30歳代と思(おぼ)しき男女が来窓。てっきり夫婦かと思ったら兄・妹であった。
兄の方が相談者で妹は付き添いで同席。(兄思いの妹さんらしく本人より心配そうな表情)
2年ほど前まで、販売系で店長まで勤めたが、仕事上のストレスでメンタルになり退職。その後、治療中も半分引きこもり状態で、ここへきてようやく医者からも少しずつ働いてみたらといわれ、本人も少しずつだが働いてみようという前向きな気持ちがわいてきたので来所したとのこと。
ただ、2年も休んでいた者を雇ってくれる会社があるのか不安な様子で相談を受けた。
●メンタル離職者は生真面目が多い
メンタルで退職したが、症状の改善がみられたので、ぼちぼち仕事を探していきたいという人が、頻繁ではないが、たまに相談に来られる。
話をしていると、几帳面、誠実、やや気が弱く、責任感が強い(強すぎる?)、他人から言われたことを全身全霊で受け止めてしまう などの特徴が読み取れるが、こういう人は、働けるようになったら真面目に勤務してくれる期待感は強い。
●リハビリ勤務から始めよ
こうした相談をうけた場合は、ありきたりだが下記のようなアドバイスをしていた。
・いきなり「フルスロットル勤務」は避ける。「リハビリ勤務」として、できればパートからスタートする。あせらず体調を診ながら時間や勤務日数を決める。
・できるだけ通勤に負担のかからない就業場所の求人を選ぶ(できれば30分程度、最大でも45分くらいまで。自転車か自家用車、電車・バスなら乗り換えなしで行けるところ)
雇う側も、パートなら選考のハードルが下がり、様子見で採用しやすい。交通費がでる事業所なら近隣の方が安くつくので有利になる。職種に過度にこだわらず、社会復帰を第一に考え、上記条件を優先しながら探すことを勧めていた。
また、どうしても人間関係に不安なら、黙々と作業する製造系か配送仕分け、一人でする清掃の仕事、パソコンが得意ならデータ入力系等の仕事など探せばいろいろある。窓口で相談員とよく相談しながら探してほしい。
●面接は堂々と!
ただ、応募先がきまっても、次に大変なのは面接対策である。
メンタルで離職していた場合、短期間の場合は、じっくり仕事をさがしていましたくらいのことを言ってお茶を濁すことができるが、長期間の場合は、ブランクが長すぎるので、面接の時に必ずその理由を聞かれる。この場合は、隠してもばれるので、正直に言った方がよい。
ただし、その場合、必ず、
・医者から、もう働いてもよいとの診断を受けている。
・「自分もこのままではいけないと感じている。少しずつだが社会復帰して、ルールを守って真面目に働き、御社に貢献したい。」などと、控えめだが落ち着いて、明確に復帰したいという決意を述べることが大事である。
ここで、長い間休んでいたことに後ろめたさを感じて、オドオドするとかえって印象が悪くなる。堂々と話すようにしてほしい。
面談の最後に 妹さんから「『リハビリ勤務』というアドバイスをいただき、そんな考え方で働けばいいのか、目からうろこでした。なにかホッとしました。」という言葉をいただいた。
応募しても、すんなりと採用してもらえないかもしれないが、粘り強く継続して応募していくと、必ずどこかから声がかかる。(メンタルな人にあえて言うが)
「頑張ってほしい」
