●ハロワには、できれば来たくない
ここ2,3年、ハローワークに基本手当(第28話参照)を受給しながら仕事さがしに来る人でも、パソコンやスマホの操作に慣れている人は、ハローワークインターネットサービス(HWIS)だけでなく、民間の無料転職サイトで探して応募するという人が確実に増えてきていた。
HWISでも、紹介状不要の求人も徐々に増えてきており、これからは、応募書類の作成に困らない人や求人票の見方などに慣れている人は、紹介者を介さず直接、求職者・求人者の当事者どうしでやり取りをする応募方法が主流になることはまちがいない。
実は、窓口で若い人から「ハローワークには、(基本手当の受給に必要な)認定を受けるためにしかたなく来るけど、本音を言うとあまり来たくない」とよく聞かされた。
理由を聞くと、単に来所するのが面倒くさいとか、混んで待たされるのが嫌というだけではなく、「ハローワークは空気がよどんでいる、雰囲気が悪い、仕事が決まらない人の負のオーラを浴びそう」などと、かなり辛辣なことを言われることがあった。
確かに、来庁者の怒号や罵声が聞こえたり、窓口の相談員と相談者と言い争う声が聞こえることもあったりするが・・・。
苦笑いするしかなかったが、こればかりはどうしようもない。雰囲気の明るいハローワークなど見たことも聞いたこともない。
●相談員が仲介してくれると安心
一方、ネットでの応募だと求人者側、求職者側双方から、「ネットから応募したのに応募先の会社からなんの連絡もない」、「応募者が指定した面接時間に現れない」など、お互い無責任な行動があって迷惑を被ったと窓口や電話で聞かされたことも多々あった。
「ハローワークの窓口を通すと相談員が仲介するので安心」という声も多かったことを申し添えておきたいと思う。
あと、数年(?)もすると、AIが普及しビッグデータが蓄積されて、自分の経歴・保有資格や希望条件を入力するだけで、自動的に応募できそうな求人を検索してくれたり、応募書類を自動的に作成してくれるようになり、職業相談員という職業も、(高年齢者・障がい者・生活困窮者などの一部のIT弱者への対応を残して)将来無くなる職業の一つと言われている。
職業紹介を生業(なりわい)とする者が失業するという皮肉なことになりそうだ。