笑顔とありがとうを~大切な人たちへ~ -52ページ目

第14話 新しい場所

病棟移動が

12月25日に決まった。



世の中はクリスマスだ。


でもそんな気分になれる状況では無かった






移動初日は妹が付き添った。


入った部屋は三人部屋で


一般病室よりも広々としていて


居心地はいいみたいと


妹からの報告を聞いた。





移動してからは母の調子も良く

付き添いも必要ないので

毎日病院へ通った。








緩和病棟には談話室という所がある。

患者とその家族が寛げるような場所だ。







ピアノ

いくつかのソファー

食事をする為の机と椅子

テレビ

三畳程の畳のスペース

子供用の玩具







四方を窓に囲まれて

とても明かるい


外に出られるテラスもあり

そこにはベンチと灰皿があった







談話室の隣には

小さなキッチンがあり

食器棚もある

患者やその家族が自由に使う事が出来た。






廊下や病室の中も

広々としていて

床には絨毯が敷いてある。









ここは外の世界と

違う時間が流れているような錯覚に陥る程

ゆっくりとゆっくりと

時間が進んでいる。




入り口のドアを

開けた瞬間から

そこはまるで別世界だった。






談話室には

子供用の玩具もあったので

今までよりは気兼ねせず

子供達を病院へ連れて行く事が出来た。



母も孫達の顔が見れて

嬉しそうに笑っていた。









何日か通っているうちに

入院している他の人達にも目がいくようになった



圧倒的に年配の人が多かったが

中には私よりも若い人もいた。



入院してからしばらく経った頃には

小学生くらいの子供をよく見かけるようになり

その母親が入院している事がわかった。






母が以前していたように

鼻から管をしていて

傍らには点滴台。


そしてこの病棟にいる。


私は何とも言えない気持ちになった‥‥









こうして母のホスピスでの日々が始まった。








第13話 これから

延命措置


死後解剖



そんな言葉、ドラマや小説の中でしか聞いた事ない。





一体何を言っているんだろう。



私達は何を言われているんだろう。






主治医との話し合いを終えて私達は、

呆然としながら母の病室へ向かった。







今日の付き添いはおばの日だったので、

母の様子を見てから帰ろうと思っていた。



「おねえちゃん…」唐突に妹が私を呼んだ。



「おねえちゃんはどう思う?」




妹は延命措置の事を言ってるのか

死後の解剖の事を言ってるのか、

私は答に窮していた。





「お母さんの癌の原発巣知りたい?」




「お母さんが死んじゃったら解剖して調べて貰う?」





私の答は一つしかなかった。



「私は知りたいよ。

お母さんの命を縮める悪魔がなんなのか

きちんと知りたい。

知らないままだと、絶対後悔すると思う。」





「そっかぁ…

そうだよね。知らないままって辛いかもね。」






気丈な妹にしては珍しく


声に張りがなく、


見るからに元気がなさそうだった。






「私も…そう思う。

きちんと知ってその上でお母さんを見送りたい。」





「お父さんは何て言うだろうね」





「……うん……」





「これから先…どうなるんだろうね…」






これから私達を待ち受けている出来事。



これから訪れるであろう、母との永遠の別れ。





頭の中で何度もシュミレーションしていたが

それははっきりした物では無かった。





でも今それが少しずつ輪郭を見せてきて、

私達の前に立ちはだかる。






足音を立てず忍び寄って来る。




黒い影となって。




大きな津波になって。




私達を飲み込もうとしている。





気が付くと母の病室のドアの前にいた。




妹と私は暗い気持ちを振り払うように


頬を二、三度ペチペチ叩いてドアを開けた。


第12話 話し合いⅢ

私達はこれから必ず訪れるであろう


母の最期を考えられずにはいられなかった。



母の最期…



母の…





今まではぼんやりとしか考えた事がなかったが、


急にそれがはっきりと見えて、

私達の目の前で待ち構えているように思えた。





私達が押し黙っていると

先生は様子をうかがう様に話しを続けた。




「それから…

ここ緩和病棟では延命措置を取らない方針なんですが、

お母様に何かあった場合延命措置をご希望していますか?」




延命措置?




それは心臓マッサージをしたり人口呼吸器を使ってする、

ドラマなんかで見た事あるあの延命措置?




それをするかしないかを

今この場で私達が答えるの?






「御本人やご家族の希望があれば延命措置もします。


ですが、お母様の身体には苦痛も伴います。


御本人の意思は聞いておられますか?」





母の意思?




お母さんの?




本人に聞くの?




どうやって?

あのお母さんにどうやって聞いたらいいの?

そんな残酷な話。






「まだその事まで本人とも家族でも話した事がありません。

ですから一度私達と父とで話してみたいと思います。」



そう答えるのが精一杯だった。



「解りました。」と言って、

W先生はもう一つ私達に質問した。


「こんなお話をするのはなんなんですが…


お母様が万が一お亡くなりになった後


解剖して癌の原発巣を特定する事もできますが

どうなさいますか?」





母はこの時点でも癌の原発巣は不明のままで、

以前いた大学病院でもこの病院でも検査だけでは

どうしてもわからなかった。



原因をどうしても知りたいならば

死後解剖するしかないと、言われていた。




私自身、母の命を奪おうとしている悪魔が

どこに始めは巣食ったのか、どうやってひろがっていったのか…


真実を知りたい気持ちがあった。


いずれやってくるであろう母のいない時間に、

真実を知らないままでいられる自信が無かった。




延命措置。


死後解剖。



その二つについて


私達家族で話し合い


後日お返事します、と言って


先生との話し合いを終えた。







第11話 話し合いⅡ

w先生は淡々とそして、殊更ゆっくり話しを始めた。



私達素人にも解りやすく、出来るだけ医学用語は使わないように話しを進めていった。



「今後出来るだけお母様の痛みや苦痛を取り除いていきますが、


薬を使っても取り切れない場合が出てくる事が考えられます。」




「そんな時は、鎮静剤を使って…そして目を覚まさないこともあるんですか?」



私は、先生の先回りをして質問をした。



私は以前読んだ「病院で死ぬということ」という本を思い出していた。


ホスピスに勤務する医師が書いた本。



その中に出てくるホスピスでの話しには、


母と同じように余命いくばくも無い人の最期が書かれている。



もういよいよという時に、家族に最期の別れを告げ、


そして鎮静剤を使って痛みを感じないまま安らかに亡くなっていく人達。




母もきっと最期はそうなるんだ…と、確信に近い予感がして先生に質問した。




「絶対そうなるとは断言できませんが、そうなる可能性は高いです。」



先生はそう言ったが、きっと母の最期は意識の無いまま私達に無言のさよならを言っていくに違いない。




それもごく近い将来に…



☆☆☆携帯より更新したので読みにくいと思いますが、ご了承下さいm(__)m



お知らせ

またまた更新出来ずでごめんなさいm(__)m

記事を書きたくてウズウズしているのですが…
我が家のパソコン…死亡かも(T▽T;)
Windowsが全く起動せず、何度やってもブルー画面になります(T-T)
もう再セットアップしか無いかも知れません…

そんな訳で今日は携帯からの投稿になりました。
続きを待っている方、読者のみなさん本当にごめんなさいm(__)m

何とかパソコンを早く直して復活したいと思います☆


mpmp☆