今日の一曲!SUN & LUNAR「Romantic Summer」
【テーマ:夏】の「今日の一曲!」第三弾は、SUN & LUNARの「Romantic Summer」(2007)です。TVアニメ『瀬戸の花嫁』のOP曲で、作中に登場するヒロイン2名によって歌われています。
アニメで両名(瀬戸燦=SUN/江戸前留奈=LUNAR)のCVを担当した桃井はるこさんと野川さくらさんがボーカルを務めていて、且つ作詞・作編曲も桃井さんによる楽曲であるので、ブログテーマは便宜上「UNDER17・桃井はるこ」にしました。
『瀬戸の花嫁』は僕の第一次アニヲタ期が終わろうとしている頃;つまりアニメから卒業しようと考えていた時期に観た作品のために記憶が曖昧なのですが、かなり面白かった覚えがあります。原作漫画も買うぐらいには当時気に入っていたはずなのに、残念ながら売ってしまって手元にないんですよね…
補足:第一次アニヲタ期の終焉は「ポジティブな意味合いでの二次元断ち」によって齎されたものなので、アニメだけでなく漫画に対しても「よっぽど気に入っているもの以外は全て売ってしまおう!」という心理が働き、5段階評価で言えば☆4以下の作品がその対象となっていました。当時はそれで満足していましたが、8年越しに二次元趣味に出戻ってからは「なにも☆4まで売ることはなかったんじゃないか…」と後悔し通しです。『瀬戸の花嫁』もそのひとつで、他には『ひだまりスケッチ』『ローゼンメイデン』『ひぐらしのなく頃に(漫画版)』『ジンキシリーズ』『ながされて藍蘭島』『まもって守護月天!』『パンプキン・シザーズ』あたりを手放したのは悪手だったと感じています。思い出せる限りを適当に並べてみましたが、当時の自分はなぜかガンガン系に厳しかったとわかるラインナップですね。笑
【追記:2021.8.7】 近所の中古屋にレンタル落ちのDVD全巻セットがあったので、申し訳なさを感じつつも購入して改めて視聴しました。自分の記憶以上にハイテンション&ハイテンポに展開していく体感時間圧縮アニメで、当時はよくわからなかった映画や漫画などのパロディも今は理解出来るようになっていたので尚の事面白かったです。劇伴も「元ネタにこんなに寄せちゃって大丈夫なの?」と、心配になるくらいの攻めっぷりで好感が持てます。
燦ちゃんをいちばん魅力的に感じたのは昔から変わらずですが(特に作画がデフォルメ調になった時の桃井さんのゆる~い演技が好み)、今般の観直しでは巡が殊に良いキャラだなと思いました。風紀委員らしく事ある毎にホイッスルを鳴らしてくるのは王道でも、警告の擬音を口に出す(「ブビビビビー!!」みたいな)演技は斬新で可愛いかったです。あとはシャーク藤代に対する評価も俄に爆上がりし、人化形態のデザインの格好良さがCV子安武人で強化されていて迫力があります。加えて、僕が目下再放送で『うる星やつら』を観ているせいもあるのでしょうが、両作には同種のハチャメチャ感を覚えました。主人公の永澄くんの扱いが実の両親からも雑なところなんかは近しいなと。笑【追記ここまで】
話を音楽に戻すと、漫画は売ってしまってもCDは売っていなかったことから、作品の音楽は大層気に入っていたのだと言えます。3,000枚の限定生産だったらしいライブソングCDも、そんなにレアなものだとは知らずにちゃっかり2枚揃えていて自分でも驚きました。これは作品自体が好きだったということも勿論理由にはなりますが、元々UNDER17および桃井さんのファンであったために、迷わず手を出したのだという向きもあるでしょう。
先述の通り「Romantic Summer」は楽曲制作の段階では桃井さんによるソロワークス作だと言えます。当時僕は「桃井さんってこういう曲もひとりで書けるのか!」と驚いた覚えがあり、なぜならGS(グループサウンズ)全開のサウンドデザインであったからです。昨日の「今日の一曲!」でもGS風のアニソンを紹介していて、本曲もその流れで候補にあがってきたわけですが、こちらのほうがよりGSらしい或いは夏らしいストレートなつくりとなっています。アニメのOP映像自体がまさにこのイメージだと思いますしね。
波音のSEから幕を開け、穏やかなギターフレーズを挟んだ後に、美しいメロディでもって"夏の風が 髪を撫でる/気のせいかな 恋の予感…"とロマンチックな歌詞が綴られる序盤。…の雰囲気を一気に打ち破るザ・ベンチャーズよろしくのテケテケテケテケ!
