gravityWall|sh0ut / SawanoHiroyuki[nZk]
SawanoHiroyuki[nZk]の5thシングル『gravityWall/sh0ut』のレビュー・感想です。劇伴作曲家である澤野弘之の変名プロジェクトで、ボーカル曲をメインとする時の名義のようですね。
gravityWall/sh0ut(期間生産限定アニメ盤)(DVD付)/SACRA MUSIC

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本作は両A面ですが、両曲とも現在放送中のTVアニメ『Re:CREATORS』(レクリエイターズ)のOP曲(1stと2nd)という珍しいシングルです。澤野さんは同作品の劇伴も務めているので、『レクリエイターズ』を彩る音楽の世界観は強固なものとなっています。
4月のアニメ開始時にTVCMで発売日を知った時は「アルバムならともかくシングルにしては遅すぎだろ…サントラより後かよ」とやきもきしたのですが、丁度1クール目と2クール目の狭間に発売になるというプランだったのですね。そう考えると今度は「新OPお披露目前に発売かよ!早すぎだろ」と狂喜できるので、結果的にとんとんかな。笑
以前にも作品名だけは出していましたが『レクリエイターズ』は今期(2017春アニメ)の中ではかなり好きな作品です。元々広江礼威さんが好きだからというのもあるのですが、二次元趣味に深くはまり込んでいる人ほど面白く感じる内容になっているのが良いと思います。
と言いつつ以下ややディスり気味のことを書きますが、好きゆえにだとご容赦ください。ここを超えれば後はひたすら誉める内容が続くので最初だけです。笑 ということで暫くアニメの感想を続けますが、サブタイ絡みで音楽ネタもあるので音楽好きのニーズも満たそうとはしました。
『レクリエイターズ』は設定も話も僕好みですし、好きなキャラも多いので面白いと思っているというのは先述の通りです。しかしもう少し展開をスピーディーにして欲しいという思いと、イライラさせられるキャラも多いなという不満を正直持っています。2クール目のカタルシスのために蒔かれた種だと割り切っているつもりですけどね。
具体的には、まず主人公の颯太くんが事情が事情とはいえウジウジしすぎだと思います。最新話(12話)で前を向いたのでいいんですが、もう少し早くこの場面を見せてほしかったかな。同じく最新話でマシになったとはいえ、アリスちゃんも人の話を聞かなすぎでだいぶイラっとさせられました。
そしてこれは制作陣の思惑に乗せられていると思うので誉め言葉なのですが、真鍳ちゃんがウザすぎる。CV:坂本真綾でこんなに向っ腹を立てる日が来るとは思いませんでした。笑 頼むから誰かコイツに弁舌で一矢報いてくれと願っています。
…と、この3名(実質的には2名)に対しては「誰かガツンと言ってやれよ」という思いがずっと付き纏っています。主人公サイドは皆優しいし、まみかも善性が強いから基本的に諭すタイプだったのがなぁ。
期待出来そうなのは弥勒寺とブリッツ、あとセレジアも可能性があると思いますが、味方間で「強い言葉と身体でわからせる」展開が観たいですね。真鍳やアルタイルのように作為的なのではなく。この意味ではまみかがアルタイルに挑んだのが1クール目ではいちばん好きな展開でした。
当然ですが2クール目は話が大きく動きそうなので、1クール目で丁寧に舞台を整えたことが功を奏すといいなと思っています。キャラが変化していくことを前提にしているならば大概のことは許せるし、それは別に成長じゃなくてもいいと思うタイプなので。
2クール目に関しては現界限界数を「あと3人」と作中で明言したのも配慮が感じられて高評価です。なんでもありでは興醒めですから。改変に対して承認と世界の修復力がブレーキになっているという設定も上手に利用して欲しいですね。
小さな生き物 【デラックスエディション(完全数量限定生産盤)】(SHM-CD + 2DVD)/ユニバーサルJ

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アニメ自体の感想は一旦切り上げるとして、『レクリエイターズ』に対し音楽ファンとして言及しなければならないのがサブタイについてです。創作物、特に曲名からの引用が多いですよね。中でも最新話のそれには吃驚しました…「エンドロールには早すぎる」?スピッツじゃん!と。
14thアルバム『小さな生き物』(2013)に収録されている曲ですが、比較的最近のそれもアルバム曲からチョイスするとはなかなか通だなと思いました。もっと言えばあまりスピッツらしくない曲を選んだあたりが。当該のアルバムの中ではいちばん好きな曲なのでファンとしては嬉しい引用です。
この題を他の1クールアニメが軒並み終了していくこの時期に持ってきたのがセンスあるなぁと思います。2クールだからこそ出来る遊び心。ダイレクトに失恋間際の歌だと解釈していたのに、まさか4年後にこんな全く別の方向から熱いイメージが加わるとはね。笑
前置きが長くなりましたが音楽に話を戻して流れが出来たので本作のレビューに入ろうと思います。広江さん描き下ろしジャケットとノンクレジットOP欲しさに期間生産限定アニメ盤を購入。従ってレビューもそれに準拠して書きます。
