白金台の松岡美術館で開催中(2024年6月18日~10月13日)の「レガシー ― 美を受け継ぐ」展を観に行ってきました
松岡美術館を訪問したのは、昨年の同時期に「モネ、ルノワール 印象派の光」展を鑑賞して以来で2回目
松岡美術館は、実業家の松岡清次郎が自身のコレクションを元に1975年に創設した私設美術館です
西洋画だけでなく、陶磁器や仏像、エジプトの発掘品など多岐にわたるコレクションがあります
本展の他に「唐三彩―古代中国のフィギュア―」、「古代エジプトの美術」の企画展、さらに仏教彫刻、近現代彫刻の常設展示もされていました
こじんまりした私設美術館ながら、こんな作品まで収蔵していたのかと唸らせるコレクションを持っていますよ
本展では、20世紀初頭にパリに集まった画家たちが新しい美の表現を追求しながら、次の世代に繋いでいった作品にスポットを当てます
美術史的には、エコール・ド・パリ、フォーヴィスム、キュビスム、シュールレアリスムなどの潮流・運動になります
前回訪問時は、ルイ・ヴァルタの≪水浴の女たち≫という作品に注目した(こちらのブログで紹介)のですが、今回もルイ・ヴァルタの作品に持っていかれました
≪黄色い背景と大きな花瓶≫という作品です
≪黄色い背景と大きな花瓶≫ ルイ・ヴァルタ
サイズが大きめなせいでもありますが、ひときわ目立っていました
鮮やかなオレンジ色の布を背景に広げ、花と同じくらいに主張していますが、
布は斜めに小刻みに流れるタッチで描かれ、
まるで水の流れか、風にそよいでいるかのよう
あと写真は撮影禁止でありませんが、キース・ヴァン・ドンゲンの≪マヨルカ島の女≫も、素晴らしい作品でした
パリに渡った日本人画家では、藤田嗣治が代表として紹介されています
≪聖誕≫という絵は、キリストの誕生を題材にした、日本人画家としては珍しい作品です
≪聖誕≫ 藤田嗣治 1918年
パンフより引用
他に日本人画家では、田中繁吉の≪紫紺の布≫が秀逸でした(写真は禁止だったので、ありません)
但し1981年と晩年の作品で、20世紀初頭の頃をテーマにした企画展示としては、ちょっと時代が外れてしまいます
エコール・ド・パリの画家としては、キスリング、モディリアーニといった無表情の女性の肖像画、ユトリロの無機質な街路の絵が並びます
≪若い女の胸像(マーサ嬢)≫ アメデオ・モディリアーニ 1916~17年
≪モンマルトルのジュノ通り≫ モーリス・ユトリロ 1926年
そんな中でシャガールの作品は、異色な題材と画風・色彩で、他に類を見ないものになっています
館内は、写真撮影できる作品もいくつかあります
シャッター音も禁止となっていて、これは賛成
あと作品のキャプションでいいと思うのが、制作した時の画家の年齢も書かれていること
これは今後のスタンダードになってほしいもの