先日ウチに来たVictor KD-D33の調子は、残念なことに非常に悪かったが、音質については、大昔の記憶のまま「良かった」と思う。

 

 

一方、Technics/Panasonicのカセットデッキは、どうして「そうでもないんだろう」と、あらためて考える。(余計なお世話だw)

 

企業理念としての「生真面目さ」が先に来るからかなあ…。

 

…などと思いつつ、自分が新品で最後に買ったデッキが、平成2年のPanasonic RS-B965だったこともあり、いまでも松下電器のカセットデッキは思い入れ深いマシーンの一つだ。

 

ところで、先日まで使っていたのは、中古で買ったTechnics RS-BX501というオートリバース機だった。オートリバース機を手にしたのは私には初めてだった。

 

たしかに便利。そして、ポータブル機などとは違って、「往」「復」での音質の差異もなく、メカもおかしなところはなかった。入手してすぐは、音揺れが気になったが、しっかりメンテナンスしたら、すっと収まった。

 

 

しかし、好きなTechnics機をどう贔屓目に見たとしても、決定的に「音が良くなかった」のである。

 

 

これは僕の個体だけの問題だった可能性があるが、「ATC」で調整された音であっても、ナローレンジの音が再生された。いや、「ATC」の効果は抜群で、音調は録音ソースとまったく変わらなかったのだが、もっと微視的な(神経質な)耳で聞くと、なんだか「スッキリしない音」を再生していたということなのである。

 

もちろん、「アジマス狂い」のような音ではなく、ただ単にクォリティーが低い音…。

 

その前に使っていたPanasonic RS-B755(RS-B965の弟機)に比べて、明らかに「2ランク」ほども、次元がダウンしたような印象だった。

 

他のデッキで録音したテープや市販のミュージックテープを再生しても音が良くなかったから、デッキの再生メカニズムや再生アンプの不具合か、グレードの問題なのかもしれなかった。

 

そんなわけで、RS-B965を再び入手したくなってしまい、ヤフオクやメルカリなど覗いてみたのだけれど、早々に諦めてしまった。各出品に目を光らせてみても、落札価格はみな高価…。おいおい、これでは日常の趣味の域を超えてしまう。ましてや、33年前の製品だ。…ちょっと考えてしまう。

 

そんなとき、弟機のRS-B755の更に「下」のグレードのリバース機が目に入った。Panasonic RS-BR465という機種だ。昔のカタログでたしかに見たことのあるデザインだ。

 

 

これなら、送料込みで5,000円。

 

よく見ると、ボタン配置やメーター、録音ボリュームのダイヤルなどの意匠が、「親」的存在であるTechnics RS-B900や、「長兄」のPanasonic RS-B965、「次兄」のRS-B755とよく似通っている。まさに、同シリーズといっていい。

 

珍しいのは、オートリバース機で定価29,800円の超エントリー機であるというのに、フロントパネルのツマミで「バイアス調整」ができるところ。こういう「変態機」を稀に作っちゃうあたりが、僕の松下電器産業という会社を愛する理由の一つなのである。

 

うちのPanasonic RS-BR465

 

手許に届いてから、テープスピードやアジマス、再生ゲイン等について多少の調整はしたが、現在、しっかりと動作していて、そして期待通りに「音が良い」(これ大事)。

 

バブル期の設計だからなのだろうか、「こんな良い音、29,800円の音じゃない!」なんて、私なんかはすぐに感動したがってしまうのだが。

 

このデッキのことについては、そのうちまた語る時が来るであろう。