また『レクリエイターズ』という作品の設定上、様々な二次元趣味というか創作物に話が飛んだほうがレビューが面白くなりそうなので、他作品の引用や紹介をいつもより敢えて多めにしました。とっ散らかっているのは仕様ですと断っておきます。笑
01. gravityWall
TVアニメ『Re:CREATORS』1stOP曲で、ボーカルにはTielle & Gemieがフィーチャーされています。トラックメイキングはもちろん澤野さんによるものですが、作詞はTielleとの共作となっていますね。
切なくも攻撃的というか…ヒリヒリした空気が伝ってくるようなイントロで幕開け。OP映像ではタイトルバックにあたる部分ですが、線と図形でタイトルになっていくのが作品を象徴しているようで好きな表現です。
そのままクールなAメロへ。この曲を買おうと思った動機の半分ぐらいはこの格好良いAメロにあります。日本語で歌われていますが、どちらかと言えば英語が載ったほうが自然だと思えるような流麗な旋律で非常にツボでした。
TielleもGemieも詳しく存じ上げないのでパート割りもよくわからないのですが、お二人とも熱さと冷たさが同時に宿っているかのような表現力豊かな歌声の持ち主だと思うので好みですね。
先述の通りAメロには日本語がのせられているわけですが、歌い方が滑らかだからか日本語(モーラ言語)らしさが薄く、英語(シラブル言語)が合いそうなメロディにも自然に寄り添えているなと感じます。
その代わりと言ってはなんですが、アニメではあまり歌詞が聴き取れませんでした。笑 日本語だということは分かっていても、細かいところはだいぶ空耳をしていたと判明。"相違"は「ストーリー」だと思っていたし、"フリー気取りの×"は「独りのLies」かと思っていた。これは仕方ないと思うけれど、"哀・怒"はてっきり「隘路」かと。
Bメロは短くシンプル。"gravity-wall 口づけを"だけ。表題の一節なわけですが、この"gravity-wall"って何なんでしょうね?「重力壁」?よくは分かりませんが、個人的な解釈としては「次元を超えられる存在としての重力」のことかなと思っています。
二次元のキャラが三次元に出てくるという設定のアニメなので、現界(次元突破)のことを歌っているのではないかという解釈です。この「重力が次元を超える」という話ですが、正直科学的なことはよくわかりません。しかし「重力 次元を超える」というサジェストがあるぐらいなので、概念?説?としては知名度があるのではないでしょうか。
これで検索すると映画『インターステラー』(2014)の話題が多く出てくるのですが、自分がこの概念を知ったのは漫画『スティール・ボール・ラン』を読んだ時ではないかと記憶しています。ということで次パラグラフはジョジョ7部のネタバレを含むので注意。
STEEL BALL RUN スティール・ボール・ラン 24 (ジャンプコミックス)/荒木 飛呂彦

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ヴァレンタイン大統領のパラレルワールドを行き来する能力(D4C)の解説に「重力も同時に移動している」的なものがありましたよね。その時はふーんと思っただけなのですが、最終的に他次元に逃げられる大統領を追い詰めたのはジョニィの重力を支配する回転(タスクACT4)だったので、深い意味があったんだなと感心した覚えがあります。
これを考慮すると『レクリエイターズ』上で懸念されている世界の大崩潰というのも、世界の矛盾修復力が流入してくる重力に耐え切れなくなった際に起こるのではないかなと妄想できますね。矛盾そのものは被造物とそれに付随する能力のことだと思いますが、そんな裏設定もありそうという意味で。
僅か一文のBメロなので歌詞解釈には敢えて長文をぶつけてみました。笑 歌詞以外に注目すると、Bメロはバックで鳴っているシンセのジワジワ感が素晴らしいと思います。フィルター?のかけ具合とパンの仕方が絶妙。
そしてサビ。やはりこの曲は英語が似合う旋律を持っていると確信出来る納得の英語詞ですね。特に"I'm screaming something to you"は、それ以上にマッチするフレーズがないというぐらい完璧だと思います。情熱的なキャッチーさがあるところも、いかにも格好良いアニソンという感じで好き。
サビは前半と後半("Now I don't know"~)に分けることが出来ますが、後半はギターが素敵ですね。力強い歌声を引き立てている功労者だと思います。また、前半を聴いていて気付いたのですが、イントロの演奏はここのアレンジの流用ですよね?インストのほうが分かりやすいですが、音源で聴くまでは気付きませんでした。
2番はアレンジが結構違いますね。Bメロにはトライバルなドラムが入ったことで1番にあった「静」のイメージとは対照的な「動」を感じられますし、サビ前半は2番の段階で落ちサビのように音数を絞った編曲になっています。
間奏を挟んでラスサビへ。これがまためちゃくちゃ格好良い。最後にCメロが追加されるのですが、これは普段大サビという言葉を使いたくない自分でも(理由はこの記事を参照)、大サビと表現した方がしっくりくる気がします。
サビのメロディだけで十分にハイなのに更に上を攻めた感じが文字通り最高です。突き抜けるような鮮やかな旋律。歌詞もお気に入りで、特に日本語の"空ほどいた太陽と羽の白が"と"無くした色たちを照らす"という一節は、OP映像にある東京の風景と相俟って感動的です。
