モーツァルト:
交響曲第41番《ジュピター》、第40番
クラウディオ・アバド指揮
ロンドン交響楽団
(1979,グラモフォン)
グラモフォンに録音したアバドの指揮するロンドン交響楽団のレコードを初めて買ったのは、高校2年生の時だった。盤は《ボレロ》が入ったモーリス・ラヴェルのアルバムだった。
おそらく「FMレコパル」誌のレヴューを読んで購入したのだと思うが、当時、青葉台の246のガード横にあった「メロディ」というレコードショップで予約注文するときに、店長さん(津田さんって言ったかな)に「メンデルスゾーン」の《スコットランド》もいいよ」と薦められて、1年後くらいに、それも買った。CDが普及して、僕もCDプレーヤーを有していたので、その時はもうCDだった。
アバドとロンドン響のグラモフォンのレコードと言えば、ちょっと曇ったような(ロンドンの曇天のような)音質が特長だと思っている。
《ボレロ》には合わなかったかもしれないが、《スコットランド》や《フィンガルの洞窟》にはマッチした。この音質しかないだろうと思わせるものがあった。
では、先日、ブックオフで入手した表題のモーツァルトのレコードはどうであろうか。
重々しくもなく軽々しくもなく、速くもなく遅くもなく、静かでもなく騒がしくもない演奏に仕上がっている。けれんみがないということなのだが、これだけの有名曲でもあるので、他と違ったキラリと光る個性みたいなものに出会いたいなと密かに期待していたのであるが…。
ただ、モーツァルトはどなたが演奏しようとモーツァルトなのであって、その音楽は素晴らしい。「《ジュピター》は宇宙だぜ!」と、僕は日ごろからみんなに言っているのだが、終楽章の対位法を聴いていると、ほんとうにコスモスを感じるしかないんだから、仕方がない。