SONY MDR-7506を買うのは、2回目である。我ながら何をやっているのかと思うが、これも趣味のうちということで。

 

前回買ったのは8年前だったか。通勤で京浜東北線に乗っていたら、これを着けている人がいた。なんだかかっこよかった。MDR-CD900STの赤帯じゃなくて、青帯。こんなん着けて通勤してるんだ、いいな、と思って、自分も買った。どこで買ったか覚えていぬ。

音の印象は低音がちだったような気がするが、よく覚えていない。ついでに、なんで手放したのかも覚えていない。

 

今回はサウンドハウスのポイントを使って購入。音屋さんのは、逆輸入品だそうである。透明な陳列箱にパッケージングされていた。音は、前回の印象と全然違い、高音が聞き取りやすく、シャリシャリしていて気持ちよかった。だいぶ、僕好みの音質である。

 

聴感は、年齢で変わるのだと思うし、ロングセラー製品だから、どこかでチューニングが変わった可能性もある。真相はよくわからない。しかし、何かもやもやするので、国内正規品(保証書付き)を売っているヨドバシ・カメラまで行って、同じヘッドホンを入手した。物好きにも程がある。

 

結論は、輸入品も国内品も、どっちも同じ音。僕の耳が変わっただけかもしれない。

 

実は、さらに物好きなことをしてしまったのである。姉妹機のMDR-CD900STも、一緒に買ってきてしまったのだ。ヨドバシ・カメラの売価がかなり安くなっていて、なんと、どっちの機種も、ポイントを入れればサウンドハウスさんで買うよりも安かった。

 

比較するしかあるまい

 

見た目はね、やっぱりこの900の方がなじみがあってかっこいいと思う。ハウジングも金属で、縁取りがピカピカである。ストレート・コードで長さが2.5mというのもいい。ミニ・プラグに対応していないのも、僕は別に不自由に感じない。

 

一方の7506のハウジングはプラのようだ。ピカピカの面取り加工もない。カール・コードは最短で1mちょっと。伸ばすとけっこう行く。プラグは、ソニー製品でよく見る緑色の絶縁体が入ったアダプターを介して、3.5mmミニ・プラグにも対応している。

 

MDR-CD900STが、MDR-7506と同じような音だったら、MDR-CD900STの方をメインに据えようと思っていた。

 

しかし、期待は大きく外れた。

 

私はリスニング用途として、MDR-7506を選ぶことにした。7506に比べて、900の方は低音が支配的で、金物系の高音域(具体的にはハイハットシンバル、ライドシンバルのカップ音、トライアングル、タンブリンのリンなど…)が聞き取りつらかった。

 

これは、巷にあふれるMDR-CD900STのレビューとむしろ真逆なので、ちょっと戸惑うのだが、自分の耳が一番信用できるのは確かだ。もっとも、加齢性難聴(高音域が聴き取れない症状)であることも、大きく関係していることだろう。よって、「7506の方が低音が聞き取りやすい」という評判も、僕の耳では肯定できなかった。

 

イヤー・パッドを両者で互いに交換して聴いてみても、印象は変わらなかった。これで、イヤー・パッドを変えればなんとかなる、という類いの問題ではないことがはっきりした。

 

オーディオなんて、とどのつまりは好みの問題である。自分の気に入ったものを使って聞けばいい。

 

それにしても、まさかソニーのヘッドホンに“回帰”するとは思ってもみなかった。国産のヘッドホンは、ソニーから始まって、松下、オーテク、ビクター…と、高価なのから安価なのまで、いくつか使ってきたけれど、今回のMDR-7506が最もしっくりきた。

 

素直に音楽を愉しみたい。