Aメロのところで「Aメロが購入動機の約半分」という旨のことを書きましたが、このラスサビがなかったらレンタルで済ませていたかもしれないので、決定打になったのはここです。
02. sh0ut
TVアニメ『Re:CREATORS』2ndOP曲。…といっても前置きで書いた通り現在はクールの切り替わり時期なので、どういう使われ方になるかは未だ不明です。明日(13話放送)まで投稿を待とうかとも思いましたが、14話切り替えかも知れないし納期的なアレで間に合わないというケースも稀にあるのでフライングします。笑
この曲も01.と同じくボーカルはTielle & Gemieで、澤野さんによるトラック(作詞はTielleとの共作)だというのも同じです。プレイヤー陣も同じなのでクレジット的には01.と02.に違いはありません。
最初に聴いた時の率直な感想は「(人間活動前の)宇多田ヒカルの曲みたいだな」というものでした。笑 あるいは安室奈美恵。邦楽R&Bっぽいというか、正統派歌姫の楽曲らしいなと思ったということです。とはいえサウンド的にはきちんと現代に合わせてきているなと思います。バンドサウンドと電子音のバランスが良いからかな。
耳に残る特徴的な電子音からスタート。悪い意味で言うわけじゃないのですが、若干不快な音です。そして歌われる"Time has come to listen to the crying of thier puppet souls"というフレーズ。軍服の姫君(サイド)の悲哀を突き付けられたようで胸にクルものがありますね。ゆえに「不快な音」は誉め言葉です。
Aメロはこの旋律なら歌詞に日本語と英語を混在させなきゃウソだぜと個人的に納得出来るものであったので、これまた両者が非常にマッチしているトラックだと思いました。こういう混在をダサいと言う人も居ますが、僕は素直に格好良いと評したいです。
続くBメロがいちばん宇多田ヒカルっぽいなと感じました。笑 "偽名はただ凍る 希望のジレンマ"のところのコーラスワークとか、"そう解っている"の低音とかが凄く「っぽい」のは、Utadaにも手を出している宇多田ヒカルファンになら分かってもらえるはず。
双方に失礼なことを書き連ねていますが、つまり音楽的にツボだったということなので賛辞のつもりなのです。Bメロは堅実なベースもお気に入り。
そしてサビへ。前半と後半("bring it on down"~)に分かれているのもそうですが、全体的に01.を彷彿とさせるところがありますよね?これは作曲の癖というよりは敢えてではないかと推測します。
余談ですが次OP曲が前OP曲を思い起こさせるものになっているというのはテクニックとして昔から存在していると思います。例えば『〈物語〉シリーズ』の「stable staple」(2009)と「二言目」(2012)、この2曲は「コード進行と楽器が一緒」(『歌物語』(2016)ライナーノーツより)なので似ているのは当然です。「アンサーソング」(同LNより)ですから。
歌物語-〈物語〉シリーズ主題歌集- (完全生産限定盤)/Aniplex (music)

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…「余談」と書きましたがどこかで『物語シリーズ』の名前を出したかったので実はこの流れは計算です。笑 というのも前置きで「ウザすぎる」と評した真鍳ちゃんはおそらく西尾維新キャラがモデルだろうから。同様の指摘も多く見られますが、扇ちゃんがいちばん近いよね。と、検索流入狙いのことを書いてレビューに戻ります。
サビでいちばん好きなのは後半部です。既聴感がある気がしないでもありませんが、変にひねるよりストレートな旋律をぶつけたほうが格好良いというパターンもありますからね。といっても完全に同じメロディ×2ではなく微妙に変化を付けているところにこだわりを感じます。表題の"shout out my soul"の美メロっぷりも素晴らしい。
2番以降は全て英語詞に。Aの"Words are alive, supporting us, connecting with the souls"というフレーズがこの作品の肝をまさに表していて好きです。2クール目はより激しい応酬が観られそうで楽しみ。
Bの"And halos in the clouds light me up"という一節からは01.のCメロの歌詞を連想してしまうのですが、これは現界時の光景("gravity-wall"を破る際の心象風景的な)を表現しているのかな。続く"In the heat, get fired up. You'll call my name"も文字通り熱くロマンチックで素敵だと思います。
間奏はそのまま01.とマッシュアップできそうな気がしますね。2番の後に01.のイントロを持ってきて繋げられそう。その後はBメロ→ラスサビのリピートで、ラストに頭と同じ物悲しい一節が据えられて〆です。
03. oldToday
c/wはボーカルにmizukiをフィーチャーしたナンバー。この曲だけは作詞が澤野さん単独ですが、プレイヤー陣はやはり01./02.と同じです。SawanoHiroyuki[nZk]名義の作品を買うのは今作が初なのですが、お馴染みのバンドメンバーなのでしょうかね?
