●出世がいやなのでやめます ◇31歳 女性◇
ある年の12月頃来窓。正職員として公立中学校の教師をしていたが、来年の3月末で退職したいので、今から次の仕事をさがしたいとのこと。
転職したい理由を聞くと、クラスの担任として勤務していたが、来年度から管理職の仕事(詳細は不明だが、若い教員の管理・指導等も含まれるとのこと)も任せたいと上司から内々の話があったらしく、自分は人を管理するような仕事は向いていない、管理職よりも一教員として働いている方が自分の性にあっている。辞退もできない雰囲気なので、賃金は減ってもいいので、もう少し責任の軽い仕事に転職したいとのこと。
しかも、学校は「究極のブラック企業」と言われているほどなので、昇格すればおそらく保護者対応や時間外勤務も増えるだろうし、精神的にも肉体的にも、とてもやっていく自信がないのかもしれない。
ただ、出世や昇格すれば賃金も当然上がるし、管理職への昇格を打診されるということは、その人を評価しているからであって、評価が低ければ打診などされない。
私のような昭和世代にとっては、考えられない、
なんとも、もったいない話である。
今の若い人たちには、給料は安くてもいいので気楽に働きたい、責任のある仕事は避けたい人が多くなっているような気がする。
この根底には、煩わしい人間関係に巻き込まれなくない、人に嫌われたくないという気持ちが強過ぎるのかもしれない。
また、今の自分の上司を見ていて、(特に優秀な上司についている場合など)理想の上司像を勝手に描いてしまい、自分では無理だと決めつけてしまうことがよくある。
実は、組織のマネジメント手法は、自分の性格や価値観にあわせて背伸びせず、自分らしくチームを運営・管理すればいいのである。
●自分らしいリーダー像をめざせ
例えば リーダー像にもいろいろタイプがある。
●リーダーシップバリバリ型
「俺についてこい」的に部下に次々指揮命令ができるタイプ。ただ、よほど仕事のできる人で、まずほとんどの人が無理なタイプである。能力もないのに、無理にこのスタイルをとるとパワハラにつながるし、それこそ部下から信頼されない嫌われる上司となる。
●調整・相談型
リーダーといっても、麻雀でいう席決めの時の仮親みたいな程度と考え、フラットな組織を意識し、リーダーもメンバーの一人という考え方で部下の意見を聞きながら、風通しのいい環境づくりを重視し、部下と相談しながら意思決定をするタイプ。
●放任・依頼型
「たのむよ、がんばってくれよ、君を頼りにしているから」と憎めない上司役に徹して、部下が「あの上司、困っているから助けてやろう」と思ってもらうように仕向けるタイプ。比較的年配の方によくいるのだが、社内の根回しがうまく顧客への謝罪などには率先して対応してくれるタイプ。
ただし、いずれも共通して言えることは、結果責任は自分がとるという覚悟はいるが、この「責任をとる」というのも、サラリーマンの場合は重いようで以外と軽い。謝れば済むことも多く、次の賞与が少し減るかもしれないが、損害を弁償させられたり、いきなりクビになることはまずない。一時的に冷や飯を食うことになるかもしれないが、時間が経てばリカバリーできることも多く、いざとなれば転職すればいいだけである。あまり深く考えない方が得策である。
また、部下がミスをしたり、ルール違反を注意する時も、叱るのが嫌なら、再発防止策を一緒になって考える姿勢で部下と話合うようにし、部下を甥っこか姪っこくらいと考え、愛情をもって接していれば、部下も受け入れてくれることが多い。
正解はない、100点をとる必要もない。無理をせず、自分らしい部下の管理方法を模索していけばいい。
はじめは頼りなくて、未熟な管理職でいいのである。そのうち「器が人を造る」ことになる。
せっかくのキャリアを積み、自分が成長できるチャンスである。チャレンジしてほしいものだ。