金木犀
朝窓を開けて深呼吸すると甘い香りに包まれた。
家の金木犀も花を咲かせ、近所も金木犀の花が咲き。
金木犀の香りで部屋がいっぱいになる。
この香りがすると、いろんなことを思い出す。
幼いころのこと。
学校に通う通学路の風景。
そうしながら大人になったある日のこと。
当時、毎日毎日忙しい日々。
季節を味わう間もなく、仕事に没頭していた。
がむしゃらに働いていた。
ある日、今は亡きウォモ(犬)が木の下で
上を向き動かない。
気持ちよさそうに「クンクン」してずっとそこにいる。
「何してるの?」近づいていくと
金木犀の香りに包まれた。
もう秋なんだ。
なんだか懐かしい。
ここ数年この感じを忘れていた。
っていうか、いつの間に秋・・
夏は・・・・?
春は・・・・?
いつの間に終わったのだろう・・
桜を味わっただろうか
夏を感じただろうか
愕然とした・・・
時間や計画の渦の中にいて、「今ここ」を味わっていなかった。
見たり、聞いたり、感じたりすること。
あたりまえのことをしていない自分に気づいた瞬間。
「良い香り~」
友達 「大人は1年がたつのが早いと感じるやろ、それはなぜだと思う?」
私 「わからない」
友達 「子どもの頃は、知らないことが多く、いろんな事が新鮮で、
一つ一つ興味を持って、見て聞いて感じて体験する。
けれど大人になると、一度経験したことは、「知ってるから。」
と流したり、解釈ですまして感じてないからだよ」
なるほど、感じてない・・・か
去年の10月出雲に一人旅をした。
現地についた。
何時からこの電車で、あそこへ行って・・・
スケジュールを立てはじめた自分がいた。
・・・・また愕然。
土地を感じるより、時計を見ている自分。
「時計見るのや~めた。感じよう!」
すると旅館の庭の金木犀の香りが立ち込めた。
庭に金木犀があったんや。
私にとって、金木犀は感じることを思い出させてくれる木。
あなたは、金木犀の思い出ありますか?