相談窓口で「同時に何社まで応募できるのですか?」とよく聞かれることがあった。
システム上の上限はとくに設けられていないが、人が自分で応募状況を同時に管理できるのはせいぜい3社くらいなので、同時に応募する場合は概ねそれくらいの数を勧めていた。
(ちなみに紹介状を同時に4通以上発行した人が、応募書類を郵送する際、間違って別の会社の紹介状を送ってしまい不採用になった人を私は2人知っている)
経済的な理由から早く就職したい人は、ひとつずつ応募してその結果を待って次を応募するようなペースでいては間に合わないことが多く、どしどし並行して積極的に応募を勧めていた。もし幸い2社以上から内定をもらったら、どちらかを辞退すればいいだけの話である。
ただし、この場合注意することがある。
●志望に優先順位があると・・・
はじめから、最初に内定をもらえたところに就職するという固い決意があれば問題はないのだが、もし複数社に同時応募する際、第一志望、第二志望 ・・・とある場合は注意が必要だ。
先に第二志望のところから内定の連絡がはいったものの、まだ第一志望の会社から返事がない場合、第二志望の会社にどう回答したらいいかとの相談を受けたことが何度かあった。
通常、内定がでると入社するかどうかはだいたい3日以内に入社するか辞退するか回答するのが一般的なビジネスマナーと言われている。待ってもらえればいいのだが、その場合もいつまでもというわけにはいかない。
応募先が良心的な会社であれば1週間程度待ってくれることもあるが、あまり引き延ばすと他社と天秤にかけていることがわかってしまう上に、急募の場合は、早く採用したいので辞退されたら次の人を採用しないといけないので、回答の締め切り日を設けられ、それまでに返事をしないと内定が取り消しになることがある。
いきなり面接選考の場合は、翌日面接、当日採用で最短、応募から2日で内定がでることがある。書類選考の場合は、応募書類が届いて書類選考し面接日が決まるので、内定まで最短でも2週間程度はかかることが多い。
第一希望が書類選考で、第二希望が面接選考の場合、同時に応募すると結果が第二志望から先に内定が出ることが多く、回答の調整に苦労することになる。
●スケジュール調整が大変です
以前こうした、第二志望から内定が出たものの、第一志望の面接が終わるまで回答を待ってもらえず迷った末に辞退したが、その後、第一志望の会社が不採用になったと窓口で泣きつかれたことがあった。
再度応募しようとしても、内定を一度辞退すると、通常、その後1~2年間くらいは応募しづらくなる。応募しようとしても採用担当者が名前を覚えており、「この方以前内定したのに辞退された方ですよね」とやんわりことわられることもあった。
第一志望が先に結果が出るように応募のスケジュールを調整することが望ましいのだが、第一志望の結果が出るのを待っているうちに第二志望の求人自体がなくなってしまうこともある。
こういう場合、できるだけ第二志望の応募状況(応募者数)を随時まめに確認しながら、応募の時期を遅らせるか、応募はしてもなにか理由をつけて面接日をできるだけ遅らせるような調整をするしかない。
●別のリスク
また、第一希望で入社したものの、職場になじめなかったりブラック企業と判明したりで短期で退職してしまうと、次に第二志望で採用を辞退したところに再度応募はしづらいところだ。一度も応募していなければ、そのまますんなり応募できたのに・・・と後悔することになる。
そういう意味でも、やみくもに応募するのも注意が必要である。
とはいえ、前述のとおり、ひとつずつ順番に応募する方法では、スピード感がなく求人がなくなってしまうリスクもある。
結局、投網をかけるように同時に何社も応募するか、ひとつひとつ応募してその結果を待って次を応募するかは、自分自身の事情に応じて切り分けるしかない。
ただし、建築・土木・警備・運送・看護・介護などの人手不足の業種やこうしたことにはこだわらない採用担当者いる会社であれば、一度辞退したところでも、なんのわだかまりもなく採用してくれるところもあるので、あきらめず窓口の相談員からダメ元で「一度辞退した方でも再度応募できますか?」と聞いてもらってほしい。
ここで変な遠慮は無用である。
窓口の相談員は紹介実績を上げたいので「どしどし応募しましょう!」と勧めてくると思うが、(現に私もそうだった)こうしたリスクは承知して応募してほしいところだ。