事務職を希望ということで、ときどき男性の求職者が相談に来られた。

●空気が読めない高齢者

 会社を定年退職したが、長く管理部門に所属していたため、ペンより重いものは持てない、体を動かす仕事は自信がないという男性の高年齢者が相談窓口に、一般事務職の求人票を数枚、応募したいと持参してくる。

 

  仕事の内容に、「受付、電話の応対、来客のお茶だしも含む」という表現があっても、年齢:不問 と書いてあるのでひょっとしたら採用してもらえると思うようである。

  これまでの紹介経験から、応募しても採用になることはまずないことはわかっているのだが、それをいきなり本人に伝えると機嫌を損ねると困るので、一応事業所に問い合わせてみる。

 

 電話口で「応募してもらっても年齢的に採用は難しい」と正直にいってもらえれば、まだ助かる(?)のだが、たまに、年齢や性別で応募を拒否すると法律(雇用対策法)に違反するのでは?と恐れて、「応募いいですよ、とりあえず履歴書を郵送しておいてください」と、ほとんど採用する気もないのに、応募を受け付けてくれる事業所があるので困ってしまう。本人は応募可と聞いて喜び勇んで応募するのであるが、当然ながら、まず採用されることはない。

 

 通常、一般事務職に60歳以上の男性が応募しても(コネや特別の資格があれば別だが)採用されることはまずない。そのうち何度か不採用になって本人も気づくのだが、こうした高年齢者にはもっと早く「空気を読め!」とつい叫びなくなる。

 

  ハローワークでは、高年齢者向けに「生涯現役支援窓口」を設けており、そこで相談してもらい、事務職でなくても、高年齢者の経験を活かせる仕事は他にもいっぱいあることを知ってほしい。

 

●若い男性の場合は

 (参考までに・・・)若い男性が事務職を希望する動機は、ほとんどが体力に自信がないとか、外回りの仕事はいやだとか、消極的な理由が多い。

   そもそも、簿記の資格や社労士、行政書士の資格でもあれば別だが

なんの資格もなく、パソコンが少しできるぐらいでは、事務職に採用されることはかなり厳しい。

 雇う側の気持ちになっても、事務職のほとんどは女性を採用するつもりで求人をだしているはずである。(もちろん、たまにマネジャークラスの求人も出るが、賃金が大概30万円以上なのですぐわかる。そのときは実務経験豊富であれば応募してもよいが・・・)

 ただ、そのことを説明すると、高齢者と違い、素直に受け入れ、すぐに別の職種を検討する人が多かった。「頭が柔らかい」のは若い人の特権かもしれない。