Musica Magica / V.A. (魔法少女育成計画キャラクターソング集) | A Flood of Music

Musica Magica / V.A. (魔法少女育成計画キャラクターソング集)

 現在放送中のTVアニメ『魔法少女育成計画』のキャラクターソング集『Musica Magica』のレビュー・感想です。複数の声優により歌われているので記事タイトルでは便宜上V.A.としました。原作は未読ですがアニメ第9話までのネタバレを含むことを注意喚起しておきます。

TVアニメ『魔法少女育成計画』キャラクターソングアルバム「Musica Magica」/FlyingDog

¥3,024
Amazon.co.jp

 ジャケットに写っているキャラのうち既に半数以上がお亡くなりになっているという何とも哀しいアルバム。個人的に好きな魔法少女3人、ねむりんは最初の犠牲者となり、ラ・ピュセルも予想外の早期退場、最新話でついにトップスピードも逝ってしまって心が折れそうです…


 本作のTVCMを観て良さ気だなと思い、クロスフェード動画で試聴したところやはり買う価値ありだと思えたので、配信ではなく現物で入手しようとしたのですが、品薄だった(現在は解消されている?)ようで方々を探すことになってしまいました。

 出荷枚数を絞っていたのか想定以上の人気だったのか理由はわかりませんが、発売日にアニメイト2店舗回ってなくて、ゲーマーズにあったと思ったら「品切れです」の文字が。嫌な予感がしてAmazonを見たら「通常1~2か月以内に発送」と無慈悲の宣告。

 …発売日なのに嘘だろと絶望しかけたんですが、とらのあながあったことを思い出し閉店間際に寄ったら4枚も残っていて買うことができました。街の中心から若干外れたところにあるからかもしれませんが、何にせよ絶望せずにすみました。


 同日発売の他作品二枚を先にレビューしたので遅くなりましたが、ここから本作のレビューに入ります。アニメの内容にもふれつつになりますが、ストーリーや設定を勘違いして変なことを書いていたらごめんなさい。



01. ユメトユメ

 一曲目はスノーホワイト(CV:東山奈央)×ラ・ピュセル(CV:佐倉綾音)のデュエットで、主人公と幼馴染コンビによる善なる魔法少女らしい前向きなロックナンバーです。優しさと静かな闘志が感じられるサビのキャッチーなメロディが好き。

 1番と落ちサビはスノーホワイト、2番とCメロはラ・ピュセル、サビは2人による歌唱で仲良く半分こという感じですね。歌詞も二人の生い立ちや能力が反映された正しい内容で、王道を思わせます。

 …が、言わば主人公のナイトとしての存在だったラ・ピュセルは早い段階で殺されてしまって驚きました。主役級補正が及んでいると思っていましたが、やはり元が男の子なのは邪道なのか歌詞のようにはいきませんでしたね。


02. おやすみパラレル

 ねむりん(CV:花守ゆみり)らしいドリーミーさにあふれた中毒性の高い曲。TVCMでちらっと聴いた時から好みで本作を買う大きな動機となっていましたが、その期待を裏切らない出来でした。キャラソンはバンドサウンドよりも打ち込み主体のほうが好きなのでストライクど真ん中。

 サビは"今日もふわふわ"~の部分だと思いますが、フックとして機能しているのは"おやすみグッバイ"~のところで、つかみはばっちりという感じですね。甘いボイスと歌詞通りの"ふわふわ"なメロディーが癖になります。

 過酷な設定を見せるために犠牲となってしまった感が強いねむりんですが、スイムスイムという強幼女を生み出すきっかけを作っているため、退場してからもずっと存在がちらつくのは嬉しいような哀しいような気分です。


03. ピーキーわんだふる!

