今日の一曲!高宮なすの(CV:鳴海杏子)「メニメニマニマニ」 | A Flood of Music

今日の一曲!高宮なすの(CV:鳴海杏子)「メニメニマニマニ」

 【テーマ:夏】の「今日の一曲!」第八弾は、高宮なすの(CV:鳴海杏子)の「メニメニマニマニ」(2013)です。TVアニメ『てーきゅう』第2期の主題歌で、第4期の「ファッとして桃源郷」(2015)と共にシリーズの二大人気楽曲として有名かと思います。



 TV放送を区々ながらでも観ていたこととネット上での評判は聞き及んでいたことから、このように作品について多少の知識は持っているものの、実はきちんと通して観たことはないというのが、僕の『てーきゅう』に対する遍歴です。3分アニメとはいえ現在のところ第9期(+外伝?が2つ)まで放送されているほどの話数の多さなので、後追いするにはちょっと尻込みしてしまっています。ギャグのテイストやキャラデザは好みなんですけどね。

 要するに僕はニワカにもならない程度のファンでしかないわけですが、主題歌に関しては特筆すべきものがあると以前から知ってたため、シリーズの関連シングルは何枚か所持しています(集めていた当時はまだ『てーきゅう BEST』(2016)が出ていなかったのです)。冒頭に書いた通り、今回紹介する「メニマニ」と「ファッと~」が二大ヒットナンバーであるとの認識は僕もご多分に洩れずという感じなのですが、個人的な好みではここに「黄金のキンデレラ〜午前0時に魔法は解けず〜」(2015)と「ニホンゴワカリマセン」(2016)を加えて、勝手に四大名曲として扱っている次第です。笑




 この手の楽曲に対しては分析的なレビューに注力するのもどうかという気がするので、まずは全体評として「なすの先輩らしいゴージャスな歌詞がノリの良いポップな旋律とサンバ風のアレンジによって紡がれるハイテンションサマーソング」であると対外的に無難な形容を載せ、これを免罪符として以降には個人的興味全開で細かいツボについて言及していくことにします。


 本曲はとりわけ「メロディに対する言葉の乗せ方が上手」だと感じるので、その巧みさこそがまさにツボです。何処を切り取ってもこれを説明するには適していますが、Bメロの歌詞が最もフロウが良くて気に入っています。

 "オーダー/とびきりのアレをシルブプレ"は、メロの動きと濁音・半濁音の重ね方に同期性が窺えて口遊みたくなりますし、"食べごろ あま~い絶好球"は、長音と促音の使い所が旋律によくマッチしているのでモーラ的にも流麗で素晴らしく、この韻律への配慮というかセンスは見事だとしか言いようがありません。続く"退屈 see you また来世"は、一転して清音のみとなってメロの美しさに正しく寄り添っていますし、そのワンクッションを挟んでからの"法定速度 おいこして/丁々発止 ほら天変地異のはじまり"は、四字熟語(=拍数の多い言葉のまとまり)を連続させることで譜割りの細かさに対応出来ていて、これまた言語の特性を活かした技巧的なフレーズであると絶賛します。


 Aメロとサビに対しても同様の分解レビューを披露することも可能ですが、キリがないのであとは単純に好きな歌詞について語ることにします。

 なすの先輩の歌なのでやはりリッチな表現の面白さが際立っており、"手に入らないものなど なくってよ"の例示が、"マカロニサラダから/ヤンバルクイナまで"と"ハロゲンヒーターから/トーテムポールまで"と謎チョイスなのもジワジワきますが、いちばん好きなのは"世界の中心で金をさけんだら/明日の今頃には/もうウィンブルドン (Fu! Fu!)"という、思い出したようなテニス要素を含む一節です。笑

 "パーティパーティ all night!/未成年ですわね… (パーティ!)"の自重意識も可愛らしいですし、"わずかなスキマに/すかさずカットイン"はアニメのハイスピードさにもぴったり、"存在 beanus 罪ですわ"(※英語のスペルは歌詞ママ)のナルシ具合もなすの先輩ならば許せてしまう気がしますし、"野口、樋口、諭吉をしもべに"は流石の一言。…と、キャラソンとして見た場合にも優秀で、楽曲制作者であるやしきんさんのキャラ愛が感じられるようです。


 余談というか掘り下げになりますが、やしきんさんが制作に携わっているナンバーには結構な数のお気に入りがあります。『てーきゅう』についても前置き部に書いた「勝手に四大名曲」のうち三曲は彼の作品ですし、他のアニメの楽曲だと「ばいたる☆エクササイズ」(2015)、「Hey!カロリーQueen」(2016)、「有頂天トラベラー」(2017)、「進化系Colors」(2018)あたりはフェイバリットソングです。