CRAZY CRAZY, 原宿いやほい / 中田ヤスタカ, きゃりーぱみゅぱみゅ
中田ヤスタカ『CRAZY CRAZY』及びきゃりーぱみゅぱみゅ『原宿いやほい』のレビュー・感想です。1枚のディスクですが名義がそれぞれ分かれているという特殊なシングルで、"スプリット盤"と呼称するみたい。アートワークもそれにあわせてか懐かしの8cmシングル風。
Crazy Crazy (feat. Charli XCX & Kyary Pamyu Pam.../ワーナーミュージック・ジャパン

¥1,296
Amazon.co.jp
「CRAZY CRAZY」にもきゃりーが参加しているので、便宜上この記事では本作をきゃりーのニューシングルとして扱います。つまり話題の中心をきゃりーにするということです。
当ブログにおけるきゃりーの記事は約5年半前、ミニアルバム『もしもし原宿』(2011)のレビューが最後でした。リンク先をご覧いただけば分かると思いますが、昔の僕がきゃりーの今後にとても期待していたことが読み取れますね。
…だがしかし、まさかここまでワールドワイドにシンボリックな存在になるほど大成するとは予想できませんでした。彼女の活躍のほどは今や万人の知るところだと思いますが、奇しくも"原宿"をキーワードに5年半越しのレビューとなったことに運命じみたものを感じます。
5年半越しといってもそれはこのブログにおける話であって、僕自身は『もしもし原宿』で彼女を知って以降ずっとファンで追い続けています。中田ヤスタカプロデュースの作品はシングル・アルバム・DVDを全て揃えているぐらいには。
MEGがヤスタカから離れたからきゃりーにシフトしたという節も若干あります。ヤスタカファンなのでCAPSULEもPerfumeも勿論好きなのですが、かつてMEGに熱心だったようにヤスタカが裏に回ってソロの女性アーティストをプロデュースするという構図がいちばんツボみたい。
きゃりーぱみゅぱみゅ あたしアイドルじゃねぇし!!!/東京ニュース通信社

¥価格不明
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ちょうどこんなムックも近日中に発売になりますが、MEGもきゃりーもアイドル的な要素を持っているけど別にアイドルではありませんよね。そういうところが好きなのかも。ここを履き違えるというか敢えて曲解して楽しむ人種もいるので、色々言いたくなるのもわかります。
前置きが長くなりましたがここからレビュー開始です。2曲2パターン計4トラック、1曲ずつみていきましょう。まずは中田ヤスタカsideから。
01. CRAZY CRAZY (FEAT. CHARLI XCX & KYARY PAMYU PAMYU)
Charli XCX(チャーリー・エックス・シー・エックス)ときゃりーぱみゅぱみゅをフィーチャーしたエレクトロナンバー。聴いた限りではメインボーカルがチャーリーできゃりーはコーラス参加だと思います。間奏の"Crazy crazy me and you"のところはきゃりーの声がよく聴こえますけどね。
作詞もCharliなので全編英語詞。この点は新鮮ですが、トラック自体は可愛らしい音使いの安定のヤスタカサウンドといった趣で、PerfumeかMEGの曲にありそうな感じ。ただメロディラインは海外仕様というか英詞を乗せやすい旋律だと思うのできちんと差別化はできている印象です。
英日の若き女性シンガー2人によるコラボ楽曲ということになりますが、ヤスタカのトラックは国を選ばないというかどちらの要素にも上手く寄り添っていると思います。アレンジャーのセンスが光りますね。
02. CRAZY CRAZY REMIX
01.より1分近く長くなったトラックですがお馴染みのEXTENDEDではないようです。単に追加して長くしたというよりは音自体が違うのでREMIXなのでしょう。全体的な印象でいえばこちらは大人びているというかクールなサウンドになっています。
シンセの尖りが抑えられているからか01.ほどアグレッシブな雰囲気はなくなっていますが、キックがはっきりしているのでビート感やグルーヴ感に関してはこちらに軍配をあげたいです。よりフロアライクなのはこちらでしょう。
