コロナによる緊急事態宣言が発出中の時の話です。

 

●コロナで辞めたら損なのに・・・

 50歳代後半 男性、中華料理店で調理員として10年ほど勤務していたが、店からコロナでしばらく休業することになった。6割の休業補償をもらうか、辞めるか決めてくれと言われたので、給料が6割に減ると生活できないと思ったので辞めてきたと、あっけらかんと話すのである。

 思わず「なんで・・・。こんな時に次の調理の仕事なんかみつかりませんよ。6割でももらえるだけでもありがたい話だし、今は、会社が雇用調整助成金を申請すれば特例措置で10割近くもらえたかもしれない。

 いずれにせよ、雇用契約は維持しながら、アルバイトでもしながら食つなぐ方が得策だったんですよ。辞める前に、ここ来て一度相談してもらったらよかったのに・・・」と説明。

 

 緊急事態宣言下で、飲食店での新規の調理求人がほとんどなくなっていることを全く気付いていない様子。 

「しまった!」という顔色に変わったがもう遅い。

 

 後先(あとさき)のことを考えず、その時の一時的な気分で決断してしまう職人気質の高齢者によくある話である。

 

 コロナ禍で規模の小さい事業所では、こうした雇用調整助成金の申請を面倒くさがり、あきらめたりして、従業員を解雇してしまうことが多いのだが、もし、会社が休業補償(雇用調整助成金)の申請手続きをしてくれるというなら、辞めてくれと言われない限り、雇用契約はそのまま維持した方が賢明である。転職したければコロナが落ち着いてからじっくり考えればよい。

 

 その後、この方は何度か来所し、ハローワークでは見つからなかったが、知り合いの店で調理の短時間のアルバイトをみつけたのでそれで食いつなぐとのこと。

 それだけに、やはり退職したことが悔やまれるところだ。