01.も02.もそうですがタイトルの付け方が独特ですよね。02.のようにアルファベットを数字に置き換えるのはまだ理解できますが、01.と03.のように空白を端折るのにはどんな意図があるのか正直謎です。笑
気になったので調べたところ、本人発言などの一次ソースにまでは辿り着けなかったのですが(個人ブログとニコニコ大百科上の記述のみ)、澤野さんはどうもタイトルに曲を縛られたくない方のようです。
これ、わからなくもないかも。Autechre(オウテカ)の謎曲名が格好良いと思うことあるし、Aphex Twinの独特な曲名表記法と似たようなセンスなのではないかな。テクノ系アーティストはこの傾向がある気がしますね。
このセンスの爆発を堪能したければサントラ『Re:CREATORS Original Soundtrack』(2017)がよりオススメです。曲名一覧を見たときバグっているのかと思いました。アニメ方面から攻めるならば『戦姫絶唱シンフォギアG』の切歌ちゃんの技名と同じセンスと表現したい。笑
戦姫絶唱シンフォギアG キャラクターソング7/キングレコード

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いきなり脱線から入ってしまいましたが、「oldToday」はリバーブのかかったボーカル(正確にはボーカルトラック自体にかかっているわけではない?)が印象的な切ない日本語のナンバーです。巣立ち・旅立ちの歌といった趣。
01.と02.がアッパーだったのでc/wにしっとり系が来るのはバランスが良いですね。ギリ5分に届かない収録時間なので尺としては普通だと思うのですが、スピード感のある2曲の後に来ることで相対的に長く重厚な曲のように感じられます。これが流れの妙か。
04. gravityWall (TV size)
タイトル通り01.のTV size ver.です。1番+Cメロでエッセンスはしっかりと残っています。
05.と06.はそれぞれ01.と02.の(Instrumental)です。
以上、インストと短縮を除いて3曲でした。本作の中ではやはり01.「gravityWall」が圧倒的に好きですね。今期(2017春)のアニソンは気に入った曲自体は多かったものの格好良い系が不足しているなと思っていたので、長く待たされた甲斐があったものです。
ちなみに今期格好良い系アニソンの個人的な次点は、『笑ゥせぇるすまんNEW』のOP曲「Don't」(2017)です。購入してレビューしようか迷っていた作品なのですが、NakamuraEmiさん自体に興味が沸いたので今後出るであろうアルバム待ちに切り替えたため見送りに。
02.「sh0ut」はレビューの中でも書いた通り、暫くは01.との類似性に気を取られてしまって「ん?」と思っていたのですが、繰り返し聴くうちに02.だけにある個性が見えてきて好きになりました。そして何よりOP映像がまだですからね。これ如何によってはもっと好きになる可能性があります。
Re:CREATORS 1(完全生産限定版) [Blu-ray]/出演者不明

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最後にDISC 2(DVD)についてもレビューをします。前置きにも書きましたが収録されているのは『TVアニメ「Re:CREATORS」ノンクレジットオープニング映像』です。映像的にとても素晴らしいので紹介します。
個人的には今のところ今期どころか2017年の作品の中ではダントツ1位のOP映像です。歴代というか自分のアニメ史の中で見てもかなり好きな部類に入る。埋め込めればいちばん良かったのですが公式にはないようなので断念。
冒頭タイトルバックのところは01.のレビュー中でもふれたので省略して、まずAメロ部から。作中に登場する作品(劇中劇ということになると思います)のカットがキャラと共に次々と切り替わっていくのですが、このシークエンスのワクワク感はなかなか味わない代物だと思います。
ある意味ズルいんですよ。普通は一つのOPの中で1分30秒かけてその作品のキャラや背景美術等々を凝縮して観せることで成り立つものなのに、それを更に凝縮して1枚のカットにして繋げているのだからその情報量たるや膨大に決まっているという。当然期待値も上がります。
特に好きなのは『無限神機モノマギア』のカット。まずこの声に出したくなるようなタイトルがいいと思う。笑 スケール感が他の劇中劇とは異なるところも良いし、おそらくヒロインのユイナちゃんだと思われる後ろ姿の子にも期待が高まるし、巧いなぁと感心しています。
DRIFTERS 第1巻〈通常版〉 [Blu-ray]/青山 穣

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最近だと『DRIFTERS(ドリフターズ)』のOPにも同種のワクワク感があって好きでした。そんな言葉があるかはともかく偉人召喚モノの作品はこのスタイルをとれる可能性がありますよね。昔からあるジャンル?なので他にも探せば似たようなものがあるかもしれません。ちなみに『Fateシリーズ』は少ししか知らないので言及できないのが悔やまれる。
また、一作もプレイしたことはないしゲームの話になりますが所謂お祭りゲーと呼ばれるもののほうが『レクリエイターズ』の比較対象としては適切かもしれませんね。「お祭りアニメ」という形容をしている人もいますし。
