製薬会社O社と教育担当者Kさんの話の続きです。
製薬業界に明るくない点に不安があるだけでなく、私には営業職がプロジェクトマネジメントを学習することに疑問を感じていました。
というのも、営業職の日々の行動はルーティン化されていて、WBSが画一的なものになると予想していたからです。
そうした懸念を抱えつつも、研修が始まりました。
実務課題となるプロジェクトは「新薬の販売」と「特許切れとなる既存薬の販売」でした。
受講者は全国の支店から支店長以下MAとMR総勢200名集められました。
1回20名で10回に分けて一泊二日の研修を行います。
第一回目の研修は支店長からでした。
一回目を実施してみてアンケート的には「普通」で、勉強になりましたといった内容が多かったのですが、自分的には「なんだかなあ」と物足りない感想でした。
受講者にとって時間の無駄にはならないけれど、考え方や行動が変わる程の発見は無かったのではないかと自省していました。
そんなモヤモヤしている時に、泊まり込んでいたO社の研修施設で『ある本』を発見します。
その本とは、打ち合わせでKさんが言っていた「わが社のコアな薬」の開発物語でした。
その本を読んだことで、たちどころに受講者の会話の内容が把握できるようになり、自分の不安が解消します。
一回目の研修では、実務で書かれたゴールやWBSに対して通り一遍な指摘しかできていなかったのが、二回目以降は具体的なアドバイスができるようになりました。
二回目の研修の休憩中のことです。
私に聞こえていないと思って話をしていた、Kさんともう一人の研修担当者の会話が聞こえてしまいました。
「中西さん、進化してるでしょ」
「うん、そうだね」
「ねえ、進化してるよね」
あれ?やっぱり前回はいまいちだったんだな(笑)と思うと同時に、嬉しかったことは言うまでもありません。
嬉しそうに話しているKさんの弾んだ声は、今でも耳に残っています。