六本木の泉屋博古館東京で開催中(2024年3月16日~5月12日)の「ライトアップ木島櫻谷」展を観に行って来ました。
木島櫻谷(このしまおうこく)の展覧会は、昨年も泉屋博古館東京で開催していました。その時のブログはこちら。
2年連続で企画するなんて、どうして?と思いましたが・・・
泉屋博古館は住友家のコレクションの美術館ですが、住友家本邸に飾るための大屏風の制作を木島櫻谷が請け負っていたんです。
そんな深い繋がりがあったとは知りませんでした。
その大屏風の全点が、今回の展覧会で展示されています。
まず最初の展示室に、その大屏風5点がドーンと展示されています。
この展示空間は圧巻です。
各季節の花や風景が描かれているので、季節ごとに飾る屏風を替えていたことが分かります。
冬から早春にかけては、≪雪中梅花≫。
花開く前の蕾の時期を描くから、いいんです。
≪雪中梅花(左隻部分)≫ 大正7年(1918) 泉屋博古館東京 絵葉書より
春は、≪柳桜図≫。
先日、京都の六角堂で観た柳と桜のコラボレーションを思い出します。
≪柳桜図(部分)≫ 大正6年(1917) 泉屋博古館東京 HPより
初夏は、≪燕子花(カキツバタ)図≫。
これだけ写真撮影OK。尾形光琳の燕子花図と比較しちゃいます。
光琳以上に、装飾的に描かれています。
≪燕子花図≫ 大正6年(1917) 泉屋博古館東京
秋は、≪菊花図≫。
白菊がメインで、アクセントとして僅かに紅菊が描かれます。その描き方の違いがおもしろい。
≪菊花図≫ 大正6年(1917) 泉屋博古館東京 フライヤーより
最後の≪竹林白鶴≫は冬でしょうか。
このように最初の展示室は、季節ごとの花や木々が描かれた大作で飾られていますが、以降の展示では主に動物を題材にした作品が登場します。
櫻谷が影響を受けたであろう、円山四条派の絵師たちの作品も並べて展示することで、その違いや共通点を確認しながら鑑賞できます。(円山四条派の作品はすべて京都にある泉屋博古館の所蔵です。ここはやはり京都ならでは。)
櫻谷の動物画では、ライオンと虎を描いた屏風絵が迫力満点です。
ライオンのたてがみのリアルさは、迫力があります。
顔やたてがみは、ディテールまで描き込んでいますが、胴体、特にお腹などはササッと軽く描いていて、メリハリがあります。
鹿やリスを描いた作品では、櫻谷の動物たちへの愛情が感じられます。
写実的であるだけでなくて、その愛らしさやしぐさを際立たせるようにていねいに描き込んであります。
≪双鹿(そうろく)図≫ 明治30年代 個人蔵 絵葉書より
≪葡萄栗鼠≫ 大正時代 泉屋博古館東京 絵葉書より
昨年の展覧会と同様に、写生帖も展示されています。
前回は風景画でしたが、今回はすべて動物画です。
写生を重視した姿勢が良く伝わってきます。