続いてBメロ部。初めのうちはアルタイルの不敵な笑みと薔薇が美しくて綺麗だなという感想しかなかったのですが、12話終了時点で見返すと哀し過ぎる映像だと分かりますよね。あぁ、颯太くんの手の平から零れ落ちる水ってそういう…っていう。
話が見えてくると背景が髑髏から薔薇に変わって微笑むアルタイルからは狂気しか感じられません。笑 しかし狂気でも綺麗なものは綺麗です。
アルタイルの設定とセツナの死までの経緯はどちらもよく考えられているなと思いました。前者は二次創作から承認されたキャラという意外性に加え、二次創作自体が能力元というのも燃える設定ですよね。後者は所謂トレパク炎上という負の側面にスポットを当てたところを評価したいです。
サビ前半部はバトルカットの連続ですが、以降は全て現界後の描写ですね(…ですよね?)。物語の主人公というかメイン級のキャラが現実世界で暴れたらどうなるかということを予感させるには十分な映像です。
そんな中でまみかのカットだけ異様なポップさを見せているのが最初は面白かったのですが、意外にも…いや、元ネタ(深夜アニメの方)的には案の定と言うべきか、いちばん最初に消滅する被造物だということを思うと泣けてきます。
作中世界では安全だった魔法が現実世界では凶器と化すという設定も着想が面白いなと思いました。元ネタ(朝アニメの方)では戦闘終了後に自動修復されますからね。あれってどういう理屈なんだろう?笑 全シリーズ観ているわけではないからよくわからない。
サビ後半部は現実世界における創作物のキービジュアルスライドショー的な役割を持っているのが好きです。その付近にキャラが居合わせるというのも夢があって良いですよね。でも電車の中のアリスちゃんは正直怖いです。笑 密閉空間における装備含むサイズ感が妙にリアルで。
ラストのCメロ部は01.のレビュー中で歌詞と絡めて言及したので省略しますが、ひとつだけ付け加えるならBメロ部にも出てきた荒野から颯太くんが眼鏡を掛け直して歩き出そうとしているカットで〆というのは未来志向で良いと思いました。水中に沈んだセツナから外れた眼鏡との対比も鮮やか。
gravityWall/sh0ut(期間生産限定アニメ盤)(DVD付)/SACRA MUSIC

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本作は両A面ですが、両曲とも現在放送中のTVアニメ『Re:CREATORS』(レクリエイターズ)のOP曲(1stと2nd)という珍しいシングルです。澤野さんは同作品の劇伴も務めているので、『レクリエイターズ』を彩る音楽の世界観は強固なものとなっています。
4月のアニメ開始時にTVCMで発売日を知った時は「アルバムならともかくシングルにしては遅すぎだろ…サントラより後かよ」とやきもきしたのですが、丁度1クール目と2クール目の狭間に発売になるというプランだったのですね。そう考えると今度は「新OPお披露目前に発売かよ!早すぎだろ」と狂喜できるので、結果的にとんとんかな。笑
以前にも作品名だけは出していましたが『レクリエイターズ』は今期(2017春アニメ)の中ではかなり好きな作品です。元々広江礼威さんが好きだからというのもあるのですが、二次元趣味に深くはまり込んでいる人ほど面白く感じる内容になっているのが良いと思います。
と言いつつ以下ややディスり気味のことを書きますが、好きゆえにだとご容赦ください。ここを超えれば後はひたすら誉める内容が続くので最初だけです。笑 ということで暫くアニメの感想を続けますが、サブタイ絡みで音楽ネタもあるので音楽好きのニーズも満たそうとはしました。
『レクリエイターズ』は設定も話も僕好みですし、好きなキャラも多いので面白いと思っているというのは先述の通りです。しかしもう少し展開をスピーディーにして欲しいという思いと、イライラさせられるキャラも多いなという不満を正直持っています。2クール目のカタルシスのために蒔かれた種だと割り切っているつもりですけどね。
具体的には、まず主人公の颯太くんが事情が事情とはいえウジウジしすぎだと思います。最新話(12話)で前を向いたのでいいんですが、もう少し早くこの場面を見せてほしかったかな。同じく最新話でマシになったとはいえ、アリスちゃんも人の話を聞かなすぎでだいぶイラっとさせられました。
そしてこれは制作陣の思惑に乗せられていると思うので誉め言葉なのですが、真鍳ちゃんがウザすぎる。CV:坂本真綾でこんなに向っ腹を立てる日が来るとは思いませんでした。笑 頼むから誰かコイツに弁舌で一矢報いてくれと願っています。
…と、この3名(実質的には2名)に対しては「誰かガツンと言ってやれよ」という思いがずっと付き纏っています。主人公サイドは皆優しいし、まみかも善性が強いから基本的に諭すタイプだったのがなぁ。
期待出来そうなのは弥勒寺とブリッツ、あとセレジアも可能性があると思いますが、味方間で「強い言葉と身体でわからせる」展開が観たいですね。真鍳やアルタイルのように作為的なのではなく。この意味ではまみかがアルタイルに挑んだのが1クール目ではいちばん好きな展開でした。
当然ですが2クール目は話が大きく動きそうなので、1クール目で丁寧に舞台を整えたことが功を奏すといいなと思っています。キャラが変化していくことを前提にしているならば大概のことは許せるし、それは別に成長じゃなくてもいいと思うタイプなので。
