●常識のない人 ◇59歳 男性◇

 正社員、定年60歳、年齢制限あり(59歳以下)と書かれてある機械部品製造の求人票を持参し応募したいと来窓。

 「59歳なので応募できるよな?」とドスのきいた声で相談。

 

 「一応、事業所に確認しますが、普通、会社側は長く働いてもらいたいと思うので、応募はむずかしいかもしれませんよ」と説明するも、

 「59歳までと書いているのだから応募できないのはおかしい」といって納得しない様子。

事業所に電話すると予想通り、応募してもらっても採用はきびしいとの回答。

 

 

 本人にそのまま伝えると、不機嫌になり、「ハローワークの求人票はうそばっかりや!」といって窓口で不平不満をぶちまけ、帰っていった。

 

 年齢だけで、門前払いされることにプライドが傷つけられ、感情的になってしまうのだが、応募できても採用にならないのなら意味がない。応募できることと、採用になることとの区別がつかないのである。59歳にもなって、少し常識を働かせればわかることだが・・・。

 

 なお、この人は、ほかの相談員にも同じことを繰り返していたらしい。

採用にならないのは年齢だけではなさそうだ。

 

●「年齢不問」は行間を読め

 求人票で『年齢不問』と書いてあるが、それをそのまま鵜呑みにしてはいけないことは、多くの応募者はよく承知している。

 

 これは雇用対策法で、年齢や性別を理由に応募を妨げてはいけないことになっているが、採用するかどうかは、企業側に一定の裁量権が認められている。

 一見、矛盾するようなことだが、法律できまっているのでどうしようもない。

 

 応募希望者には「求人票は行間を読め」とよくアドバイスしていた。

 この求人では、企業はどういう人材、どれくらいの年齢層を求めているのか、自分が社長だったら、自分と同じ年齢の人を採用するかどうかなど、想像力を働かせてほしい。

(ただし、わかりにくい求人もあるので、その場合は相談員に問い合わせしてもらうよう依頼してもらえればよい)

 

 応募できないと知ると自分を否定された気分になる人がいるが、これは完全に間違った思い込みである。単なるミスマッチだけであって、特に年齢、性別等はどうしようもないのだから、早く気持ちを切り替えてほしい。