高校に入学すると、中学のときと同様に陸上部に入りました。
けれど、長続きしませんでした。
新入生に課されていたあるイベントがつらかったからです。
一年生は部活が始まる前に必ず、全部員の前で、
その日の抱負を手短にスピーチすることになっていたのです。
3分間スピーチのようなものでしたが、これがどうにも嫌で嫌で・・・
毎日逃げ出したい気分になりました。
案の定、僕のスピーチは全部員のお笑いのネタにされ、
先輩からも同級生からも「さて!次はお待ちかねのMのスピーチだよ!」
などと、からかわれるようになりました。
極度の緊張で第一声すら発することが出来ず、
毎日の事なのに、何も喋れないで終わる日々。
しかも、「抱負をキチンと語れない奴は、罰として400mダッシュ3本!」
などと、まるでイジメのような日々を送るハメに・・・。
こうして、ひと月もしないうちに、僕は陸上部を退部しました。
監督は練習の場に顔を出さない日も多く、真面目な指導者ではありませんでした。
だから、「抱負」が「いじめ」に変わっていたことなど、知らなかったと思います。
先輩たちも、「吃音」の悩みがどれだけ深いものなのか、
理解している人はいなかったです。
だから僕は、吃音のことは語らずに、「練習がきついです」と言って辞めました。
その日からは帰宅部員となり、ますます人前で話す機会が減っていきました。