5月5日に府中にある大國魂神社の例祭 くらやみ祭を観に行って来ました。
4月30日の品川海上禊祓式から始まって、5月6日朝に還御するまで、毎日何らかのお祭行事が行われる大規模なものです。
観に行った5月5日は、その中でもクライマックスといわれる、お神輿の神幸渡御が行われる日です。
昼過ぎに府中に入りました。
まずは、大國魂神社にお参りします。
京王線の府中駅から神社に向かってまっすぐ伸びる、参道のケヤキ並木が清々しいです。
このケヤキ並木は、国の天然記念物に指定されているそうです。
何と言っても歴史があります。
平安時代後期の武士、源氏の棟梁 源義家から寄進されたケヤキです。
参道の途中に、源義家の像が建っています。
大國魂神社はそれ以上に歴史があります。
ここは武蔵国の国府が置かれた場所で、大化の改新の年に国府設置と併せて神社も整備されたと思われます。
神社の創建は、それよりもさらに遡って、西暦111年と伝わっているそうですよ。
武蔵国内の著名な神、六所(6社の神)も祀っていて、「武蔵総社六所宮」とも呼ばれてきました。
一之宮:小野大神 - 小野神社(東京都多摩市)
二之宮:小河大神 - 二宮神社(東京都あきる野市)
三之宮:氷川大神 - 氷川神社(埼玉県さいたま市大宮区)
四之宮:秩父大神 - 秩父神社(埼玉県秩父市番場町)
五之宮:金佐奈大神 - 金鑚神社(埼玉県児玉郡神川町)
六之宮:杉山大神 - 杉山神社(神奈川県横浜市緑区)
後で登場するお神輿8基のうち、6基はこの六所宮のものです。
名実ともに武蔵国を代表する神社なんですね。
参拝していると、12時30分から道清めの儀式が行われました。
これはお神輿・大太鼓が通る道をあらかじめお祓いして清める儀式です。
神職がお祓いする後を、竹で地面をたたきながら進みます。
14時を過ぎると、太鼓送り込みということで、大太鼓が次々に境内に入ってきます。
大太鼓は、全部で6張あります。
最大の太鼓は、御先佛御太鼓(下の写真)で、皮面の直径が2mもあります。
人が上に乗って、轢いて移動します。
この大太鼓をたたくのが迫力満点で、他の祭では見られない独特なものです。
(動画でご覧ください)
手前から五六之宮御太鼓、三之宮御太鼓、二之宮御太鼓が並びます。
15時を過ぎると、4月30日の品川海上禊祓式で汲み上げた海水を持った汐盛講の行列が入って来ます。
この海水が奉納されると、太鼓を打ち鳴らすのが打ち止めになります。
こののち、17時20分から御霊を神輿に移す儀式が厳粛に執り行われ、18時からいよいよ神輿渡御になります。
渡御は、大太鼓が先導し、お神輿はそのあとに続きます。
結構ゆっくり行われるので、場所取りをすると、待ち時間は長くなります。
こちらは、府中駅の近くのペデストリアンデッキの下。
交差点では、真正面からお神輿が近づいて来るのを、観覧できて、迫力があります。
この神輿渡御は、その昔は町中を真っ暗闇にした中で行なわれていたそうです。
それで「くらやみ祭」と呼ばれてきた訳です。
今は、そういうことはないので、「くらやみ祭」という名前と実態が一致しません。
真っ暗闇にした理由は、神聖な神様に光を当てて見てはいけないということだそうです。
暗闇の中で祭を行なうことで、見知らぬ若い男女が乱交を行なう無礼講が公然と行われていたというのが、もうひとつの祭の顔です。
その頃はお祭りで妊娠した女性が多かったとか。
そんな裏の歴史も思い浮かべながら、くらやみ祭を観覧させてもらいました。
20時30分頃には退散しました。
お神輿は、21時頃までかけて御旅所へ着き、22時30分にやぶさめ式をして、この日は終了。
翌6日の朝4時~8時に御神輿が神社に戻る還御が行われて、お祭がすべて終了します。