01.はイントロを除くと最後までずっとボーカルトラックが主張してくるのでサウンドを楽しむ余裕に欠ける気がしますが、こちらはアウトロ(3:35~)に「トラック自体を聴け」というメッセージが潜んでいる気がします。笑
ボーカルには遊び心が加えられているのでトラックに融け込んでいる(楽器的な使われ方に変わっている)し、完全にボーカルがなくなる3:55~4:05のところも凄く格好良い。欲を言えば4:05でそのまま終わってほしかったけどね。
続いてきゃりーぱみゅぱみゅside。
03. 原宿いやほい
言いたいことが溢れて長くなってしまいました。EDM批判のようなものから始まりますが軟着地点は用意したつもりだし曲は褒めているので、あまり肩肘張らずに読み進めてくださると助かります。むしろディスを期待して検索から流れてきた人をディスる内容になっているかも。
AQUOS(シャープ)のCMソングとしてもお馴染みの曲。サウンドこそキュートにしていますがコード感はもろにEDMですね。メロディは切ない系。似ている曲を挙げるのは容易いけれど、EDMってそういうもん(リスナーもわかってて聴いているん)でしょと思うので、むしろ敢えて似せているのではないでしょうか。
この記事 で書いた通り僕はアンチEDM(狭義)なので上のは偏見に満ちた意見だと前置きしておきます。…が、それはそれとしてこの「原宿いやほい」は素晴らしいと思います。リンク先の記事でもちょうどヤスタカの名前を出しているので再掲しますが、「ポップミュージックにEDM的手法を取り入れる」のはむしろ好物だからです。
イントロから一気に曲の方向性がわかる作りというか、こういう"わかりやすさ"や"アゲる力"に関してはEDMは強いですね。良く言えばプリミティブ、悪く言えば安易と表現できるでしょうが、そういうものを身体が求める時や状況というのは必ずあるので、普遍的なニーズがあるものだと思います。
「そういう(中略)時や状況」というのは何か?それは"若さ"と関係があると思います。次は歌詞を見ていきますが、そう…この曲は"若い"んです。舞台が原宿というだけで十分察せますが、決定的なフレーズは"オトナには気付けない砦"という歌詞("築けない"とも掛けている?)。
"あの交差点から始まった"という歌詞も「PONPONPON」へのアンサーだとわかる一節ですが、この曲は「PONPONPON」の歌詞にもある"もし"や"たら"や"なら"などのifが、きゃりーの成功によってifじゃなくなった世界(=現実)の歌だと言えると思います。脱『東京タラレバ娘』。笑
要するにこの曲は、レビューの冒頭で音楽シーンについてあれこれ分析をしちゃう僕のような存在や、やれアレのパクリだのコレに似てるだのと騒ぎたてるような"オトナ"へ向けられていないということです。実年齢の話ではなくてね。
"ランランとしたくて", "踊ろう/ハイになれ", "とりあえずいやほい"なのだから、それに合うサウンドというのはシンプルでいいんです。だからこそ「敢えて似せている」と表現したのですが、なぜEDMなのか?それは"コドモでも気付けない 一人じゃ"だからです。
先にリンクした記事にも書いたので再掲しますが、EDMというのは「音楽のジャンルというよりもフロアも含めたカルチャー全体の呼称」だと思っています。つまりこの曲のコンセプトにEDMはとてもよくマッチすると言いたいのです。カルチャーごと巻き込んで"コドモ"だけの"砦"を築くには適している。
(年齢的に大人の)きゃりーファンには理解しやすいと思いますが、もちろんこの"コドモ"というのも実年齢の話ではないでしょう。このあたりの話はASOBISYSTEMの理念なんかも絡んでくる気がしますが、つくづく原宿を中心に発信されているなと感じます。
04. 原宿いやほい EXTENDED MIX
こちらはお馴染みのEXTENDEDで2分近く長くなっていますが、03.のレビューが長くなったので記事は逆に短くいきます。笑
キュートの皮が脱ぎ捨てられたイントロからはよりEDMに近づいたという印象を受けますが、全体的には緊張感が増したミックスだなという感想。特に要所要所で鳴る徐々に高くなっていくシンセのヒリヒリした感じが堪らない。1番と2番の間がわかりやすいかな。
