パガニーニ:
ヴァイオリン協奏曲全集
サルヴァトーレ・アッカルド(Vn.)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
シャルル・デュトワ指揮
(1975,グラモフォン)
今年の5月に、納戸に収まったままになっていたレコードのうち、約200枚を放出し、「もう新たにレコードは買うまい」と宣言したのもつかの間、ここのところまたレコード買いが始まっている。実に困ったものだ。
というか、僕は困らないが、妻があきれているのである。
最近、夏の暑さでCDプレーヤーが壊れたのがいけない。まったく信頼が損なわれてしまったのである。逆にいまは、「もうCDは買うまい」と真面目に思っている。
さて、パガニーニである。ヴァイオリニストであり作曲家、というか自分の演奏のためにせっせと協奏曲を書いた。デュトワが指揮したこのアッカルドの全集は、レコードにおける初めての全集であったようだ。ものの本によると、1960年代までは、第1番と第2番(「ラ・カンパネラ」として有名)しか、世間には知られていなかったという。
ホントに「ヴァイオリンを聴く」音楽となっている。デュトワ指揮のロンドン・フィルも出しゃばらない、というか出しゃばるような場面が用意されていない。CD盤(「第1番」「第2番」)は所有しているので、新たな驚きはないが、「第3番」以降も聴けるので、楽しみである。
レコードを買うとこういう‟秘蔵”写真が見られるから嬉しい。デュトワさんがまだ30代、アルゲリッチの夫君であられた時期である。
封入解説書の記述を引用しよう。(解説:藁科雅美)
(アッカルドは)トリノに室内オーケストラを創設してその指揮者もつとめ、また毎年12月には、ピアノのアルゲリッチ(またはアルヘリチ、このレコードの指揮者デュトワの夫人)、フルートのガッツェローニ、クラリネットのド・ペイエその他の名手と共に、「ナポリ室内音楽祭」も開催しているのである。
このレコードの伴奏指揮者であり、アッカルドを独奏者としてパガニーニの「第6番」の世界初録音をおこなったシャルル・デュトワは、1936年10月7日スイスのローザンヌに生まれた。現代のもっとも期待される指揮者の一人で、わが国にもすでに2回おとずれている。(中略)彼は上述のように天才的な女流ピアノスト、マルタ・アルゲリッチの夫君でもあるが、指揮者として20世紀音楽の解釈には定評があり、またそのフレッシュな感覚は古典やロマン派の作品にもユニークな美感をそなえている。共に30歳代のアッカルドとデュトア(ママ)の協演は、まさに名コンビといえるものだろう。
1970年代に録音したヴァイオリンの音は、レコードで再生することによって、本物としてよみがえると感じる。

