「だめだ!どんな理由があってもお前に行かせる訳にはいかない!
おまえにはこれからも守り続けなければいけないものがいくらでもあるんだ!」
「店長。ぼくは還ってきます。こいつを温かいまま届けて、必ず・・・!」
「待て!これは店長命令だ!」
「だめなんです。ここで行かなくちゃ。
すみません店長。今日はじめて、貴方を裏切ります。
今まで育ててくれて、ありがとうございました!」
「バイトぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
2018年1月18日、業界最大手の「ドミノ・ピザ」が、20分以内に届かなかったら次回Mサイズが無料になる、その名も『ミッション20ミニッツ』を開始した。
一見、お客さんにとってはデメリットの無い最強サービスに、
あるいはドミピにとってはバイト殺しの過剰サービスに見える。
しかし実態は、このサービスを利用するには1回200円をドミノピザに支払う必要がある。
ある人はそれを「保険」と呼んだ。
しかしそれは少し違う。
店側にとってはどう考えても20分以内の配達は無理な状況がある。
例えばちょうど23年前の阪神大震災の直後、食料事情からライフラインまで壊滅していた状況下に20分でピザを配達するなど、コードギアスの「ガニメデ」を使っても不可能だった。
そういう場合は、店側が断ることが出来る。
勝機の無い「闘い」からは降りることが出来る。
出典:ロケットニュース
保険も既往歴等によっては加入できない等の「逃げ」はあるが、「ミッション20」のそれは、もっとゲーム性が強い。
病歴などといういわば客観的な基準によって実施の可否が決まるものではなく、もっと人間的な「決断」により、「勝負」か「降りる」かを決められるからだ。
だからこそこのサービスの捉えかたは二分する。
一つ。ある人は先述のとおり「保険」と呼んだ。
一つ。またある人それを、200円とプライドをかけた「決闘(デュエル)」と呼んだ。。。。。
〈『・・・こちらHQ。八木田店応答せよ。
繰り返す。八木田店応答せよ。』〉
「こちら八木田店。調理場はフル稼働している。
配達員は4名中3名が出動中。オーバー。」
〈『了解。
八木田店、コードM20.場所は福島市泉。
20分以内の配達は可能か』〉
「こちら八木田店。20分での配達は難しい。
路面は凍結。この時間の交通状況をみても「降りる」のが・・・・」
「こちら八木田店!20分以内に必ず配達する!
『ジョーカー』の使用許可を求める!」
「貴様!正気か!路面を見ろ!
お前の眼には磨き上げた球状の21金のように、残酷にも美しく路面に煌く月が映らないのか。
こんな夜に『ジョーカー』だと?ふざけるな!
勇敢と無謀を履き違えるな!お前には俺たちの「作品」を全世界に届ける使命がある!
届け続ける使命があるのだ!
それは崇高にして果てる事の無い恒久の使命である!
一回の、たった一回の『仕事』のために命を投げ捨てていいのか!?
いや、良い訳が無い!
瞼を閉じろ!胸に手を当てろ!
おまえが為すべきことは目の前の『仕事』か、はたまた恒久の『使命』か。
天の視点から見定めるのだ!」
「店長。店長がはじめて『仕事』をしたのは何故ですか。
今でも続けているのは?
ぼくは、たまたま店長に拾ってもらって、自分の意志とは無縁のままに、初めての『仕事』をしました。
そのとき、配達先に行ったら、ドアの前でその家の子どもが待っててくれたんです。
ずっと、凍えるような吹雪の中で。
寒かっただろうに、ほっぺたを真っ赤にしてね、待っていてくれたんですよ。
それが、ぼくが来た途端にパッと晴れ渡るような笑顔になって。
ぼくはそのときのことを、片時も忘れたことはない。
今日もぼくたちを待っている人がいる。
子どもも、大人も。
男も、女も。
カップルも、独り身も。
ぼくたちを待っている。
たとえそれが寒空の下であっても、例外なく。
待っているんです。ぼくたちを。ヒーローを。
そしてヒーローは、逃げちゃダメなんです。
この星を守るため、みんなの夢を、笑顔を守るため。
闘い続けなきゃ、ダメなんです!
だから、行かせてください。
ぼくは今『ジョーカー』で、この『闘い』に挑みます!」
「だめだ!どんな理由があってもお前に行かせる訳にはいかない!
おまえにはこれからも守り続けなければいけないものがいくらでもあるんだ!」
「店長。ぼくは還ってきます。こいつを温かいまま届けて、必ず・・・!」
「待て!これは店長命令だ!」
「だめなんです。ここで行かなくちゃ。
すみません店長。今日はじめて、貴方を裏切ります。
今まで育ててくれて、ありがとうございました!」
「バイトぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「ママ!このピザ、さっきたのんだのに、もうきたよ!」
「すごいわね!魔法使いさんがもってきてくれたのかな?」
「ママ、ちがうよ!ヒーローがもってきてくれたんだよ!」
温かい団欒の横。サイディングの外壁一枚を隔てた寒空の下には、おびただしい傷を負ったスズキの隼が、まだ熱を帯びながら、どこか満足げに横たわっていた。
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