作家名:鯛野ニッケ

出版社:ソルマーレ編集部

雑誌:Ficus


【表紙】
スーツ姿の瀬ヶ崎瑞貴が背後から棚田葉を抱きしめています。瀬ヶ崎の右手は葉の顎を捕まえて自分の方に引き寄せています。優しい表情の瀬ヶ崎が愛しげに葉の左目近くに口付け、眉を寄せ口を引き結んだ葉は頬を染めて漫画の原画らしきものを両手でぐしゃぐしゃに抱きしめています。

【あらすじ】
天気予報のライブチャンネルを一日中見ている棚田葉は、売れないエロ漫画家です。葉が画面越しに見ているのは、気象解説員の瀬ヶ崎瑞貴です。同じ大学の先輩後輩だった二人。漫画を諦めて就職を考えていた葉に、「衣食住の金は保証してやるから俺んとこに来い」、「その代わり俺の言うこと全部聞け」と瀬ヶ崎が声をかけたのが同居の始まりでした。二人には、晴れの前日セックスするというルーティンがあります。
二人の関係に不満を抱いていた葉ですが、瀬ヶ崎は葉にプロポーズ済み&承諾済みだと思い込んでいたことが判明します。晴れとセックスの関係も解明され、言葉が足りずすれ違っていたことに気づきます。
出版社に切られ、落ち込む葉。アルバイトに万さんという女性漫画家のアシスタントを考えるも瀬ヶ崎の怒りをかってしまいます。自分の元から出て行こうとしていると思い込んだ瀬ヶ崎によって葉は手足を拘束されてしまいます。しかし、不安げな瀬ヶ崎を見ていかに自分を求めているかに気づきます。そして、初めて気持ちを伝え合った幸福感に満ちた時間を過ごしました。
後日、人物像を把握するという瀬ヶ崎の目的のために二人の自宅に招待される万さん。推しの瀬ヶ崎に葉の恋人として牽制され、図らずも二人の仲を深めることに。
機嫌が悪いわけじゃなくて甘えてる、この言葉はこういう意味、とお互いをわかっていく二人はどんどん素直に恋人らしくなっていくのでした。

【感想】
瀬ヶ崎はルックスの良さを筆頭にしたハイスペ設定がなかったら、どうしようもなくやばい人。私の大好きなタイプなのですが。恋人というよりも昭和の亭主関白な夫という雰囲気なのは、プロポーズ了承済みだと思ってたからよけいなのでしょうか。悪く見たら、葉が怯えたら、モラ夫です。しかし、しばしば葉に抱きつくなどスキンシップが多く、どう見ても最初の方からラブラブです。
瀬ヶ崎は、出会って間もないころから葉が欲しいと自覚。「欲しいな これ 俺のにしたい…」って、人間相手にガーン外面紳士をやってきただけに、真逆の葉に反感をもちつつ、惹かれていくのがわかります。瀬ヶ崎は、自分の為に行動してくれることがすごく嬉しいようです。そして、独占欲がすごい。監禁しそうな勢いは漫画のジャンルが変わるんじゃないかと思うほどでした。しかし、それを経て可愛いと思える葉の心理はどれだけ瀬ヶ崎LOVEなんでしょう。
何でも受け入れている時点で、葉が瀬ヶ崎を好きなことがわかるのですが、本人が自分の気持ちにとても鈍い。さらに自己肯定感が低いせいで、愛されることに自信を持てません。しかし、こんな状態だったのに、同居して初めて枕を交わした時、どんなシチュエーションでそうなったのか気になりすぎます。お互いに気持ちを爆発させて口にすることで、その度にズレが修正されていくのが、イイびっくりマーク二人とも嫉妬丸出しが可愛い!そして、二人ともそれが嬉しそう!
最後、具体的に葉におねだりする瀬ヶ崎も、それを叶えてあげる葉も、どちらも素直で、成長したなーとじんわりしました。