この冒頭の数十秒だけで、堪らない人には堪らない展開だと言えます。「テケテケ」という言葉で十分に通じると思いますが、もう少し踏み込みたい方は「サーフサウンド」「クロマティックラン」「トレモログリッサンド/グリスダウン」あたりのワードで検索してください。ためになる解説ページはたくさんヒットします。
先にリンクした記事にも書いた通り、僕はGS世代ではないので後追いで興味と知識があるだけですが、2007年当時の桃井さんと今の僕の年齢がほぼ同じであることを考慮すると、やはりある程度年齢を重ねるとレトロ趣味に走るものだよなぁと、僭越ながら共感を覚えることが出来ました。
後追いゆえに前の記事も含めてここまでに披露したジャンルに対する説明も、厳密には「影響を受けた」と記すべきポイントをいくつか省略している節があるため、「ベンチャーズはGSではないのでは?」や「GSとサーフサウンドはまた別では?」などのツッコミは至極当然であると補足しておきます。本曲には「それら複数の要素がある」と捉えているのだということだけでも伝わればOKです。
現在ではサーフサウンド或いはサーフミュージックと言えば指すところも広く、バンドスタイルやロックに限らずクラブ音楽やレゲエなんかも対象になっているのでは(要するに個々人によって区々だ)という気がしますが、GSに見られるような良い意味でのダサさと格好良さが共存している音楽こそが「まさに夏!」だという感じがするので、もっとこういうユニーク成分が多めの曲が増えればいいのになと思います。
"キラキラ熱い夏の浜辺"をコーラスでもう一度繰り返すところや、"晩生な a lonely maiden"の"a"の部分で醸されるセクシーさ、小節終わりにサザンオールスターズの曲によく出てくるカスタネットの音を挿入したくなるようなBメロに、身体が左右に揺れてしまうのを拒めない調子の好いサビメロ、コーラスとキーボードとギターのセッションがひたすらに素敵な間奏と、何処を切り取っても夏らしさに満ちていて完璧です。
―
余談というか、最後に夏のアニソンに対する一考を載せて締めます。今は2018年夏アニメが放送されている時期ですが、時節柄夏や海にフォーカスされた作品も当然ながら多いですよね。視聴している中では『ISLAND』『はるかなレシーブ』『ぐらんぶる』あたりは特に夏らしいアニメだという認識ですが、いずれもOP曲が素晴らしいなと思っています。実際の季節とあっていることや夏らしいOP映像も込みで考えると、ブーストがかかっている面は否めませんが、それでもです。
後に単体でレビュー或いは年末に更新予定のアニソン振り返り記事の中でふれるかもしれないので、ここでは各曲に対する詳しい言及は行いませんが、いずれの曲も夏らしさの演出に寄与しているのはドラムセクション(ビートメイキング)とシーケンスフレーズであると分析していて、ギターサウンドによって夏を醸していた時代とは違うなということを実感しています。先にサーフミュージックの指す幅が広がっている可能性について書きましたが、そこにクラブ音楽やレゲエという言葉を出したように、ノリの良いグルーヴによってライトなレイヴ感を出すのが主流なのでしょうかね。
『ぐらんぶる』OP曲の「Grand Blue」は湘南乃風のナンバーなので、これはまあらしいなということでわかりやすいと言えますが、『はるかなレシーブ』OP曲の「FLY two BLUE」は、可愛らしい歌声とメロディに対してリズムパターンがとてもダンスミュージックしているように聴こえ、面白いアプローチだと評価しています。『ISLAND』OP曲の「永遠のひとつ」は毛色が異なりますが、強いてレイヴ文化に絡めるのであればチルアウト的な役割があるトラックだという認識です。
アニメで両名(瀬戸燦=SUN/江戸前留奈=LUNAR)のCVを担当した桃井はるこさんと野川さくらさんがボーカルを務めていて、且つ作詞・作編曲も桃井さんによる楽曲であるので、ブログテーマは便宜上「UNDER17・桃井はるこ」にしました。
