はワラを持って旅に出ることにしました。



旅の途中、顔の周りをうすさくブンブン飛び回るアブがいたので、

男はアブをつかまえ、ワラの先に結び付けました。



道すがら、大泣きしている男の子がいたのですが、

ワラの先にブンブンしているアブの姿を見て面白がり、

すっかり泣くのを止めてしまいました。



泣くのを止めた男の子が、「それちょうだい」と欲しがるのですが、

観音様の「大事にせよ」とのお告げもあったので男は躊躇していました。


すると、男の子の母親が、「ミカンと交換してください」と懇願するので、

アブの付いたワラを男の子にあげて、ミカンを受け取りました。



ミカンを持ってどんどん先へ進んでいると、

喉が渇いて困っている商人と出会いました。


商人は男が手にしているミカンを見ると、

「どうか、私の反物と交換していただけないだろうか?」と懇願してきました。















この話は有名な「わらしべ長者」です。


この後男は、反物と馬を交換し、馬とお屋敷を交換し・・・

という具合に、観音様のお告げ通りに、どんどん金持ちになっていきます。



「わらしべ長者」には苦い思い出があります。


中学一年生のとき、学内の文化祭で演じる「わらしべ長者」で、

僕が「商人」の役をやるハメに・・・。



出たがりのクラスメイトはみな、どんどん配役が決まっていき、

どうしてもあと一人、出演者が決まらなかったところ、

主人公である「男」に役が決まっていた、ちょっといじわるなクラスメイトが、

僕に「商人」をと、推薦したのです。



僕は「とんでもない」「絶対いやだ!」と、心の中で叫びましたが、

うまく断る言葉が出てきません。



そうこうしているうちに、商人役が僕に決まってしまいました。



何度か予行演習があったのですが、どうしてもセリフの頭が出てきません。

完璧にセリフは覚えているのですが、口をついて出てきません。

焦れば焦るほど、出てきませんし、出てくるのは汗ばかりです。



「なんだ、M君。そんなんじゃ劇にならないよ」

クラスのみんなから非難されたり、からかわれたり・・・



でも、僕がすらすらセリフを言えない事なんて、

クラスのみんなも、先生も知っていたはずです。




文化祭で見世物を出す以前に、練習の場で僕はクラス全員の見世物になっていました。



結局、本番直前に担任の先生の判断で、僕は商人役を降ろされ、

セリフのない侍の家来役に変わりました。




「どうか、私の反物と交換していただけないだろうか?」


「ありがとう、ありがとう」




結局このセリフ、ちゃんと言えたのは、自宅のお風呂の中だけでした。