NHK-FM「ベストオブクラシック」

「N響 第2049回定期公演」
初回放送日:2025年11月28日

解説:野平一郎(作曲家・ピアニスト)

案内:金子奈緒

 

ラヴェル:

亡き王女のためのパヴァーヌ
組曲《クープランの墓》
バレエ音楽《ダフニスとクロエ》(全曲)※

シャルル・デュトワ 指揮
NHK交響楽団、二期会合唱団※
(2025.11.14,NHKホール)

 

 

帰ってきて聴いた。昨日の心配が嘘のように素晴らしすぎる演奏と録音だった。

 

 

やはり収録方法による差異なのであろうか。それとも、僕のDACを入れ替えたから?

 

 

 

…と思って、昨日のホルストを聴き直したら、やはり低音がスッキリとせず、木管が聞こえないようなバランスだった。シンバルの炸裂も弱弱しい。だからウチの聴取環境のせいではなさそうだ。

 

また、この回は合唱団が入っていて、ステージ上のオケがだいぶ客席側に迫っていたので、響き方も変わったのかもしれない。残響も心地よく、僕が聴いた現地での視聴時よりも響いていて、「特等席」の放送を味わった。

 

バランス的に管楽器と打楽器が明瞭に聞こえると、音楽に躍動感が生まれる。特にソロがよく聴き取れるマイキングになっていて、《亡き王女》も《クープラン》も堪能できた。吉村さんのオーボエは現地で聴くよりも大きな音に収録されていて嬉しいかぎり。

 

今日の放送はCDにできるぐらいのクオリティだと思う。ぜひ、お願いしたい。(もちろんエアチェックはしたが)

 

《ダフニス》も、冒頭から明瞭に聞き取れる。楽器と楽器のつながりもスムーズで美しい。ミュート・トランペットの音が強奏部できちんと耳に飛んでくると、オケがカラフルになる。

 

当日の席があまり良くなかったから、「特等席」で聴けることが、とてもありがたい。NHK-FM万歳。

 

僕もそうだが、日本人は3連符が苦手だと思う。デュトワとモントリオールの演奏なんかを聴いていると、3連符は「どんどん前に行く」イメージしかない。スペインの放送オケでも同じような印象を持った。互いに染み付いたリズム感を以て、聴き合いながら合わせていくと、自然と「前に行ってしまう」という感じだ。

 

でも、僕たちはどうしても3連符の2つ目と3つ目の音を「等分割」して、それが合っているかどうかの「答え合わせ」を、次の拍のアタマで確かめるようなところがある。つまり、「次の拍で帳尻を合わせている」のである。そうすると、当然、音楽は「前」にはけっして行かず、メトロノーム通りのテンポに、いつでも「修正」されることになる。「走る」のが「怖い」というのもあるだろう。

 

モントリオールもスペイン放送オケも、メトロノーム的には「走っている」ように聞こえるが、音楽としては「躍動感」に変換され、けっして「走って」いるのではなく、「前に行っている」と感じられるのである。

 

峰の覇者、N響を以てしても、このあたりに関しては「おや?」と思う場面があるのだから、ほんと、ラヴェルを日本人が演奏することの「難しさ」といったら、並大抵ではない。

 

全体として「走った」ら、「合って」いるんだ! とは僕の高校時代の先生の「暴言」だが、逆にいうと、3連符をいくら独りでフランス系の人みたいなリズム感で演奏したって、周囲がそれを理解して合わせてくれなけりゃ、白眼視されることは間違いない。それを分かっているから「冒険」できないのではないか。

 

プロの打楽器奏者の本音を聴いてみたいところである。

 

↓ モントリオール響の「前進するリズム」が聴ける好盤。