ベートーヴェン:

ピアノ協奏曲第3番ハ短調作品37

 

ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)

ゲオルグ・ショルティ指揮

シカゴ交響楽団

(1972,LONDON)

 

 

週末である。午前まで仕事をしていたが、今週末に聴く第1弾アルバムは、アシュケナージのピアノ独奏によるベートーヴェン作曲、ピアノ協奏曲第3番だ。ベートーヴェンの5曲あるピアノ協奏曲のうちで、どれが一番好き? と聞かれたら、迷わず3番と答える。

 

今月19日にも、ある音大オケによる同曲の演奏を聴く予定だ。

 

のっけからキレ味鋭く、ザックザックとリズムを切り込んでいく演奏で、さすがはショルティ! と期待をけっして裏切らない巨匠性に拍手を送る。

 

当盤のライナーノーツ(記:渡辺学而)にもあるように、アシュケナージの特長は「自然さ」「至極当たり前の演奏」であると言われるが、本当にそうならデッカ/ロンドンのアーティストで良かったのではないかと僕は思う。同社の録音では、実際の演奏に透明感と煌めきが加味されるはずだからだ。

 

僕は、このレコードでアシュケナージを初めて聴いたなら、「至極当たり前の演奏」をするピアニストだなんて、けっして思わないだろう。

 

速いテンポで進む両端楽章では、カミソリのような切れ味を感じるし、装飾音符も、弾いているのかいないのか分からないほどに軽快だ。

 

全体としてはゲオルグ・ショルティとシカゴ交響楽団の音楽になってしまっているのは仕方がないだろう。

 

CDで持っている「ゼルキン&小澤/ボストン響」の全集盤に比べると、柔らかさや優しさに欠ける部分が多くて、刺々しくうるさいイメージがつきまとうが、十分に個性的だと思う。

 

「味気なーし」なんて言わせないぞ。