2020年6月に施行された労働施策総合推進法(通称パワハラ法)が改正され、労働者保護の観点から企業のカスタマーハラスメント対策が2026年10月より義務化されます。
ちなみにここで云う「カスタマーハラスメント(以下カスハラと云う)」とは、「顧客等(取引先や施設利用者など)から、社会通念上許容される範囲を超える著しい言動により、労働者の就業環境が害されること(改正33条1項)」と定義されています。
具体的には、暴行、暴言、執拗な居座り、土下座の強要、SNSでの誹謗中傷などが該当します。
参考までに、バス業界におけるカスハラの定義については、日本バス協会が以前報道機関に周知していますので、参考までにご確認ください。
バス業界のカスタマーハラスメントに対する基本方針を作成しました(日本バス協会)
要するにバス業界の場合は、乗客や問い合わせを行う者、潜在的乗客によって、時間的拘束や暴行、暴言、土下座の強要、SNSでの誹謗中傷などによって、運転士やバス会社の従業員の労働環境が害されることを定義します。
さて、今回の改正により事業者は、労働者が上記のカスハラに該当する行為を顧客等から受けた際に、企業として労働者を保護し対応することが義務付けられました。
条文は、「労働者の就業環境が害されることのないよう、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。(改正33条1項)」です。
第一に、カスハラ対策の方針の明確化と周知することです。
会社側が、カスハラに毅然と対応する方針を定め、従業員にそれを周知することです。
この中には、カスハラに該当するものや対応のガイドラインの周知も含みます。
第二に、カスハラを受けた従業員の相談体制を整備することです。
相談窓口をあらかじめ定め、適切に対応できる担当者を会社側は配置することです。
第三に、迅速かつ適切な対応をすることです。
カスハラを受けた従業員のプライバシー保護や、事実確認のうえで必要な配慮を行います。
尚、必要な場合は、弁護士への相談や警察への通報を行います。
第四に、不利益取扱いの禁止があります。
カスハラを相談・報告した従業員に対する不利益な取扱いを禁止となっています。
上記の改正法の措置義務を果たすにあたり、マニュアルの整備は事実上必要不可欠となります。
マニュアルの作成義務自体は、法律で定まってはいませんが、裁判上の証拠、円滑な周知などの具体的な運用面を考えると必ず作る必要があると私は感じます。
ただし、企業側が一から専門家を雇い作成する方法もありますが、労働局により全業種対応のマニュアルの雛型があります。
私は、法の適切、円滑な運用の面から考えても、これを使用した法が良いと考えます。
このマニュアルには、Word版もありますのでカスタマイズが簡単で直ぐに作れると思います。
最後に、カスハラ対策の本質は、乗客と対立することではありません。
乗客からの「正当な意見や苦情には真摯に向き合いながら、社会通念を逸脱した行為からは、会社が責任を持って従業員を守る」その当たり前の仕組みを、これからのバス業界には根付かせていく必要があると感じます。
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