●なんでもするで・・・ ◇60代後半 男性◇

 ハローワークで仕事を探す場合、本来は自分のスマホや自宅のパソコン、ハローワーク内の自己検索機(パソコン)で、求人を自分で検索するか、パソコンが苦手な人は業種別や年齢別の求人票が冊子として置いてあるので、それを見て自分で何件か探し出し、求人票を窓口にもってきて、いろいろ相談するのであるが、いきなり手ぶらで窓口にきて「なんかないか?」といって、まったく自分で探す意思のない高年齢の相談者がいる。

 ちなみにこういう人を個人的に「なんかないかおじさん」と呼んでいた。(月に1,2人出没します)

 やりたい職種をきくと、一応なんでもするというが、具体的に、警備や交通誘導、清掃の仕事を情報提供すると「これは、ようやらん」といって選り好みをするのが大きな特徴である。

 

●なんかないかおじさん 3タイプ

「なんかないかおじさん」には、探し方がわからないだけで就労意欲の高い人もいたが、本気で働きたいのかよくわからない、いろいろなタイプがいた。

 

<居眠り型>

 なんとか、できそうな軽作業の求人を見つけ出し、「これどうですか?」といって求人票を見せると、しばらく何も言わずじっと1枚の求人票をじっとながめている。
 そのうちいつのまにか相談席で居眠りを始めるのである。疲れているみたいなので5分くらいそのまま寝かしてあげてから、大き目の声で「どうですか」と尋ねると、うっすら目を明けて、「家に帰って検討するわ」といってそのまま帰るおじさん。

 

<飲酒型>

 昼間から酒の匂いをプンプンさせながら、「仕事を探してくれ」と言われ、「いいご機嫌ですね」と暗に『酒を飲んで来ていますね』と注意したかったのだが、真意が伝わらず、「いつも元気やで」と笑顔で返事してくるおじさん。

 

<認知症型>

 紹介しようとする仕事内容の説明をしても、何度も同じことを聞いてきたり、就業場所の地図を印刷しても東西南北もわからず、仕事の内容と就業場所の説明だけで1時間以上要するおじさん。

 

●お手上げです

 本気で就職する気があるのか? というより、そもそも就労に耐えられるのか? 相談員としてもお手上げといった感じである。

 

 キャリアコンサルタントの資格をとり、就職に困っている人たちを応援したいという熱意と使命感でこの仕事を選んだのだが、時々こうした現実に遭遇し、心が折れそうになることがあった。

 

 なお、こういう方は、幸い一定期間来所するが、そのうち来なくなる。自分は、就職は難しいとなんとなく自覚するのかもしれない。ただ、絶滅(?)することはない。