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『瀬戸の花嫁』は僕の第一次アニヲタ期が終わろうとしている頃;つまりアニメから卒業しようと考えていた時期に観た作品のために記憶が曖昧なのですが、かなり面白かった覚えがあります。原作漫画も買うぐらいには当時気に入っていたはずなのに、残念ながら売ってしまって手元にないんですよね…
補足:第一次アニヲタ期の終焉は「ポジティブな意味合いでの二次元断ち」によって齎されたものなので、アニメだけでなく漫画に対しても「よっぽど気に入っているもの以外は全て売ってしまおう!」という心理が働き、5段階評価で言えば☆4以下の作品がその対象となっていました。当時はそれで満足していましたが、8年越しに二次元趣味に出戻ってからは「なにも☆4まで売ることはなかったんじゃないか…」と後悔し通しです。『瀬戸の花嫁』もそのひとつで、他には『ひだまりスケッチ』『ローゼンメイデン』『ひぐらしのなく頃に(漫画版)』『ジンキシリーズ』『ながされて藍蘭島』『まもって守護月天!』『パンプキン・シザーズ』あたりを手放したのは悪手だったと感じています。思い出せる限りを適当に並べてみましたが、当時の自分はなぜかガンガン系に厳しかったとわかるラインナップですね。笑
【追記:2021.8.7】 近所の中古屋にレンタル落ちのDVD全巻セットがあったので、申し訳なさを感じつつも購入して改めて視聴しました。自分の記憶以上にハイテンション&ハイテンポに展開していく体感時間圧縮アニメで、当時はよくわからなかった映画や漫画などのパロディも今は理解出来るようになっていたので尚の事面白かったです。劇伴も「元ネタにこんなに寄せちゃって大丈夫なの?」と、心配になるくらいの攻めっぷりで好感が持てます。
燦ちゃんをいちばん魅力的に感じたのは昔から変わらずですが(特に作画がデフォルメ調になった時の桃井さんのゆる~い演技が好み)、今般の観直しでは巡が殊に良いキャラだなと思いました。風紀委員らしく事ある毎にホイッスルを鳴らしてくるのは王道でも、警告の擬音を口に出す(「ブビビビビー!!」みたいな)演技は斬新で可愛いかったです。あとはシャーク藤代に対する評価も俄に爆上がりし、人化形態のデザインの格好良さがCV子安武人で強化されていて迫力があります。加えて、僕が目下再放送で『うる星やつら』を観ているせいもあるのでしょうが、両作には同種のハチャメチャ感を覚えました。主人公の永澄くんの扱いが実の両親からも雑なところなんかは近しいなと。笑【追記ここまで】
話を音楽に戻すと、漫画は売ってしまってもCDは売っていなかったことから、作品の音楽は大層気に入っていたのだと言えます。3,000枚の限定生産だったらしいライブソングCDも、そんなにレアなものだとは知らずにちゃっかり2枚揃えていて自分でも驚きました。これは作品自体が好きだったということも勿論理由にはなりますが、元々UNDER17および桃井さんのファンであったために、迷わず手を出したのだという向きもあるでしょう。
先述の通り「Romantic Summer」は楽曲制作の段階では桃井さんによるソロワークス作だと言えます。当時僕は「桃井さんってこういう曲もひとりで書けるのか!」と驚いた覚えがあり、なぜならGS(グループサウンズ)全開のサウンドデザインであったからです。昨日の「今日の一曲!」でもGS風のアニソンを紹介していて、本曲もその流れで候補にあがってきたわけですが、こちらのほうがよりGSらしい或いは夏らしいストレートなつくりとなっています。アニメのOP映像自体がまさにこのイメージだと思いますしね。
波音のSEから幕を開け、穏やかなギターフレーズを挟んだ後に、美しいメロディでもって"夏の風が 髪を撫でる/気のせいかな 恋の予感…"とロマンチックな歌詞が綴られる序盤。…の雰囲気を一気に打ち破るザ・ベンチャーズよろしくのテケテケテケテケ!
