はじめまして

  元ハローワークの職業相談員として、窓口に来られた「くせの強い」人たちへの思い出を、前職で人事部に勤務していた頃の思い出も交えて、ブログにまとめていきます。

 そこには涙あり、笑いあり、怒りあり、喜びありの様々な人生があります。

(詳しい、いきさつは「プロフィール」をごらんください。)

 

それでは 第一話のスタートです。

(なお 文中《 》は面談中の私の「心」の声です。)

 

●ハロワ任侠伝 就活番外地 ◇70歳代 男性 

 相談席にすわるなり昔話を始める。高年齢者のいつもの特徴なので、しばらく傾聴することにしたが、話の内容がちょっと普通の相談者とちがっていた。

 

「再婚した子連れの女房には苦労をかけた」

「若い衆にはいろいろ教えてやった。知ってると思うけど○○組の連中には苦労させられた」《知りません!》

「もう若いころみたいなやんちゃなことをしたらあかんことはよくわかってる」 ・・・などなど

 よくみると、左手の小指と薬指の先がない。そのあと自分が何をしゃべったかよく覚えていない。

 もし、なにか仕事を紹介してくれと言われたらどうしようと心配していたが、もともと仕事をさがす意思もなく、話をしたいだけから来所したみたいなので話を聞くだけで面談は終了。

 ただ、面談が終わるときは通常、「がんばってください」とか「失礼します」とか軽く挨拶するのだが、この時は、直立不動で

「ご苦労様でした!」 

と大き目の声で言ってしまった。