●かかわりたくない人たち ◇ごく少数◇
ハローワークの職業相談窓口に来る多くの相談者は、礼節や常識をわきまえており、お互い丁寧な口調で面談するのだが、まれに、あまり関わりたくないような人が来窓する。
例えば・・・
・はじめから、相談員を下に見て、タメ口で威張り散らす。すぐマウントをとりたがる。
・相談員が、自分の働いた業界の事を知らないと、そんなことも知らんのかと馬鹿にする。
・応募の際に、就労環境や労働条件以外に、仕事の内容について専門的で細かいことを聞いてくれと言ってくる。面接時に直接当人どうしで聞いてほしいとお願いしても頑なに拒否する(第24話参照)。
・スマホを持って操作も慣れているのに、「場所はどこだ?」「地図を出せ!」と言って全く就業場所や交通手段を自分で調べようとしない。
・求人票を10枚くらい持ってきて、すべて応募するので紹介状を発行してくれと言ってくる。実際は半分も応募書類を送らないし、辞退したことを連絡もしない。
・俺は、政治家や局長と知り合いだとか、気に入らない対応をすると、厚生労働省や県の労働局に電話するぞと脅かす。(「どうぞご自由に」と言い返してはいるが・・・)
などなど
相談員も人間である。あまり関わりたくない相談者の場合は、早く終わらないかなと事務的な対応になり、有益な情報やアドバイスを提供してもらえず、結局、本人が損をすることに気づいていない。
●許せないカスハラ相談者
さらに、ひどくなるとカスタマーハラスメントに発展することもあった。相談員の人格を否定するような暴言を浴びせるのである。
「お前、アホか! 高校出てるんか!」
「お前みたいなアホと話はできへんわ! 上(の者)と替われ!」
公務員なら何を言っても許されると勘違いしているのである。公務員は奉仕者ではあるが、下僕や奴隷ではない。強く抗議したいが、実際は耐えるだけである。
販売店や飲食店で接客業をされている方なら、同じような経験をされた方も多いのではないか?
1980~90年代ころ、顧客満足度(CS)の向上が経営戦略としてクローズアップされたころの名残で、お客様第一主義という考え方が、過剰に誤って拡まってしまって、こうしたカスハラやクレーマーをのさばらす一因になったような気がする。
経営者側も、穏便に処理したいという思いが強く、従業員に謝罪させて収めようとする傾向が強いが、そうではなくて、カスハラやクレーマーから従業員を守るという発想をもって対策を講じてほしい。
国も、こういう輩(やから)には警察に連絡したら現行犯で逮捕できるようなカスハラ防止法(仮称)などの法整備をして、法律で厳しく取り締まってほしいところだ。