 ピーキーエンジェルズのミナエル(CV:松田利冴)とユナエル(CV:松田颯水)に巻き込まれたたま(CV:西明日香)が不憫という感じのポップな曲。笑

 これもTVCMで聴いて割と好みだったので楽しみにしていました。歌詞にあるように本作の中でいちばん"わちゃわちゃ"した曲ですが、サビはなかなかの美メロだと思う。

 双子天使はそのうち絶対片翼になるわと思っていたら案の定でした。生物に変身できる方が扱いにくいからかユナエルが先に退場しましたが、もっと双子のコンビネーション戦法が見たかったな。たまは性格のせいでアレだけど、能力は結構えげつない使い方ができそう。




04. Betrayal

 ルーラ(CV:日笠陽子)×スイムスイム(CV:水瀬いのり)の師弟コンビによる、哀しいタイトルを冠した切ないナンバーです。ギターとストリングスは情熱を、オルガン?とシンセはメルヘンさを演出していますが、両要素が綺麗にまとまっていると感じます。Bメロのゴシックな音作りが特にツボ。

 1番の歌詞はルーラの傲慢な感じが、2番の歌詞はねむりんの助言とルーラの金言によって形成されたスイムスイムの狂気をはらんだ純粋さがそれぞれ出ていて好きです。"私があなたになればいい"という歌詞に潜む残酷さよ。

 ルーラは嫌いだけど可哀想なキャラなので同情はできます。能力が強すぎるから退場させられたような気もするしメタ的にもね。他作品を持ち出しますが、能力といえばスイムスイムのはダイバー・ダウン的な感じだと理解していたのですが、ロギア系のような透過能力も備えているみたいなので、余計に攻略がしんどそうだと思いました。


05. 魔法少女は嗤う

 カラミティ・メアリ(CV:井上喜久子)とマジカロイド44(CV:新井里美)のビジネスパートナー同士によるアダルトな楽曲です。アルコールがよく馴染みそうなムーディーなサウンドで、タイトルの割に少女感に欠ける。笑 自虐的な意味合いでしょうからいいんですけどね。

 硝煙のにおいがしそうな歌詞も含めて全体的にカラミティ・メアリの歌といった趣ですが、Cメロの曲調もメロディもガラッと変わって少しコミカルな印象が加わるところは、ふざけた外見と能力のマジカロイド44らしいと思いました。

 カラミティ・メアリはわかりやすい悪の魔法少女ですが、こういう場を引っかき回すキャラはエンタメ的には必須ですね。能力ゆえに画も派手になるし。マジカロイド44は結構好きだったんですが、打算的過ぎて身を滅ぼしたように思います。


06. Forget me Not…

 ハードゴア・アリス(CV:日高里菜)によるソロナンバー。キャラ名からジャンルはハードコア或いはゴア(トランス)でくるかと僅かばかり思っていましたが、そんなことはなく順当にアリスの方を解釈したゴシックな作風になっています。クロスフェード動画で膨らんでいた期待に十二分に応えた一曲です。

 プロフィールにも書いていますがALI PROJECTが好きなのでこういう曲は大好物。もうイントロからガツンときます。メロディだけを評価するなら本作の中でいちばん好きですし、曲構成がトリッキー(Aメロは1番だけ、2番のサビでメロディを変える+ここを落ちサビにする)なのもポイント高い。

 ハードゴア・アリスはまだキャラをよく掴めていないんですが、スノーホワイト(主人公)に執心しているのでキーキャラなんだろうと思います。カラミティ・メアリがこれでもかというくらい念入りに殺しにかかった一連のシーンには思わず笑ってしまいましたが、それでも再生するってゲームルールで脱落させる以外にどうしろっていうんでしょうね。




07. Purest

 シスターナナ(CV:早見沙織)×ヴェス・ウィンタープリズン(CV:小林ゆう)の同性カップルによるラブソングです。優しく柔らかなメロディに淡いサウンドだからか最初は印象が薄かったのですが、何回か聴いているうちに綺麗ないい曲だと思えました。