この冒頭の数十秒だけで、堪らない人には堪らない展開だと言えます。「テケテケ」という言葉で十分に通じると思いますが、もう少し踏み込みたい方は「サーフサウンド」「クロマティックラン」「トレモログリッサンド/グリスダウン」あたりのワードで検索してください。ためになる解説ページはたくさんヒットします。
先にリンクした記事にも書いた通り、僕はGS世代ではないので後追いで興味と知識があるだけですが、2007年当時の桃井さんと今の僕の年齢がほぼ同じであることを考慮すると、やはりある程度年齢を重ねるとレトロ趣味に走るものだよなぁと、僭越ながら共感を覚えることが出来ました。
後追いゆえに前の記事も含めてここまでに披露したジャンルに対する説明も、厳密には「影響を受けた」と記すべきポイントをいくつか省略している節があるため、「ベンチャーズはGSではないのでは?」や「GSとサーフサウンドはまた別では?」などのツッコミは至極当然であると補足しておきます。本曲には「それら複数の要素がある」と捉えているのだということだけでも伝わればOKです。
現在ではサーフサウンド或いはサーフミュージックと言えば指すところも広く、バンドスタイルやロックに限らずクラブ音楽やレゲエなんかも対象になっているのでは(要するに個々人によって区々だ)という気がしますが、GSに見られるような良い意味でのダサさと格好良さが共存している音楽こそが「まさに夏!」だという感じがするので、もっとこういうユニーク成分が多めの曲が増えればいいのになと思います。
"キラキラ熱い夏の浜辺"をコーラスでもう一度繰り返すところや、"晩生な a lonely maiden"の"a"の部分で醸されるセクシーさ、小節終わりにサザンオールスターズの曲によく出てくるカスタネットの音を挿入したくなるようなBメロに、身体が左右に揺れてしまうのを拒めない調子の好いサビメロ、コーラスとキーボードとギターのセッションがひたすらに素敵な間奏と、何処を切り取っても夏らしさに満ちていて完璧です。
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余談というか、最後に夏のアニソンに対する一考を載せて締めます。今は2018年夏アニメが放送されている時期ですが、時節柄夏や海にフォーカスされた作品も当然ながら多いですよね。視聴している中では『ISLAND』『はるかなレシーブ』『ぐらんぶる』あたりは特に夏らしいアニメだという認識ですが、いずれもOP曲が素晴らしいなと思っています。実際の季節とあっていることや夏らしいOP映像も込みで考えると、ブーストがかかっている面は否めませんが、それでもです。
後に単体でレビュー或いは年末に更新予定のアニソン振り返り記事の中でふれるかもしれないので、ここでは各曲に対する詳しい言及は行いませんが、いずれの曲も夏らしさの演出に寄与しているのはドラムセクション(ビートメイキング)とシーケンスフレーズであると分析していて、ギターサウンドによって夏を醸していた時代とは違うなということを実感しています。先にサーフミュージックの指す幅が広がっている可能性について書きましたが、そこにクラブ音楽やレゲエという言葉を出したように、ノリの良いグルーヴによってライトなレイヴ感を出すのが主流なのでしょうかね。
『ぐらんぶる』OP曲の「Grand Blue」は湘南乃風のナンバーなので、これはまあらしいなということでわかりやすいと言えますが、『はるかなレシーブ』OP曲の「FLY two BLUE」は、可愛らしい歌声とメロディに対してリズムパターンがとてもダンスミュージックしているように聴こえ、面白いアプローチだと評価しています。『ISLAND』OP曲の「永遠のひとつ」は毛色が異なりますが、強いてレイヴ文化に絡めるのであればチルアウト的な役割があるトラックだという認識です。