文中≪≫は面談中の私の「心」の声です。
●「就職」ではなく「就職活動」が目的?
◇30歳~50歳代 男性◇
普通、ハローワークに通う人は、仕事が見つかるか、基本手当(第28話参照)の受給が終わるかで、3か月から半年くらいのスパンで、概ね入れ替わるのが特徴である。
ところが、30歳~40歳代で、ハローワークに5年以上の長期にわたってルーチンワークのように通い続ける人が何人かいる。
●ルーチンパターン1
毎週1回 朝の開所と同時に来所して、まず、自己検索機で求人を探し出し、その後、求人票を相談窓口に持参するのだが、窓口で第一声が いつも
「どうせこの求人に応募しても、採用されないことはわかってる。」と言う人。
≪そしたら、なんでこの求人票を窓口に持ってくるの!≫
その後も「この会社は・・・ この仕事は・・・ 」と評論ばかりして、応募もせずに、社会や企業への愚痴と不満をネチネチと話して帰るのである。
窓口担当者も「いつものおじさん」ということで、「そうですか、そうですか」とうなづくだけで、いつも30分ほどで話して終わるので、それを待って帰っていただいていた。
●ルーチンパターン2
毎週金曜日15:00頃に来所して、自選した求人を数件持参し、紹介状の発行を受け、応募するのだが、ズーーと不採用が続きここ数年一度も採用にならない人。
不採用が続くと、なにか対策を講じるものだが、特に誰とも相談することもなく、淡々と応募し続けるのである。こちらも何も相談されないので、事務的に紹介状を発行するだけになっている。
いずれも 規則正しく週1回来所し、自己検索機で検索し、窓口で相談するというルーチンワークで就職活動し、規則正しい生活を送っているみたいなので健康維持にはいいかもしれないが・・・。
この人たちの共通点は、仕事が見つからなくても、不採用が続いても、別に困らないみたいな感じで、いずれもまったく悲壮感が感じられない。それどころか余裕すら感じるのである。
いったい、この人たちはどんな「業」で生計を立てているのか?
資産家の親がいるのか? 遺産相続でもしたのか? 霞だけを食べて暮らしてるのか?・・・
本人にも聞けないので、相談員の中でも「永遠の謎」とされていた。
いずれにせよ、働かなくても生活ができるのだから、ある意味うらやましい限りである。