2クール目に関しては現界限界数を「あと3人」と作中で明言したのも配慮が感じられて高評価です。なんでもありでは興醒めですから。改変に対して承認と世界の修復力がブレーキになっているという設定も上手に利用して欲しいですね。
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この題を他の1クールアニメが軒並み終了していくこの時期に持ってきたのがセンスあるなぁと思います。2クールだからこそ出来る遊び心。ダイレクトに失恋間際の歌だと解釈していたのに、まさか4年後にこんな全く別の方向から熱いイメージが加わるとはね。笑
前置きが長くなりましたが音楽に話を戻して流れが出来たので本作のレビューに入ろうと思います。広江さん描き下ろしジャケットとノンクレジットOP欲しさに期間生産限定アニメ盤を購入。従ってレビューもそれに準拠して書きます。
また『レクリエイターズ』という作品の設定上、様々な二次元趣味というか創作物に話が飛んだほうがレビューが面白くなりそうなので、他作品の引用や紹介をいつもより敢えて多めにしました。とっ散らかっているのは仕様ですと断っておきます。笑
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切なくも攻撃的というか…ヒリヒリした空気が伝ってくるようなイントロで幕開け。OP映像ではタイトルバックにあたる部分ですが、線と図形でタイトルになっていくのが作品を象徴しているようで好きな表現です。
そのままクールなAメロへ。この曲を買おうと思った動機の半分ぐらいはこの格好良いAメロにあります。日本語で歌われていますが、どちらかと言えば英語が載ったほうが自然だと思えるような流麗な旋律で非常にツボでした。
TielleもGemieも詳しく存じ上げないのでパート割りもよくわからないのですが、お二人とも熱さと冷たさが同時に宿っているかのような表現力豊かな歌声の持ち主だと思うので好みですね。
先述の通りAメロには日本語がのせられているわけですが、歌い方が滑らかだからか日本語(モーラ言語)らしさが薄く、英語(シラブル言語)が合いそうなメロディにも自然に寄り添えているなと感じます。
その代わりと言ってはなんですが、アニメではあまり歌詞が聴き取れませんでした。笑 日本語だということは分かっていても、細かいところはだいぶ空耳をしていたと判明。"相違"は「ストーリー」だと思っていたし、"フリー気取りの×"は「独りのLies」かと思っていた。これは仕方ないと思うけれど、"哀・怒"はてっきり「隘路」かと。
Bメロは短くシンプル。"gravity-wall 口づけを"だけ。表題の一節なわけですが、この"gravity-wall"って何なんでしょうね?「重力壁」?よくは分かりませんが、個人的な解釈としては「次元を超えられる存在としての重力」のことかなと思っています。
二次元のキャラが三次元に出てくるという設定のアニメなので、現界(次元突破)のことを歌っているのではないかという解釈です。この「重力が次元を超える」という話ですが、正直科学的なことはよくわかりません。しかし「重力 次元を超える」というサジェストがあるぐらいなので、概念?説?としては知名度があるのではないでしょうか。
これで検索すると映画『インターステラー』(2014)の話題が多く出てくるのですが、自分がこの概念を知ったのは漫画『スティール・ボール・ラン』を読んだ時ではないかと記憶しています。ということで次パラグラフはジョジョ7部のネタバレを含むので注意。
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これを考慮すると『レクリエイターズ』上で懸念されている世界の大崩潰というのも、世界の矛盾修復力が流入してくる重力に耐え切れなくなった際に起こるのではないかなと妄想できますね。矛盾そのものは被造物とそれに付随する能力のことだと思いますが、そんな裏設定もありそうという意味で。
僅か一文のBメロなので歌詞解釈には敢えて長文をぶつけてみました。笑 歌詞以外に注目すると、Bメロはバックで鳴っているシンセのジワジワ感が素晴らしいと思います。フィルター?のかけ具合とパンの仕方が絶妙。
そしてサビ。やはりこの曲は英語が似合う旋律を持っていると確信出来る納得の英語詞ですね。特に"I'm screaming something to you"は、それ以上にマッチするフレーズがないというぐらい完璧だと思います。情熱的なキャッチーさがあるところも、いかにも格好良いアニソンという感じで好き。
サビは前半と後半("Now I don't know"~)に分けることが出来ますが、後半はギターが素敵ですね。力強い歌声を引き立てている功労者だと思います。また、前半を聴いていて気付いたのですが、イントロの演奏はここのアレンジの流用ですよね?インストのほうが分かりやすいですが、音源で聴くまでは気付きませんでした。
2番はアレンジが結構違いますね。Bメロにはトライバルなドラムが入ったことで1番にあった「静」のイメージとは対照的な「動」を感じられますし、サビ前半は2番の段階で落ちサビのように音数を絞った編曲になっています。
間奏を挟んでラスサビへ。これがまためちゃくちゃ格好良い。最後にCメロが追加されるのですが、これは普段大サビという言葉を使いたくない自分でも(理由はこの記事を参照)、大サビと表現した方がしっくりくる気がします。
