そんな人見知りの僕に大きな試練が訪れました。
音楽の授業の時に、同級生の男子が
僕のリコーダーを間違って持っていってしまったのです。
その同級生はクラスの中でも人気のある男子で、
絶えず彼の周りには人が集まっていました。
しかもリコーダーは口をつけるものです。
大勢の人の前でそのことを言えば、
間違いなく『間接キスだ』とからかわれるでしょう。
僕は、彼が1人になる瞬間をじっと待つことにしました。
しかし、何日待ってもその瞬間は訪れません。
その間、僕は我慢して彼のリコーダーで授業を受けました。
彼も気づいていないのか、
彼のほうから言ってくることもありませんでした。
そして、本当の悲劇はここからでした。
なんと彼が転勤で引っ越すことになったのです!
引っ越す前に彼にリコーダーの件を伝えなければ、
自分のリコーダーを取り戻す瞬間は永遠に失われます。
僕は腹を決めて、彼の家まで行きました。
でも、ここでまた問題が発生しました。
彼の家の前に着いたのはいいのですが、
家のピンポンを押す勇気が出ないのです。
仕方なく、彼の家の近くでじっと待つことにしました。
どうしようどうしようと悩んでいると、
彼の友達がお別れを言おうと彼の家まで来たのです!
友達がピンポンを押すと、彼はドアを開けて出てきました。
その瞬間、僕はさっと彼の家の玄関に近づき、
ようやく彼に、リコーダーの件を伝えることができました。
こうして、なんとか自分のリコーダーを取り戻すことができたのですが、
そのために待った時間は1時間以上。
この時ほど、自分が情けないと思ったことはありませんでした。