以上です。実質2曲とは思えないほど文量が多くなってしまいましたが、更新再開後にきゃりーのことを語る場が未だなかったので許してくださいな。言いたいことは03.のとことでほぼ言い尽くしたので最後にまとめ的な文章を書くことはしません。
今回は記念シングル的な位置付けだと思いますが、今後も色々と面白い試みを行ってくれることを期待します。ということで、おしまい。
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「CRAZY CRAZY」にもきゃりーが参加しているので、便宜上この記事では本作をきゃりーのニューシングルとして扱います。つまり話題の中心をきゃりーにするということです。
当ブログにおけるきゃりーの記事は約5年半前、ミニアルバム『もしもし原宿』(2011)のレビューが最後でした。リンク先をご覧いただけば分かると思いますが、昔の僕がきゃりーの今後にとても期待していたことが読み取れますね。
…だがしかし、まさかここまでワールドワイドにシンボリックな存在になるほど大成するとは予想できませんでした。彼女の活躍のほどは今や万人の知るところだと思いますが、奇しくも"原宿"をキーワードに5年半越しのレビューとなったことに運命じみたものを感じます。
5年半越しといってもそれはこのブログにおける話であって、僕自身は『もしもし原宿』で彼女を知って以降ずっとファンで追い続けています。中田ヤスタカプロデュースの作品はシングル・アルバム・DVDを全て揃えているぐらいには。
MEGがヤスタカから離れたからきゃりーにシフトしたという節も若干あります。ヤスタカファンなのでCAPSULEもPerfumeも勿論好きなのですが、かつてMEGに熱心だったようにヤスタカが裏に回ってソロの女性アーティストをプロデュースするという構図がいちばんツボみたい。
きゃりーぱみゅぱみゅ あたしアイドルじゃねぇし!!!/東京ニュース通信社

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前置きが長くなりましたがここからレビュー開始です。2曲2パターン計4トラック、1曲ずつみていきましょう。まずは中田ヤスタカsideから。
01. CRAZY CRAZY (FEAT. CHARLI XCX & KYARY PAMYU PAMYU)
Charli XCX(チャーリー・エックス・シー・エックス)ときゃりーぱみゅぱみゅをフィーチャーしたエレクトロナンバー。聴いた限りではメインボーカルがチャーリーできゃりーはコーラス参加だと思います。間奏の"Crazy crazy me and you"のところはきゃりーの声がよく聴こえますけどね。
作詞もCharliなので全編英語詞。この点は新鮮ですが、トラック自体は可愛らしい音使いの安定のヤスタカサウンドといった趣で、PerfumeかMEGの曲にありそうな感じ。ただメロディラインは海外仕様というか英詞を乗せやすい旋律だと思うのできちんと差別化はできている印象です。
英日の若き女性シンガー2人によるコラボ楽曲ということになりますが、ヤスタカのトラックは国を選ばないというかどちらの要素にも上手く寄り添っていると思います。アレンジャーのセンスが光りますね。
02. CRAZY CRAZY REMIX
01.より1分近く長くなったトラックですがお馴染みのEXTENDEDではないようです。単に追加して長くしたというよりは音自体が違うのでREMIXなのでしょう。全体的な印象でいえばこちらは大人びているというかクールなサウンドになっています。
シンセの尖りが抑えられているからか01.ほどアグレッシブな雰囲気はなくなっていますが、キックがはっきりしているのでビート感やグルーヴ感に関してはこちらに軍配をあげたいです。よりフロアライクなのはこちらでしょう。
01.はイントロを除くと最後までずっとボーカルトラックが主張してくるのでサウンドを楽しむ余裕に欠ける気がしますが、こちらはアウトロ(3:35~)に「トラック自体を聴け」というメッセージが潜んでいる気がします。笑
ボーカルには遊び心が加えられているのでトラックに融け込んでいる(楽器的な使われ方に変わっている)し、完全にボーカルがなくなる3:55~4:05のところも凄く格好良い。欲を言えば4:05でそのまま終わってほしかったけどね。
