SURNAME④  ゲール語(アイルランド語)由来の名字 | クリス先生の英語の授業

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イギリス大好き。行っていた学校の名物教師の授業をもとに自分がなるほどと思った英語ネタなどを書いていきます。その他ミュージカルの日本語訳なども。  

5日ほどごぶさたしてしまいました。どうもPCの調子が悪く、再セットアップを試みるも
ROMが劣化して読みこめず、結局そのまま、だましだまし使っています。





前回まで、私は名前の由来を①英語、②ケルト語、③アングロサクソン語、④その他、で分類
しようと思っていたのですが、②のケルト語には、ウェールズ語、アイルランド語、スコットランド語
などが含まれていて、これを一つとして扱うのは無理があると判断しました。



なので、英語、ウェールズ語、アングロサクソン語、ゲール語(アイルランド語、スコットランド語)、
その他、のくくりに変更します。


そして今まで、気分によってウェルシュと言ったり、アイリッシュと言ったり統一性がありません
でしたが、今回からは「~語」というので統一します。あいすみません。





今回はゲール語由来の名字ですが、ゲール語は主にアイルランド語とスコットランド語に
分かれますが、この二つを同時に扱うと情報量が膨大なので、別建てにさせていただきます。
なので、今回はゲール語(アイルランド語)由来について。




ゲール語って言っても何?と思う方もいらっしゃると思うので、まとめてみました。
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ゲール語はケルト語派の中の言葉で、ウェールズ語が属するブリタニク語とは兄弟言語です。
この関係性は、ちょうどゲルマン語グループの英語とドイツ語と似てますね。



アイルランド語もウェールズ語と同じく、過去に英国に同化政策がとられ、現在では懸命に言葉の
保護がされていますが、ウェールズと違い、そこに住んでる人々が保護にあんまり乗り気では
ありません…。なので実際の話者はどんどん少なくなってきています。



アイルランド語を聞く機会はどんどん減ってますが、アイルランド語由来の名前は移民や改名で
逆に世界中に広がっています。


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①O'は「孫」という意味です。英語ではO'(オー、アポストロフィ)に変化しましたが、
本来はÓ(オー、アキュート・アクセント)で間に一つ間をとります。

O'brienさんは本来は、Ó Briain さんのように書いていました。


②スコティッシュネームとして有名ですが、アイルランド語でも使います。元はMacがMcになり、
「息子」という意味です。①と同じように本来は一文字、間をあけます。


③もともとはノルマン語(フランス語)のfis(息子)がアイルランド語に入り転化。
ヴェロニカ・マーズ2ではよくフィッツパトリックという名前が出てきました。




●アイルランド語の名前のうんちく●(ちょっと難しいですが…)

以前、SVOの薦めで、英語はSVO、日本語はSOVと書きましたが、ケルト語グループは、VSOという
構造を持ちます。そして、言葉は性と格を持ち、フランス語のように名詞を後ろから修飾します。

日本語や英語は前から修飾します([例]日本人の○○、japanese ○○)が、フランス語やケルト語は
la femme japonaise のように後ろから前にかかるのです。


Mac は「son of」ではなく「son」で、後ろに続く名前が所有格に変化します。
son of Arthur ではなく、son Arthur's という書き方をします。


以上を踏まえて、名前の接頭辞をお勉強

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Seán (ショーン)さんという人がいます。

Seán さんには、山口くん、という息子がいます。
彼は「Yamaguti Mac Sheáin」というフルネームになります。
(Sheáin は、Seán の所有格になります。)

またショーンさんには、百恵ちゃんという娘さんもいました。
彼女は「Momoe Nic Sheáin」と言います。
(Nic は Iníon Mhic の短縮形で、Iníon は「娘」、Mhic は Mic の所有格で、
「~の息子の娘」という意味になります。)


山口さんは美恵子さんと言う女性と結婚しました。
彼女は「Mieko Bean Mhic Sheáin」という名前に変わりました。
(Bean は「妻」、Mhic は Mic の所有格。「ショーンさんの息子の嫁」という意味になります。
Bean はしばしば略され、単に Mieko Mhic Sheáin とも言われます。)


山口さんと美恵子さんに子供が産まれました。名前をツトム君と言います。
彼は「Tutom Ó Sheáin」と呼ばれます。
(Ó は「孫」という意味。他に Ua も同じ意味で使われる。)

ツトム君に妹ができました。「もえ」ちゃんです。
彼女は「Moe Ní Sheáin」と呼ばれます。
(Ní は Iníon Uí の短縮形で、Iníon は「娘」、Uí は Ua の所有格で、
「~の孫の娘」という意味になります。)

ツトム君はやがて立派な青年に成長し、智子さんという女性と結婚しました。
智子さんは「Tomoko Bean Uí Sheáin」という名前になりました。
(Bean は「妻」、Uí は Ua の所有格。「ショーンさんの孫の嫁」という意味になります。
Bean はしばしば略され、単に Tomoko Ui Sheáin とも言われます。)


※Macの後が母音で始まる場合、しばしば Mac は Mag に変わり、女性の場合は Nig になります。



こんな感じでややこしい名前が増えるのでした。


疲れましたので、ランキングはまた今度。


終わり。