NHK-FM「音楽の泉」

「ベートーベンのピアノ協奏曲第1番」

初回放送日:2024年9月1日
奥田佳道

 

 

ベートーヴェン:

ピアノ協奏曲第1番ハ長調作品15
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ) 

小澤征爾 指揮

水戸室内管弦楽団

(2017,デッカ)

 

演奏にもブラボー! 奥田先生の選盤の素晴らしさにもブラボーです。

 

聴きたいと思っていた演奏でした。

 

朝夕に秋の訪れを感じられるようになった今日この頃、自室のオーディオでゆったりと聴きたいと思うのは、このような音楽なのでございます。

 

いつもよりも音量を2割ほど上げて聴きました。ライヴ録音ということもあり、非常にリアルな音場が眼前に現れます。いつもの音量で聞いたら、おそらく中低音の優った、やや「お団子状」の塊に聞こえたでしょう。小澤の録るレコードの特徴です。(レーベルやエンジニアによるところも大きいのでしょう)

 

このようなストレートで勢いのある演奏。いくら演奏者が年輪を重ねても、音楽という芸術の上では、何の差別もありゃしない、ということを悟ります。

 

1983年にお二人が、バイエルン放送響で共演した時の映像の方が、音楽的に老成しているように感じます。もっとも80年代のベートーヴェンはみなそうしたものだったのでしょうけれども。

 

 

小澤征爾の指揮というと、昔は第1楽章や第3楽章のような振り方ばかりに目が行っていましたが、この映像を改めて観ると、第2楽章のうねりを引き出す指揮法もスゴイことが分かります。

 

そして、ソリストの(考える)テンポを理解して、オケにキュー出しする技術なんかも、途轍もないと思うのです。ほんのちょっと先行してですね。

 

最近は、イギリス製の小さなブックシェルフのスピーカーで音楽を聞いています。アンプも英国ものです。で、今はなんとなく国産を「別室」扱いにしています。

 

要は、僕ってアキっぽいのですね。飽と秋を掛けてみましたけれども。