上野の東京都美術館で開催中(2024年1月27日~4月7日)の「印象派 モネからアメリカへ―ウスター美術館所蔵―」展を観に行って来ました。
平日でしたが、思ったよりも人が多く混雑していました。
やはり印象派が好きな人が多いんでしょう。
本展はアメリカの印象派画家にスポットを当てているので、日本にはあまり知られていない画家の作品が多いのですが、何と言ってもモネの睡蓮が来ているので、そこだけでも大注目です。
先日まで「上野の森美術館」で開催していたモネ展がすごい人気だったことを考えると、このモネの睡蓮目当てで来場した人も結構いそうです。
モネの睡蓮を美術館として初めて購入したのは、本展で多数の絵を貸し出してもらっているウスター美術館なんだそうです。
そのため、購入当時の交渉のやり取りをした手紙まで展示されています。
さて本展の睡蓮ですが、数ある睡蓮の絵の中でも、とりわけ素晴らしい作品だと思います。
≪睡蓮≫ クロード・モネ 1908年 ウスター美術館
色に透明感があってきれい、そして水面に映り込む柳の緑がきちんと見えます。
モネの他に、ピサロ、シスレー、セザンヌ、ルノワールなどフランスの印象派画家の作品もあります。
印象派展にアメリカ人として唯一参加したのが、メアリー・カサットです。
アメリカに印象派を紹介し広める役割も果たしました。
そんなアメリカで誕生した印象派画家の作品が多数展示されています。
チャイルド・ハッサムはその代表です。
パリで描いた作品のひとつがこちら。
≪花摘み、フランス式庭園にて≫ 1888年 チャイルド・ハッサム ウスター美術館
本展のメインビジュアルにもなっています。
地面に揺らめく木漏れ日がいかにも印象派です。
構図も独特です。まっすぐに伸びる通路、上から覆いかぶさる木の枝、遠近感が少し歪んでいる。
ハッサムはアメリカの都会の風景を多く描きました。
街を行き交う人々の姿、雑踏が洗練されたタッチと色彩で描かれています。
この雨に濡れた大通りの光景もハッサムらしい作品のひとつです。
≪コロンバス大通り、雨の日≫ 1885年 チャイルド・ハッサム ウスター美術館
ウスター美術館の地元ウスターからも印象派の影響を受けた画家が生まれました。
グリーンウッドは、ニューイングランドの穏やかで明るい風景を描きました。
≪リンゴ園≫ 1903年 ジョゼフ・H・グリーンウッド ウスター美術館
アメリカ以外の画家も紹介し、印象派が各国に広がったことを解説しています。
例えばスウェーデンのアンデシュ・ソーンという画家。
≪オパール≫ 1891年 アンデシュ・ソーン ウスター美術館
湖面の揺らめき、緑の草、裸婦の背中の木漏れ日など印象派の影響がいっぱいです。
影響を受けた日本人画家として 黒田清輝、久米桂一郎、藤島武二、太田喜二郎なども展示されています。
19世紀終わりから20世紀にかけては、印象派の次を行く、象徴主義やフォービスム、キュビスム等が登場してきた時代で、どうしても新しい潮流に注目が行きがちですが、世界中に印象派の流れが広がって当たり前になる時代でもあったんだなと再認識しました。
展示作品は写真撮影NGでした。貼り付けた写真は絵葉書からの引用です。