作家名:加森キキ

出版社:海王社

雑誌:GUSH COMICS


【表紙】

夏目はストライプスーツの両腕のみかろうじて通している状態で、M字に開脚しています。それを後ろから大森が抱きしめています。大森は、顔を夏目の右側にピッタリくっつけて、左手は夏目の頭に、右手は夏目のシャツから差し込んで右胸あたりに触れています。


【あらすじ】

周りを見下して生きていた夏目裕貴(28歳)。恋人の松田健人(20歳)は真面目で大人しい大学生。従順で可愛いく、自分から離れないと思い込んでいました。

珍しく健人から誘われたバーで大森巧(20歳)に出会います。健人を待つ間、少し話すだけのつもりが気づくと健人との約束時間をすっかり過ぎていました。連絡もなく健人が来ないことに気づき慌てている夏目を、大森は奥の部屋へと連れ込みます。

何かを支配し続けることに疲れている、と大森は指摘します。全部忘れてかわいいメスになって、と言いながら夏目を犯し、その様子を撮影します。さらにそれをネタに次に会う約束をとりつけます。

後日、健人と大森が一緒にいるのを見かけた夏目は、二人の後を追います。二人の会話から、健人が大森に先日の出来事を依頼していたことが判明しました。夏目の存在に気づいた大森は、健人に夏目とつきあった理由をたずねます。すると、「あんなイケメンに口説かれたらひとまずオッケーするでしょ」「お金も車も持ってるし有料物件だと思った」と言う健人。しかし、続けて出た言葉は夏目への不満と他の男の話。夏目は二人の元に向かい、静かに健人に別れを告げました。

約束の日、夏目の前で大森は動画を削除します。彼氏に人権侵害レベルの束縛をされるという健人を助ける為に介入したという大森。それはもう役割を終えたから、今度は自分に甘えてくれていい、と誘ってきます。

大森の家で、二人は2度目の関係を持ちます。夏目を抱きながら独占欲を見せる大森。

翌日、発熱してしまった夏目は休みながら昔のことを思い出します。体が弱く、運動出来なかった夏目は周りを見返すように自分の価値を上げようと勉強しました。健人と出会った頃まで遡る頃には眠っていました。夢うつつの会話で健人を束縛していた理由を大森に伝えました。

熱も下がり、帰ろうとする夏目を大森がひきとめます。付き合ってくれと言う大森は、特定の相手や執着とは無縁だったのに、と言います。自分を一人にしないと言う大森を夏目は受け入れ、何度も抱かれるのでした。

これまでのお詫びという名のデート中、夏目を誰よりも、すべてがかわいいと大森は言います。夏目と会うために他の誘いを断っていたことも知ります。この日は、おでこへのキスだけで別れました。それから毎晩たわいもない電話がかかってくるようになります。

そんなある日、大森が他の男と腕を組んで歩く姿を見かけます。この男、構ってほしくて勝手に大森を待ち伏せてくっついていただけで、すぐにあしらわれてしまいます。しかし、そんなことは知らない夏目は、バーで飲みすぎ、知らない男に奥で休もうと連れられてしまいます。手を出されかけたところに、マスターに呼ばれた大森が現れます。嫉妬で酔い潰れたことを指摘される夏目。

素直になった夏目の自宅に移動し、身体を重ねる二人。自分の気持ちを認めた夏目は、これまでのように大森に振り回されるのではなく、強気で甘えだすのでした。

〜スイートハニートラップ〜

大森は、夏目との交際を健人に報告します。夏目がネコだということに驚愕する健人。飲み会帰りの夏目を迎えに行った大森は、会社の人間に囲まれている夏目を見つけます。自分の知らない夏目を知る健人、夏目に触れる同僚に知らずに嫉妬していた大森。夏目はそれを指摘すると、大森を可愛がるのでした。


【感想】

夏目は受けになっても強気なのがいい!

ストーリーが進むに連れて、夏目の大人の余裕と大森の年下らしい可愛さがでてくるのも好きです。

最初の時、なかなかひどいことされてるんですよね、夏目さん。拘束レイプされ、それを撮影されるっていう。その後の関係の変化がなければ悪質な性犯罪です(漫画だからあくまで読み物として楽しませていただいています)。こんなことする前に代わりに話すとか他のアプローチはなかったのでしょうか。20歳二人の分別ってことでしょうか。健人はあれだけはっきり大森に意思表示しているのを見ると、自分で別れ話するのなんて簡単にできそうですが。猫被りキャラだったからか、面倒だったからか、支配され続けた関係故に出来なかったからか。気になるところです。でも、合わなかったのでしょうね。イライラする夏目も、それに怯えたり不快に感じる健人も不健康です。健人もあざとく、別れるために友人に協力要請しておきながら他の男を物色してるあたりなかなかひどいのです。

関係に同意した途端、排尿させられる夏目さん。計画的だったわけではなさそうですが、このお陰でこの後結構すんなり受け入れられたような気がします。棘を抜かれたと言うか。気難しい猫ちゃんみたいですが、どんどん大森になついていきます。夏目が健人に出来なかった気持ちの伝え方を大森がやって見せてくれているようです。そして、毎日連絡をくれて、自分を優先してくれる。大森が夏目がしてほしかったことをしてくれて、安心できたんでしょう。書き下ろし漫画で大森が夏目のセリフを分析しているのですが、受け取り方の違いなんだなぁ、としみじみ感じました。

自分を素直に出せる相手と結ばれて、幸せな気持ちで読み終えました。