●困ったやさしいおばあちゃん ◇76歳 女性◇
勤めていたハローワークでは通常17:15に終わるのだが、毎週1~2回、いつも17:10くらいに自転車で来所して受付票発行ボタンを押して最後の一人となって職業相談を受けるおばあちゃんがいる。
もう少し早めに来てほしいと何度もお願いするのだが、できるだけ他人に見られるのを避けたいのか、全く聞き入れてくれない。
さらに、耳が遠く、相談員との会話が成り立たず筆談をすることが多い。
当然応募できる求人もないのだが、クシャクシャした求人票を薄汚れたトートバッグから取り出し、事業所に応募できるか確認してくれと言うのである。
確認するだけ無駄なのだが、一応電話して、断られて、最終的に応募できるところがないと言うと落ち込む様子もなく「あっ、そう」といってそのまま帰るのである。
そこでやっと閉所手続き(消灯やパソコン、サーバのシャットダウン)をするのであるが、当然対応した職員は時間外勤務となる。公務員は税金の無駄遣いをしているとよく批判をうけるが、その原因の一部は、こうした困った来所者であるということも承知しておいてほしい。
なお、このおばあさん、毎週1~2回来所するので職員の間では有名になっている。仕事探しが目的なのか、単なる話し相手がほしいだけなのかよくわからない。
ただ、一度、私のところに来窓したときに、たまたま私の体調が悪かったので、本人に、
「今日は朝から(私の)体調が悪く定時に帰りたいので、明日以降に出直しくれる?」とお願いすると、
「しんどいか? ええよ、あんた、体に気つけよ」とそのまま、すぐに帰ってくれたことがありました。
気遣いはできるやさしいおばあちゃんでもあります。
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