●「失業保険」という用語はない

 よく窓口で、失業保険はいくらもらえるかと質問をうけるが、正式には「失業保険」という用語はない。

 雇用保険法では、離職により失業した場合に、退職時65歳未満の人に一定期間支給されるものは、失業等給付の中の「基本手当」という。他にもいろいろ手当や給付金があるが、一般的に失業保険といわれるものはこの基本手当ということになる。(どうでもいい話だが、立場上、正式な名称を使いたいので、以下「基本手当」と表現します)

 

 基本手当の受給要件やその金額、給付日数等についての詳細はここでは省略するが、(65歳未満の場合)受給額については月8万円~18万円くらいで、期間は3か月~5か月程度の人が一番多い。上限額も決まっていることから、月額で算出しても20万円以上もらえる人はごく少数である。一時的な生活保障としての位置づけなので、過度に期待しない方がよい。

             

 

基本手当は遠慮なくもらいましょう

 基本手当の受給要件として、就労意欲があることが条件となっており、その証として(65歳未満の場合)原則4週間に2回、求職活動をしなければならないことになっている。

 

 職業相談窓口にきて、職業相談をして、受給資格者証(求職の申込時にもらえる)に「日付印」と「職業相談印」を押してもらうことにより1回の求職活動をした証となる。(なお、以外と知られていないが、相談後どこかに応募すれば、その時だけで2回活動したことになる。)

 

 生活が懸かっており、早く働きたい方は、必然的に4週間に2回以上は求職活動をすることになるので、とくに問題はないのだが、当面就職する気のない人も、基本手当を受給するには、求職活動をしたふり(?)をして、4週間に2回、職業相談をうけて「認定」を受けなければならない。

 

 正直、相談窓口で話していると、どちらかはすぐわかるが、別に就労意欲はなくても、

「検索してさがしたけど、いい求人が見つからなかった」と、しれっと言ってもらえば、その人の心の中までは、わからないということになるので、こちらとしても粛々と事務的に「日付印」と「職業相談印」を押すだけである。就労意欲のない人の多くはこの対応となる。

 いろいろ言われるが、雇用保険料を払っていたのだから、もらえるものは遠慮なくもらっておけばいいと思う。

 

律儀な人たち 

 ただ、ときどき律儀な人(?)がいて、就労意欲はないのだが、相談員に意欲を「形」で示さないと「日付印」と「職業相談印」押してもらえないと思い、自分で適当に選んだ求人票を何枚か持参して、いろいろ相談する人がいる。もちろん、相談だけして応募はしない。

 お互い、時間の無駄なのだが、真面目さからの行動のため、こちらとしても、いずれ就職することになるかもしれないという思いから、丁寧に対応するようにしていた。

 こういう律儀な人が来ると、なにかしら(上から目線で恐縮だが)ほほえましく感じるのであった。