ウィーンに本社があった「AKG」は2017年に閉鎖されて、ハーマンのあるアメリカと、工場のある中国に拠点を移したのだそうだ。しかも、ハーマンは韓国のサムスン電子の傘下にある。

 

ただ、資本関係が変わっただけでサウンドや技術へのこだわりは継承されている……と勝手に思っていたのだが、そうでないことを、僕は最近知った。

 

AKGの技術者たちで、新しい会社が立ち上げられていたのだ。ブランド名は「Austrian Audio」。

 

ウィーンのAKGオフィスが閉鎖された後、私たちは新しく、挑戦的で、私たちの遺産に敬意を払う何かを作ることに着手しました。2017年7月にオープンしたAustrian Audioが誕生しました。豊富な経験と情熱を届けるという使命を武器に、私たちの専門家チームは、私たちの歴史を持つ企業に期待されるサウンドとエンジニアリングの卓越性を体現する製品の生産に努めることにより、業界の巨人に挑戦する準備ができていました。私たちは、管理、音響、エレクトロニクス、テストと測定、機械設計、RF/ワイヤレス、ソフトウェアとファームウェアの22人の元AKG担当者のコアチームから始まり、成長を続けています。私たちは比較的新しいかもしれませんが、350年以上のエンジニアリングの蓄積に裏打ちされたAustrian Audioのスキル、知識、伝統は生き続けています。そして、私たちは遺産に焦点を当てているだけでなく、私たちの旅がテクノロジー、オーディオ、そして私たちをどこに連れて行っているのかに注目してください。

 

 

僕のAKGとの出会いは、K501であった。スカッと開放的に伸びた高音域が特長で、非常に見通しの良い音に仕上がっていた。

 

 

 

その後、いくつかのAKGを所有していたが、いま思えば、2017年以降のAKGは、かつての音の特長が無くなっていたような気がする。

 

例えば、K371。

 

 

密閉型とはいえ、AKGらしくなく重低音が出て(出過ぎて)、2秒で手放した。AKGのイメージとはまったく異なっていたからである。試聴しないで買った罰だと自分を納得させた。

 

いま、Auatrian Audioのヘッドホンで気になる機種は、Hi-X15である。どんな音なんだろう。

 

 

昨日、たまたま横浜に用があったのでヨドバシカメラで試聴してきた。店員さんに尋ねると、昨年(2022年)の春に発売されたとのこと。価格は約2万円であった。

 

音を聴いて、これは完全に元社員たちの勝利だと思った。良き伝統を残した者たちが正当に評価されなきゃいけない。僕は、このヘッドホンを近いうちに入手することを宣言する。

 

なお、掛け心地も最高。伝統的なAKG K501系は、装着感がゆったりし過ぎていて、もっと耳に密着させて、音を余さず聴きたいという思いに駆られる時がある。耳の後ろに微妙な隙間ができてゆらゆらするのもあまり良くない。

 

イヤーパッドを含めた装着感で、最も近いのが、Panasonic RP-HX700(廃番)だと思った。(意外!)

 

 

Panasonic RP-HX700は音も良いし、パナソニック社はやれば出来る子なのである。僕もたまに思い出しては使っている機種だ。

 

ところで、Hi-X15をすぐに買わなかったのは、価格を調査してからと思ったからで、この商品は値引きがなく、店で買ってもネットで買っても同じ値段だと分かっていたならば、即買いしてたかもしれない。

 

いやまてよ、今日、出かけたら買ってしまうかもしれない。絶対に家にいよう。