サビのメロディだけで十分にハイなのに更に上を攻めた感じが文字通り最高です。突き抜けるような鮮やかな旋律。歌詞もお気に入りで、特に日本語の"空ほどいた太陽と羽の白が"と"無くした色たちを照らす"という一節は、OP映像にある東京の風景と相俟って感動的です。
Aメロのところで「Aメロが購入動機の約半分」という旨のことを書きましたが、このラスサビがなかったらレンタルで済ませていたかもしれないので、決定打になったのはここです。
02. sh0ut
TVアニメ『Re:CREATORS』2ndOP曲。…といっても前置きで書いた通り現在はクールの切り替わり時期なので、どういう使われ方になるかは未だ不明です。明日(13話放送)まで投稿を待とうかとも思いましたが、14話切り替えかも知れないし納期的なアレで間に合わないというケースも稀にあるのでフライングします。笑
この曲も01.と同じくボーカルはTielle & Gemieで、澤野さんによるトラック(作詞はTielleとの共作)だというのも同じです。プレイヤー陣も同じなのでクレジット的には01.と02.に違いはありません。
最初に聴いた時の率直な感想は「(人間活動前の)宇多田ヒカルの曲みたいだな」というものでした。笑 あるいは安室奈美恵。邦楽R&Bっぽいというか、正統派歌姫の楽曲らしいなと思ったということです。とはいえサウンド的にはきちんと現代に合わせてきているなと思います。バンドサウンドと電子音のバランスが良いからかな。
耳に残る特徴的な電子音からスタート。悪い意味で言うわけじゃないのですが、若干不快な音です。そして歌われる"Time has come to listen to the crying of thier puppet souls"というフレーズ。軍服の姫君(サイド)の悲哀を突き付けられたようで胸にクルものがありますね。ゆえに「不快な音」は誉め言葉です。
Aメロはこの旋律なら歌詞に日本語と英語を混在させなきゃウソだぜと個人的に納得出来るものであったので、これまた両者が非常にマッチしているトラックだと思いました。こういう混在をダサいと言う人も居ますが、僕は素直に格好良いと評したいです。
続くBメロがいちばん宇多田ヒカルっぽいなと感じました。笑 "偽名はただ凍る 希望のジレンマ"のところのコーラスワークとか、"そう解っている"の低音とかが凄く「っぽい」のは、Utadaにも手を出している宇多田ヒカルファンになら分かってもらえるはず。
双方に失礼なことを書き連ねていますが、つまり音楽的にツボだったということなので賛辞のつもりなのです。Bメロは堅実なベースもお気に入り。
そしてサビへ。前半と後半("bring it on down"~)に分かれているのもそうですが、全体的に01.を彷彿とさせるところがありますよね?これは作曲の癖というよりは敢えてではないかと推測します。
余談ですが次OP曲が前OP曲を思い起こさせるものになっているというのはテクニックとして昔から存在していると思います。例えば『〈物語〉シリーズ』の「stable staple」(2009)と「二言目」(2012)、この2曲は「コード進行と楽器が一緒」(『歌物語』(2016)ライナーノーツより)なので似ているのは当然です。「アンサーソング」(同LNより)ですから。
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…「余談」と書きましたがどこかで『物語シリーズ』の名前を出したかったので実はこの流れは計算です。笑 というのも前置きで「ウザすぎる」と評した真鍳ちゃんはおそらく西尾維新キャラがモデルだろうから。同様の指摘も多く見られますが、扇ちゃんがいちばん近いよね。と、検索流入狙いのことを書いてレビューに戻ります。
サビでいちばん好きなのは後半部です。既聴感がある気がしないでもありませんが、変にひねるよりストレートな旋律をぶつけたほうが格好良いというパターンもありますからね。といっても完全に同じメロディ×2ではなく微妙に変化を付けているところにこだわりを感じます。表題の"shout out my soul"の美メロっぷりも素晴らしい。
2番以降は全て英語詞に。Aの"Words are alive, supporting us, connecting with the souls"というフレーズがこの作品の肝をまさに表していて好きです。2クール目はより激しい応酬が観られそうで楽しみ。
Bの"And halos in the clouds light me up"という一節からは01.のCメロの歌詞を連想してしまうのですが、これは現界時の光景("gravity-wall"を破る際の心象風景的な)を表現しているのかな。続く"In the heat, get fired up. You'll call my name"も文字通り熱くロマンチックで素敵だと思います。
間奏はそのまま01.とマッシュアップできそうな気がしますね。2番の後に01.のイントロを持ってきて繋げられそう。その後はBメロ→ラスサビのリピートで、ラストに頭と同じ物悲しい一節が据えられて〆です。
03. oldToday
c/wはボーカルにmizukiをフィーチャーしたナンバー。この曲だけは作詞が澤野さん単独ですが、プレイヤー陣はやはり01./02.と同じです。SawanoHiroyuki[nZk]名義の作品を買うのは今作が初なのですが、お馴染みのバンドメンバーなのでしょうかね?