 特にAメロとサビの旋律には歌詞に違わぬ"ピュアレスト"さが宿っていると感じます。細かいアレンジだと、2番Aメロはシスターナナのパートではギターが、ウィンタープリズンのパートではパイプオルガン?が使われていて、ボーカルとキャラを象徴する音が補い合うように対になっているところが素敵です。

 このように歌はいいんですが、キャラとしてはシスターナナはいい子ちゃん過ぎて嫌いでした…が、自殺するカットはエグかった。ウィンタープリズンが先に逝って能力的にもどうしようもないので嫌な予感はしていたけど闇堕ちでワンチャンあるかと思ってたのに。


08. DESTRUCTION

 リップル(CV:沼倉愛美)とトップスピード(CV:内山夕実)による尖ったロックチューン。イントロ~Aメロバックで聴こえる夜の空気を纏ったようなミニマルな電子音や、サビの疾走感のあるシンセなど、バンドサウンドとのバランスが絶妙で格好良いです。

 この二人も主人公コンビと同じく基本的には善の魔法少女だと思うので、01.「ユメトユメ」と同じく曲としては王道な感じがします。アニソンらしいと換言してもいいです。ですが、歌詞の内容はこちらのほうが覚悟上乗せといった感じで燃えます。

 リップルは1話のアイキャッチでスノーホワイトの次に登場したので重要なキャラだと思っていましたが、ざっとwikipediaを見る限りでもやっぱり主要キャラのようですね。確かに次々と困難に見舞われるあたりに主人公らしさを見た気がします。

 トップスピードが死んだことで更に覚醒しそうな予感がありますが、それはそれとしてトップスピードの死はショックでした…いい娘だったのに…いちばん魔法少女らしいアバターだったのに…しきりに"あと半年"を気にしていたのでてっきり本人の余命かと思っていたんですが、最新話で事情がわかり余計にうわぁと思いました。


09. 孤独な森のメロディー

 ラストは森の音楽家クラムベリー(CV:緒方恵美)による寂寥感のあるナンバーです。エンディング感があるのでアルバムの幕引きにはぴったり。

 "メロディー"と冠しているだけあって旋律の美しさには特筆性があると思います。特にBメロとサビの美メロっぷりは琴線に触れる。物悲しいピアノとストリングスによるアレンジも、旋律を更に際立たせるものとして調和がとれていると感じます。

 このキャラだけ何で肩書きが付いたような名前なんだろうと思っていましたが、ファヴを従えている黒幕のようなので、名前からして特別仕様なのかと合点がいきました。そういう意図ではないかもしれませんけど。笑



 以上、魔法少女16人による全9曲でした。クロスフェード動画で全体的に粒揃いであろうことはつかめていましたが、期待通りの良曲が揃っていたと思います。

 いちばん好きなのは目当てにしていた02.「おやすみパラレル」ですが、動画で期待大だった06.「Forget me Not…」も良くて甲乙つけがたいです。次点も迷いますが、04.「Betrayal」と08.「DESTRUCTION」はお気に入り上位に入っています。

 初めは微妙と思った曲も繰り返し聴いたら味が出てきたので、嫌いな曲や最後までピンとこなかった曲というのはありませんでした。色々なタイプの曲が用意してあって、キャラソンアルバムとして飽きの来ない作りになっていると思います。


 アニメについてはまだ途中なのでここで改めてストーリーにふれることはしませんが、デス・ゲーム系とはいえキャラの死に意味がある(他のキャラに何かしら遺す)ところは評価できる点だと思っています。

 加えて、やっぱり固有能力によるバトルがある作品には弱いなと改めて思いました。全員同じような魔法が使える設定だったらそこまで好きじゃなかったと思います。固有が大事。笑

 冒頭でも書いた通り僕の好きなキャラは全員死んでしまったので観るモチベが若干低下気味なんですが、回想で出てくることもあるし決着を見ないのは嫌なので最終話まできちんと観ようと思います。