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最近あったことを書き留めておきたい。20年以上前に発売されたスピーカー2本を売ることにした。配送業者に引き渡す前の梱包が非常に面倒なので、できれば手渡しでどなたかに譲りたい。

 

そこで、まず、最近ネットを見ていると必ず頻繁に広告に出てくる、とある「オーディオの買取業者」に連絡をとってみることにした。

 

最初は問い合わせフォームからの連絡。すぐにメールで返答が来た。

 

とても丁寧で迅速。問い合わせフォームには買取り機種名を入力する欄があったので、メーカー、年式、型番、程度など、なるべく詳細に回答してあった。

 

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先方からは、メールでの(買取)見積もりの提示などは何もなく、「実機を見てみなければなんとも言えない(相場も言えない)」の一点張り。

 

ではと、日時の予約をして、自宅玄関にスピーカーを用意して業者の到着を待っていると、現れたのはどう見ても20代と思しき男性。結論から言うと、この時ほど「慇懃無礼」という四字熟語をまざまざと想起させられたことはなかった。

 

なんとしてでも買い叩いてやろうと言う根性が、その言葉の端々に露骨に垣間見える。20代の従業員は、おそらく教えられた通りに言葉を選んでいるのであろう。だって、オーディオなんて絶対やっていないようなチャラチャラした若造だったから。

 

曰く、「このタイプは最近は流行らないのですよ」

 

「エッジの交換はしていますか? そうですか、まだですか。…この型ですと、エッジ交換していないと音が変わってきていると思いますねえ」

 

「最近のバスレフポートは背面ではなくて前面に開いているのが主流なのですよね」…云々。

 

なんだろう、この違和感は。

 

僕は「そんなの分かってるよ」という部分と、「そんなこと聞いたことねえよ」という部分を同時に感じながら、心中でツッコミを入れていた。だいたい、そんなテキトーな説明、こっちが買取機種名を回答した時点で、すでに説明できてしまうような浅薄な内容ばかりではないか。

 

20代は、ユニットの状態をろくろく調べることもなく、そして、実際の出音を「一音も」確認することなく、最後にキメ台詞を吐いた。

 

「まあ、せっかくお宅まで来させていただきましたので、今回は特別に、無料で引き上げさせていただければと…」

 

要は、向こうから見れば、「訪問してキャンセルならそれでもよし」、「もし無料で引き上げて来られたらラッキー」、「客が他にお宝を所有していたら、なおラッキー」ってところなのだ。

 

僕は、彼の言葉の上からちょっと食い気味に「キャンセルで」と返答した。声は怒っていたかもしれない。

 

「そうですか…」と男は残念そうに帰っていった。心では、「他に目ぼしい(舶来品の)買取品もなかったなあ」と思っていたに違いない。

 

20年前のスピーカーの買取額が、タダになってしまう。国産とはいえ、定価で十数万円したのに、だ。しかも美品で完動品なのに、である。

 

しかし、僕が悲嘆しているのは、そのことに対してではない。趣味でオーディオを貪ったことのないような893なチャラ男が、マニュアルに沿って愛好者が大切にしてきたオーディオ製品の価値を、なるべく貶めようと躍起になっている、その営業姿勢に対してなのだ。

 

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さあ、困った。フリマサイトで売るなら、梱包をしっかりせねばならぬ。いや、もう直接取引に限定して出品しよう。そう決めて、すぐにフリマに出した。価格は、定価の1/13に設定した。

 

あっという間に、売れた。(安いからね)

 

ラッキー。

 

…ではなかった。

 

個人売買もトラブルの巣窟なのである。今回ばかりは、そのことを再認識させられた。

 

中古を売るときは、ホント、慎重にやらなきゃいけない。肝に銘じよう。