M君が見た天使 | らいとまんのブログだぜ

らいとまんのブログだぜ

映画、怪談、競馬、俺の料理、日々のつぶやき・・・

チーフ助監督M君の見た天使

「櫻井ちゃん、俺は天使を見た事がある』
霊感が強いM君が話してくれた。
彼は当時、都内の若者の街と言われる街
がある区内の少し外れに住んでいた頃。
酒好きのM君は酔った帰り道、東京では
稀な大雪になってしまった。

M君は極寒の深夜、酔いと寒さで自宅まで
辿り着けずに歩けなくなり、自動販売機
に寄りかかったまま座り込んでしまった。

動けない。からだに雪がどんどん積もって
いくのだけわかった。
俺はこのまま死んじゃうのかな。
そんな事思ってたら、いつの間にか目の前
に女の子が立ってるんだよ。
10歳くらいかな。すごく可愛らしい女の子
がさ、何かを俺に持たせてくれた。
何かはわからないけど、凄く暖かかった。

俺はそれを抱えるようにして、歩いて
帰る事ができたんだ。
部屋に着くと、女の子がくれた何かは
もう無くなっていて、何を抱えて帰って
来たのかもわからないままだった。

夜中の3時だぜ。
よく考えたら、そんな夜中、しかも
あんな大雪の中にそんな女の子がいる
わけが無いじゃん。
俺はね、天使だと思ってるんだよ。
誰が何と言おうとあれは天使だ。

M君がその話をしてくれた約半月後くらい
に、彼がまた話してくれた事。
「櫻井ちゃん、ちょっと前に天使の話を
しただろ?いたんだよ。また会ったんだ。
昨日初めて飲みに行った店のカウンター
の端に1人で座ってた。おとなだったけど
俺にはわかった。絶対あの時の女の子だ。
話しかけようとして席を立ったらさ、
もういないんだ。一瞬の間に消えたんだ』

あれからM君は再びその女の子には
会える時はあったのだろうか。