時々、相談窓口で、仕事がなかなか決まらない相談者から、

「あんたらはいいよな~、会社がつぶれることもないし、ボーナスもあるし、がっぽり退職金ももらえるんやろ?」と妬みを言われることがあった。

 

● 大いなる誤解

 大声で否定したいところではあるが、言っても仕方がないので、「はあ、はあ」と言ってスルーするのがせいぜいである。

 

 

 ご存じの方も多いが、ハローワークの相談窓口で働く職員のうち、国家公務員試験に合格した、いわゆる正職員は全体の3~4割程度で、残りは時給で働く非正規職員(会計年度任用職員)である。

 非正規職員は、採用になっても、1年ごとの再任用面接試験があり、その時、面接官の心象を悪くすると更新してもらえない。さらに3年ごとには公募として、新規の応募者と横並びで応募し、一から書類選考、面接選考を受けなければならない。

 

 また、国の予算が通らないと、再任用の求人自体もなくなる可能性もある。そういう意味では一般的な派遣社員や契約社員と立場上は変わらない、時給で働く不安定な非正規雇用である。

 窓口で偉そうなことを言っている相談員も、契約が終了すれば一求職者として相談窓口に出向くことになるのである。

 

●いろいろ制約があります

 一方、立場上はみなし国家公務員なので、非正規雇用にもかかわらず、業務上での制約は当然として、私生活でもいろいろ制約をうける。

 

 例えば、レジャーで海外旅行に行く時は、防衛省や外務省の上級職でもないのに、事前に届け出しなければならない。また、PCR検査は勝手に受けてはいけない。帰省する時に、別に症状はなくて念のため受ける前にも事前に申告しなければならないのである。

 このほか、(コロナ禍なので)飲み会は厳しく抑制され、町で輩(やから)に言いがかりをつけられても喧嘩はするな、交通ルールは守れ など夏休み前の中学校のような通達が回ってくる。

 

● 忍耐も必要

 また、匿名の電話で(よほど暇な人だろうとは思うが)

・職員が(昼休み中)コンビニの前で、買い物せずに喫煙コーナーでタバコを吸っていた。

・道路を横断する際、交差点から少し離れた信号のないところを横断していた。

など、いったい何が悪いのかよくわからない行動を通報されることもある。

 

 みなしとはいえ公務員だから当然という考え方もあるが、思い通りにならない社会に対する不満をこうして公務員にぶつけることで、自分のストレスを緩和しようとする人達からの理不尽な要求にも耐えないといけない、つらい立場であることは理解してほしい。