続いてきゃりーぱみゅぱみゅside。
03. 原宿いやほい
言いたいことが溢れて長くなってしまいました。EDM批判のようなものから始まりますが軟着地点は用意したつもりだし曲は褒めているので、あまり肩肘張らずに読み進めてくださると助かります。むしろディスを期待して検索から流れてきた人をディスる内容になっているかも。
AQUOS(シャープ)のCMソングとしてもお馴染みの曲。サウンドこそキュートにしていますがコード感はもろにEDMですね。メロディは切ない系。似ている曲を挙げるのは容易いけれど、EDMってそういうもん(リスナーもわかってて聴いているん)でしょと思うので、むしろ敢えて似せているのではないでしょうか。
この記事 で書いた通り僕はアンチEDM(狭義)なので上のは偏見に満ちた意見だと前置きしておきます。…が、それはそれとしてこの「原宿いやほい」は素晴らしいと思います。リンク先の記事でもちょうどヤスタカの名前を出しているので再掲しますが、「ポップミュージックにEDM的手法を取り入れる」のはむしろ好物だからです。
イントロから一気に曲の方向性がわかる作りというか、こういう"わかりやすさ"や"アゲる力"に関してはEDMは強いですね。良く言えばプリミティブ、悪く言えば安易と表現できるでしょうが、そういうものを身体が求める時や状況というのは必ずあるので、普遍的なニーズがあるものだと思います。
「そういう(中略)時や状況」というのは何か?それは"若さ"と関係があると思います。次は歌詞を見ていきますが、そう…この曲は"若い"んです。舞台が原宿というだけで十分察せますが、決定的なフレーズは"オトナには気付けない砦"という歌詞("築けない"とも掛けている?)。
"あの交差点から始まった"という歌詞も「PONPONPON」へのアンサーだとわかる一節ですが、この曲は「PONPONPON」の歌詞にもある"もし"や"たら"や"なら"などのifが、きゃりーの成功によってifじゃなくなった世界(=現実)の歌だと言えると思います。脱『東京タラレバ娘』。笑
要するにこの曲は、レビューの冒頭で音楽シーンについてあれこれ分析をしちゃう僕のような存在や、やれアレのパクリだのコレに似てるだのと騒ぎたてるような"オトナ"へ向けられていないということです。実年齢の話ではなくてね。
"ランランとしたくて", "踊ろう/ハイになれ", "とりあえずいやほい"なのだから、それに合うサウンドというのはシンプルでいいんです。だからこそ「敢えて似せている」と表現したのですが、なぜEDMなのか?それは"コドモでも気付けない 一人じゃ"だからです。
先にリンクした記事にも書いたので再掲しますが、EDMというのは「音楽のジャンルというよりもフロアも含めたカルチャー全体の呼称」だと思っています。つまりこの曲のコンセプトにEDMはとてもよくマッチすると言いたいのです。カルチャーごと巻き込んで"コドモ"だけの"砦"を築くには適している。
(年齢的に大人の)きゃりーファンには理解しやすいと思いますが、もちろんこの"コドモ"というのも実年齢の話ではないでしょう。このあたりの話はASOBISYSTEMの理念なんかも絡んでくる気がしますが、つくづく原宿を中心に発信されているなと感じます。
04. 原宿いやほい EXTENDED MIX
こちらはお馴染みのEXTENDEDで2分近く長くなっていますが、03.のレビューが長くなったので記事は逆に短くいきます。笑
キュートの皮が脱ぎ捨てられたイントロからはよりEDMに近づいたという印象を受けますが、全体的には緊張感が増したミックスだなという感想。特に要所要所で鳴る徐々に高くなっていくシンセのヒリヒリした感じが堪らない。1番と2番の間がわかりやすいかな。
以上です。実質2曲とは思えないほど文量が多くなってしまいましたが、更新再開後にきゃりーのことを語る場が未だなかったので許してくださいな。言いたいことは03.のとことでほぼ言い尽くしたので最後にまとめ的な文章を書くことはしません。
今回は記念シングル的な位置付けだと思いますが、今後も色々と面白い試みを行ってくれることを期待します。ということで、おしまい。