ラヴェル:

組曲《マ・メール・ロワ》

高雅にして感傷的なワルツ

 

アンドレ・クリュイタンス 指揮

パリ音楽院管弦楽団

(1962,エンジェル)

 

 

ジャケ裏には「組曲」と記載されているが、全曲版である。

 

針を落として再生していくと、やはり、フレンチ・ホルンに耳が行く。独特のヴィブラートと、途轍もない存在感。

 

ステレオ初期の録音…と括って良いであろう。楽器までの距離が近く、音像(おんぞう)は明瞭で、音場(おんじょう)は自然に拡がる。

 

 

先日、NHK-FM「吹奏楽のひびき」で聞いたパリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の管楽器の響きとよく似た傾向を感じた。

 

これが、本来のフランス流(?)なのだと思う。

 

「フランスのオケよりもフランス的」と謳われたモントリオール交響楽団の演奏に、私は親しんでいるわけだが、さまざまな経験や知識を通して聴くと、OSMサウンドは、やはり「北米」の音に属すると思う。たとい団員のルーツや言語、使用楽器や奏法が「フレンチ式」であったとしても。

 

モントリオールといえば、10月にシャルル・デュトワがNHK交響楽団を指揮する。7年ぶりになるという。最後の定期演奏会には勿論行った。幸いにして、その時に一緒に聞いた、かつての教え子たちが、今回のチケットを取ってくれた。

 

また一緒に聴ける。素晴らしい。

 

そのNHK音楽祭での演目に《マ・メール・ロワ》(おそらく組曲版)が入っている。かつてとは違う「新しい」NHK交響楽団が、デュトワとどんな演奏をしてくれるのか、実に楽しみだ。