●転職回数は減らせない ◇25歳 男性◇
製造業の正社員希望。模擬面接をお願いしたいというので対応した。
持参した履歴書や職務経歴書には、志望動機・自己PR等はそれなりに書いてあった。
気になったのは、大学を卒業して2年で2回転職、現在離職中で今回が3回目の就職となる。
本当の転職理由は不明だが、やや「コミュ障」ぎみで、少なくとも上司や同僚との人間関係がうまくいかなかったのではないかとの印象はぬぐい切れなかった。
模擬面接で志望動機や転職理由などを聞くと、それには触れず、それなりに話せるように練習をしており、まあまあ無難に答えていた。
ただ、「大学卒業後、2年間で2回も辞めたことに対して、自分自身はどう思っているの?」
という質問をすると、想定外の質問だったのか、なにも話せなくなってしまった。
昨今、転職に関しての考え方が変わってきたとはいえ、正社員雇用の場合、外資系やベンチャー系を除き、長く働いてほしいと考える企業はまだまだ多くあり、そういった企業の面接官は、転職回数を気にすることが多いことを説明し、こうした質問にも回答を用意しておくようアドバイスしておいた。
自己都合退職での転職回数が多い場合、理由を聞かれたとき、よく使われる表現として
「なに事もやってみたいという欲求が強く、幅広い視野を持ってキャリアアップを図り、成長したかったから」みたいなこと言っても(そう言わざるを得ないのだが)100%面接官は信用しない。例えそれが事実であっても、どうせ人間関係がうまくいかないか、成果を出せず評価されなかったので辞めざるを得なかったんだろうな・・・ くらいの想像はする。
(なお、退職理由が会社都合(倒産や業績不振、店舗閉鎖、契約期間満了など)の場合は、必ずその理由を履歴書に記し、面接官に理解してもらわないと損である。この場合は転職回数から間引いてみてもらえる。会社都合で退職したら、面倒くさがらず、退職理由はひとつひとつ丁寧に履歴書に表記することが必要である。)
正社員の就活において、「一身上の都合」という退職理由が繰り返されていると面接官に疑惑と不安感を与えることになる。
転職回数の多さは、取り消すことはできないので、最後は熱意で乗り切るしかない。
一案として、面接の最後になにか質問はないか? と聞かれた時に、質問ではなく、決意表明をさせてもらいたいと言って、
「転職はこれを最後にしたい、この会社で私の職業人生を全うしたい」と、これからの自分の意志を明確に熱意をもって話すことが重要で、内容よりも話し方が大切になってくる。まさに「演じる」のである。
こういうことはキツネとタヌキのお約束事なので、結果的に嘘になるかもしれないが、必ず言うべきである。
結局、面接官に自分の本気度を少しでも感じとってもらえるかがカギとなる。
転職回数の多い場合は、採否の評価は0からではなくマイナスからのスタートになっていることをしっかり自覚して面接に臨むことが重要である。