歴史は戻らない

故・西部邁氏が遺作「保守の真髄」の中で
「歴史の不可逆性」について述べていました。

「歴史の不可逆をわきまえぬ者たちが、核の廃絶を言う」

カンタンにいえば、
「やってもーた事は、無くならない」
「作ってしまったものは、消えない」

「知った知識は、忘れられない」
です。

なぜ、この話を、あえてここで書くかといえば、
「理想は過去だ」という論調を最近、よく聞くからです。

例えば、

・縄文の社会が理想
・江戸の社会が理想
・自然の状態が理想
・野生の状態が理想

といった意見です。

核や明治維新を全否定するような論調もこれに同じです。

私も核のこと全肯定はしていませんし、明治維新も素晴らしい部分ばかりだとも考えてませんよ。

ただ、過去起こった事を全否定して、「それ以前が理想だった」というのは違うと思うのです。

そんな時に、たまたま手に取った西部氏の著作に以下のことが書かれていたのです。

「核の利用は、文明の歴史において、不可逆だと認めるほかはないのではないか。

この不可逆の根本には「核に関する知識」を消去することは不可能だという厳然たる事実がある。

ある意味では、核廃絶が実現した瞬間が最も恐ろしいのだ。

その知識を利用・悪用することによって、世界の覇権を掌握しようとする人間や国家が出てこないという保証が全くないからである」

とのこと。

核は無くならないし、

江戸にも、
縄文にも帰れない。

だから、未来を創ろうと、

前を向いて、

智恵を練っていくしか無いと思うのです。

理想は過去ではなく、

原始では無く、

未来にこそあるでしょう。

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