01.も02.もそうですがタイトルの付け方が独特ですよね。02.のようにアルファベットを数字に置き換えるのはまだ理解できますが、01.と03.のように空白を端折るのにはどんな意図があるのか正直謎です。笑
気になったので調べたところ、本人発言などの一次ソースにまでは辿り着けなかったのですが(個人ブログとニコニコ大百科上の記述のみ)、澤野さんはどうもタイトルに曲を縛られたくない方のようです。
これ、わからなくもないかも。Autechre(オウテカ)の謎曲名が格好良いと思うことあるし、Aphex Twinの独特な曲名表記法と似たようなセンスなのではないかな。テクノ系アーティストはこの傾向がある気がしますね。
このセンスの爆発を堪能したければサントラ『Re:CREATORS Original Soundtrack』(2017)がよりオススメです。曲名一覧を見たときバグっているのかと思いました。アニメ方面から攻めるならば『戦姫絶唱シンフォギアG』の切歌ちゃんの技名と同じセンスと表現したい。笑
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いきなり脱線から入ってしまいましたが、「oldToday」はリバーブのかかったボーカル(正確にはボーカルトラック自体にかかっているわけではない?)が印象的な切ない日本語のナンバーです。巣立ち・旅立ちの歌といった趣。
01.と02.がアッパーだったのでc/wにしっとり系が来るのはバランスが良いですね。ギリ5分に届かない収録時間なので尺としては普通だと思うのですが、スピード感のある2曲の後に来ることで相対的に長く重厚な曲のように感じられます。これが流れの妙か。
04. gravityWall (TV size)
タイトル通り01.のTV size ver.です。1番+Cメロでエッセンスはしっかりと残っています。
05.と06.はそれぞれ01.と02.の(Instrumental)です。
以上、インストと短縮を除いて3曲でした。本作の中ではやはり01.「gravityWall」が圧倒的に好きですね。今期(2017春)のアニソンは気に入った曲自体は多かったものの格好良い系が不足しているなと思っていたので、長く待たされた甲斐があったものです。
ちなみに今期格好良い系アニソンの個人的な次点は、『笑ゥせぇるすまんNEW』のOP曲「Don't」(2017)です。購入してレビューしようか迷っていた作品なのですが、NakamuraEmiさん自体に興味が沸いたので今後出るであろうアルバム待ちに切り替えたため見送りに。
02.「sh0ut」はレビューの中でも書いた通り、暫くは01.との類似性に気を取られてしまって「ん?」と思っていたのですが、繰り返し聴くうちに02.だけにある個性が見えてきて好きになりました。そして何よりOP映像がまだですからね。これ如何によってはもっと好きになる可能性があります。
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最後にDISC 2(DVD)についてもレビューをします。前置きにも書きましたが収録されているのは『TVアニメ「Re:CREATORS」ノンクレジットオープニング映像』です。映像的にとても素晴らしいので紹介します。
個人的には今のところ今期どころか2017年の作品の中ではダントツ1位のOP映像です。歴代というか自分のアニメ史の中で見てもかなり好きな部類に入る。埋め込めればいちばん良かったのですが公式にはないようなので断念。
冒頭タイトルバックのところは01.のレビュー中でもふれたので省略して、まずAメロ部から。作中に登場する作品(劇中劇ということになると思います)のカットがキャラと共に次々と切り替わっていくのですが、このシークエンスのワクワク感はなかなか味わない代物だと思います。
ある意味ズルいんですよ。普通は一つのOPの中で1分30秒かけてその作品のキャラや背景美術等々を凝縮して観せることで成り立つものなのに、それを更に凝縮して1枚のカットにして繋げているのだからその情報量たるや膨大に決まっているという。当然期待値も上がります。
特に好きなのは『無限神機モノマギア』のカット。まずこの声に出したくなるようなタイトルがいいと思う。笑 スケール感が他の劇中劇とは異なるところも良いし、おそらくヒロインのユイナちゃんだと思われる後ろ姿の子にも期待が高まるし、巧いなぁと感心しています。
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最近だと『DRIFTERS(ドリフターズ)』のOPにも同種のワクワク感があって好きでした。そんな言葉があるかはともかく偉人召喚モノの作品はこのスタイルをとれる可能性がありますよね。昔からあるジャンル?なので他にも探せば似たようなものがあるかもしれません。ちなみに『Fateシリーズ』は少ししか知らないので言及できないのが悔やまれる。
また、一作もプレイしたことはないしゲームの話になりますが所謂お祭りゲーと呼ばれるもののほうが『レクリエイターズ』の比較対象としては適切かもしれませんね。「お祭りアニメ」という形容をしている人もいますし。
続いてBメロ部。初めのうちはアルタイルの不敵な笑みと薔薇が美しくて綺麗だなという感想しかなかったのですが、12話終了時点で見返すと哀し過ぎる映像だと分かりますよね。あぁ、颯太くんの手の平から零れ落ちる水ってそういう…っていう。
話が見えてくると背景が髑髏から薔薇に変わって微笑むアルタイルからは狂気しか感じられません。笑 しかし狂気でも綺麗なものは綺麗です。
アルタイルの設定とセツナの死までの経緯はどちらもよく考えられているなと思いました。前者は二次創作から承認されたキャラという意外性に加え、二次創作自体が能力元というのも燃える設定ですよね。後者は所謂トレパク炎上という負の側面にスポットを当てたところを評価したいです。
サビ前半部はバトルカットの連続ですが、以降は全て現界後の描写ですね(…ですよね?)。物語の主人公というかメイン級のキャラが現実世界で暴れたらどうなるかということを予感させるには十分な映像です。
そんな中でまみかのカットだけ異様なポップさを見せているのが最初は面白かったのですが、意外にも…いや、元ネタ(深夜アニメの方)的には案の定と言うべきか、いちばん最初に消滅する被造物だということを思うと泣けてきます。
作中世界では安全だった魔法が現実世界では凶器と化すという設定も着想が面白いなと思いました。元ネタ(朝アニメの方)では戦闘終了後に自動修復されますからね。あれってどういう理屈なんだろう?笑 全シリーズ観ているわけではないからよくわからない。
サビ後半部は現実世界における創作物のキービジュアルスライドショー的な役割を持っているのが好きです。その付近にキャラが居合わせるというのも夢があって良いですよね。でも電車の中のアリスちゃんは正直怖いです。笑 密閉空間における装備含むサイズ感が妙にリアルで。
ラストのCメロ部は01.のレビュー中で歌詞と絡めて言及したので省略しますが、ひとつだけ付け加えるならBメロ部にも出てきた荒野から颯太くんが眼鏡を掛け直して歩き出そうとしているカットで〆というのは未来志向で良いと思いました。水中に沈んだセツナから外れた眼鏡との対比も鮮やか。