前回の続きです。


前半は、第一の創造ということで、製作に入る前に、アイデアの出し方、コンセプトの作り方を解説しました。


後半は、具体的にものづくりの流れを解説していきます。


大まかに分けると、


①スペックを決める

②デザインを確定する

③使う部品、材質を決める

④部品、材料の調達

⑤作業

⑥試運転と改善の繰り返し



①スペックを決める


スペックとは、具体的な仕様のことです。

車だったらエンジンの性能だけではなく、シートの数、足回りの硬さなどを決めていきますが、これらはすべて、先に決めたコンセプトを満たすため選択します。

スペックの項目をどう選ぶかは、多種多様すぎてここでは扱いきれませんが、

簡単な例で、カフェの椅子だとすると、


・一般成人が座れる様、耐荷重は100kg以上

・座面の高さは600mm

・座面の大きさはW500mm x D400mm程度の丸みを帯びた四角


のように、作るものの要となる部分に具体的な数字をあてていきます。


機械や電気機器になると、強度計算や出力の計算など、ちょっと難しくなりますが、ここではそういった事を決めます。


②デザインを確定する


デザインとは、単に外観のフォルムではなく、

  1.何がどの配置にあれば最も使いやすいか、

  2.コンセプトを体現する材質、色、形


この作業には、なんとなく絵心的な才能が必要な気がしますが、そんなことはありません。

製作するもので、機能的な要素の少ないアクセサリーなどはアート的な要素の割合が高くなりますが、

普段私が作っている、製造ラインで使う専用治具や、プライベートで製作依頼される1点ものの自作機械などは、その機能を満たすだけでものの形が8割以上決まってしまいます。

下手に凝ったデザインよりも、シンプルに充分且つ必要最小限の機能を備えたものが、結果的に美しくスマートなデザインになるものです。


まず、モーター やセンサーなどの既製品を搭載する場合、取り付ける部品の本体の大きさや、

取付ねじ穴の位置などでサイズが決まってしまうのと、

「これを使うときの作業は、こうやって、次はこれをやって…」と、出来上がったモノの使用手順をトレースすることで、

「こっちのフタは、こっち向きに開かないとぶつかる」とか、「作業導線がこうだから、このハンドルと台の位置関係はこう」という感じにものの配置が決まっていきます。

また、ここまでできた理想像を、今の自分の持つ作業環境、スキル、予算を考慮し、実際の製作作業手順をトレースしているうちに、材質や部品の接合方法などが決まっていき、デザインのレイアウトが次々勝手に決まっていきます。


手順を進めながら考えるべき点は、

・安全性

・作業効率

・作りやすさ

・メンテナンス性


この辺りは、実例集(準備中)を参照しながら、引き出しを増やしていって下さい。

こういうことはセンスが必要といいますが、

センスとは、情報量と、それを引き出し繋いで、欲しい結果を得る能力です。

やればやっただけ上がるものなので、沢山経験して頂ければと思います。


③使う部品、材質を決める


材質も選定も好みよりは、使用する環境により決まっていきます。

「屋外使用だからステンレスで」

「今日どもいるけど軽くなきゃだからアルミ」

「直接触るから木で」

など、材質の持つ特性を加味して選定します。


材質別の特徴はこちら(準備中)




ここまでで、デザインの主幹となる部分は決まってしまいますので、図面起こしにも着手できるようになります。


残り2割は、カラーと、コンセプトの特性を更に強調するための表現の部分です。


カラーに関しての基本は、

ベースカラー:サブカラー:ワンポイントカラー

6:3:1

を守れば大きく外すことはありません。


それ以上に何かを表現するために、カバーのフォルムをカッコよくしたり、ステッカーを貼ったりするのは、もはや好みなので自由に楽しめば良いと思います。



⭐︎ワザその1

最低限+拡張性

最初から理想スペックの物を作れる事って、予算や金額など諸々の事情によりなかなかできなかったりします。

とは言え、理想の完成を待ってたらいつになるかわからない…

そういうときは、最低限の仕様で形にして、いずれ理想のスペックに到達できる様、拡張性を考慮して作ります。

そういう意味でも、ゴールから考え逆算する方法って、何にでも使えますよね。


⭐︎ワザその2

急がば回れ。段ボール試作をナメてはいけません。

失敗すると厄介な物を作る場合、遠回りな様でも段ボールで試作をつくることをお勧めします。

その段ボールを使って、実際の作業をトレースしてみるとスペースや、作業性を確実に確認できるとともに、早い段階で質の良い改善案がでることもあり、一石二鳥です。

なにせ、完成してから、

「ここの配電盤の扉が、柱に干渉して開かない」

とかで最悪やり直しになったら、目も当てられないですからね^^;



④部品、材料の調達


部品調達ですが、今はインターネットの普及により、ホームセンターには売っていない部材も比較的簡単に探せる様になりました。

ただ、メーカーは直接販売していない事が多いので、いい商社を見つけるのがお勧めです。

商社のいい営業マンであれば、大まかなスペックを言えばいくつか見繕って選ばせてくれますし、メーカーと引き合わせてくれたりもします。


最近では一人家電メーカーをやり出す人もでてきましたが、一皮剥けるためにもいい商社を見つけるのはお勧めです。



⑤作業


これまでの準備段階で、

・コンセプト

・仕様設計

・作業手順

・部品調達


までが終わり、後は時間を取ってつくるだけです。

ここで言えることは、

「やるしかない、やらないと終わらない」

ただそれだけです。

工程が長大で複数人でつくるものや、家のセルフビルドなどは、タイムテーブルをつくりスケジュールを共有するのも有効ですが、

大事なのは挫折しないでつくりきることです。

絶対に諦めないで下さい。


作り出したらあっという間です。

まさに、「段取り8割」

というより、段取りの精度で製作があっという間に終わるかどうかがかかっています。

段取りをおざなりにして、致命的なミスを犯すことで挫折の確率が上がってしまうので注意が必要です。



⑥試運転と改善の繰り返し


完成したものが、狙い通りの効果を生むのを目の当たりにするのは気持ちがいい物です。

しかし、不思議なもので、どんなに完璧に出来たとしても70点。

使ってるうちに、なぜか30点分くらいの

「ここ、こうした方が良かったかなぁ」

があります。

この改善には終わりがないので、どこまでやるかは自分次第です。


具体的な改善の考え方は、次回から解説していこうと思います。


では又、よろしくお願いします。