レスピーギ:

交響詩《ローマの松》

 

ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮

フィルハーモニア管弦楽団

(1958,EMI)

 

 

101枚のカラヤン・ボックス・セット(現ワーナー、旧EMI)を買った。個人的な趣味としては、ステレオの音源を中心に聞きたいと思う。今回初めて聴いたステレオ音源の中に、標記の《ローマの松》が収録された盤があったのであるが、これが素晴らしく良かったので載せておきたい。

 

 

前回も同様のことを記述したが、これが60年以上前の録音とは思えない。レコード藝術というのは、つくづくも時空を超えたタイム・トラヴェルであることを痛感する。

 

録音だけでなく、カラヤンの解釈もオケの技術も素晴らしくて、ちょと病みつきになりそうだ。

 

第4曲の《アッピア街道の松》で感動しない演奏があったとしたら、相当にダメな演奏者だと思う。つまり、どんな演奏でもそこそこ感動してしまうのが、この終曲のフォルティッシモなのだが、カラヤンとフィルハーモニア管は、そんな下俗な次元を遥かに超えて、シンフォニックな世界へ聴者を導く。テンポは相当に遅く、行進ではなくゆっくりと「練り歩く」ような音楽となっていた。おかげで、オーケストレーションとソロイスティックな妙技について、存分に愉しめるのである。